第二十一話 朝の異変
「どうしてだろうね。なんでこんな事になったんだろう。」
頭が痛い。ぐるぐるしていて気持ちが悪い。
そんな状況、それでも疑問を解き続ける。
わたしは。
「このまま、路地裏で死にたかった。」
お茶会部屋に入ると、ミレーマーシュさんが朝食に使うテーブルを拭いていた。
「おはようございます、ミレーマーシュさん。」
「おはようございます。......ちゃんと休めましたか?」
不思議と人が根に引きずり込まれたあの光景を思いだし、あまり眠れなかった。だからあまり疲れがとれていない。その様子をみたミレーマーシュさんが心配そうに見つめてくる。
「大丈夫です。今日はちゃんと休みます。」
昨日のデラストレイレス討伐によって、各ギルドの団長と一部の騎士団の人以外は一日だけ休暇となった。今日はハルセンジアさんと特訓はせずに、寝ようと思う。そう考えながら朝食をとった。
「そういえばみんなは?まだ寝てるんですか?」
お茶会部屋に俺とミレーマーシュさん以外の人が見当たらない。
疑問を口にすると、ミレーマーシュさんも不思議そうに。
「団長は朝早くに管理支部へ、昨日の討伐に参加したメンバーはまだ寝てるのでしょうけれど......。フィリアちゃんは知りませんね、まだ寝てるのでしょうか。」
「食べ終わったら起こしに行ってきます。」
どうしたんだろうか。ねーちゃんの朝は早いはずだ。
「ええ、よろしくお願いします。寮の管理人とはいえ、今日は休日なので起床時間の強制はできませんからね。」
朝九時。いつもならもう仕事が始まっている時間だが、今日は休日。しかし、なぜか起きないねーちゃんを起こしに、俺はねーちゃんの部屋へ向かった。
「ねーちゃん、俺だよ。起きてる?」
ドアをノックし、声をかける。しかし返事はなかった。
なにか変だと思い、ドアを開ける。鍵はかかってなかった。
「ねーちゃん?朝ー。」
「......。」
暗い部屋に一筋の光が射す。窓にはカーテンがかかっており、光源はドアからこぼれる廊下の魔術具のみ。俺は床に射す光にそって、ねーちゃんに近づく。
「......ねーちゃん?」
「...イ...タイ。」
痛い?様子が変だ。
よく見ると、ねーちゃんは丸くなって頭を押さえている。
顔はほんのり赤く染まっている。
「ねーちゃん、大丈夫?」
「アつ...い、いタ...い。」
額に手を当てる。やはり、熱かった。
「ミレーマーシュさん呼んで来る。待ってて。」
どうすればいいのか。ねーちゃんは今まで熱を出した事がないので、対処に困る。助けを求めて、俺はミレーマーシュさんを呼びに行った。
「......様子は私が見ておきますね。私が食事をつくる時間になったら交代してくれます?」
「はい、ありがとうございます。」
ミレーマーシュさんは、ねーちゃんにデート石という石を持たせて治療するらしい。デート石とは夏に使うビート石のような物で、体を冷やす効果があるという。
「私の場合、体温が低い方が治療しやすいのです。」
そうなのか、そう思うとエデルジート団長が帰って来たようだ。玄関のベルが鳴った。
「俺が事情を説明します。」
「ええ、ありがとう。」
エデルジート団長を迎えに、玄関へ向かう。
玄関には雪を叩いて落としているエデルジート団長の姿があった。
「エデルジート団長、お帰りなさい。」
「ただいま......。ミレーマーシュは?」
俺は事情を説明して、ミレーマーシュさんはあまり離れる事ができない事を告げる。そうか、と言ってエデルジート団長はお茶会部屋へ向かった。
「とりあえず昨日の事についての詳細な報告が入った。ここにミレーマーシュとフィリア以外を集めてくれ。」
「はい、ハルセンジアさんとシリアスさんを呼んできます。」
「ああ、俺はエミラッシェを呼んで来る。」
俺はハルセンジアさんとシリアスさんを起こし、お茶会部屋へと連れて行った。




