第二話 襲撃
「探知確認。[王の道]だ。」
「あそこだな。捕らえる。」
「スキル行使で面倒事が起こらなければ、大通りに出てみれば?」
ねーちゃんにそう言われたから、俺は朝の通勤時間に合わせて大通りに出た。
ねーちゃんはスキル行使が分からなかったということで、試しに人前で使ってみる。やはり、自分以外にはスキルの行使が分からないらしい。脳に文字が刻み込まれる感覚がする。
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デリアル 32 歳
攻撃力 12
守備力 4
魔力量 22
速さ 7
体力 35
獲得スキル
[基礎魔力操作]
[基本弓術]
[柔軟性強化]
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スキル対象のおじさんをじろじろ見ていたら睨まれてしまう。
その時、攻撃力が14、守備力が5に上がるのが見えた。
俺は少し震えると、おじさんは奥に早足で去って行しまった。
速さが9に上がったのが見え、その後、文字が消えた。
......視界から外れたらたら消えるのか。
そう考え、俺は歩き出す。
警戒されたから攻撃力と守備力が上がったのか。
そうだとしたら昨日ねーちゃんの数字が下がったのは、このスキルについて考え事をしていたからだと考察する。どうやらこのスキルは相手のステータスやスキルを見たり、数字の増減で行動が分かったりするらしい。
他のスキルも試してみようと考えたところ、はっとした。
......さすがにここで[基本剣術]と[基礎魔力操作]は出来ないか。
他のスキルの考察は諦め、[ステータスオープン]で他の人を観察しようと思う。
昼。しばらく人間観察をしていた俺は、路地裏に戻った。
「どうだった?スキル。」
「すごかった!人をめっちゃ観察してて......」
「詳しく聞かせて。はい、パンだよ。」
俺はパンを食べながら、ねーちゃんにこのスキルの考察を説明した。
「ふーん、確かに考え事はつい集中しちゃうからね。」
「うん。......ごちそうさまでした。」
俺はパンを食べ終わり、ねーちゃんも口にほうり込み、飲み込む。
「そういえば観察してて思ったんだけど......、ほとんどの人は[基礎魔力操作]と[基本]系のスキルを持ってるんだ。」
「魔力操作はほとんどの人が出来るの......?」
ねーちゃんは俯き、ため息をはいた。
「でもそれを持ってても魔力量が低い人はいたから、ねーちゃんだけじゃないと思う。」
「......そっか。ねえヴィンデート、魔力操作の練習しない?」
「教えてくれるの?」
そう聞くと、悲しげな顔で。
「ううん、一緒に練習しようかなって。」
「うん、ねーちゃんもきっと魔力操作できるよ。」
「ありがと。せっかく貰った[王の道]も使ってみたいから。」
そうねーちゃんが言った時、声が聞こえた。
「見...た。...のみ...だ...」
上。
声が聞こえた方向を向くと、上から顔を黒い布で隠した人が二人降ってきた。
辺りの空気が重くなる。
「......どちらさまですか。」
ねーちゃんは二人に尋ねるが、その質問には答えなかった。その代わり、互いに野太い声が辺りに響く。
「どっちだ。」
「分からん。両方捕らえろ。」
捕らえる?俺達は危険を感じた。
「ねーちゃん、逃げよう!」
俺はねーちゃんに手を伸ばし、抱えてもらう。
「大丈夫、足速いから。追いつかれないよ。」
俺はねーちゃんの言葉に頷き、追っ手の二人を見る。奴らは驚いたように声をあげる。
「速い、魔法だ。」
「了解。」
彼らはなにかを呟き、手の平を俺らに向けた。
「大通りで撒くよ!」
「「[属性拘束]」」
一人の手の平からは茨、もう一人の手の平からは光の紐のような物が猛スピードで伸びてくる。ねーちゃんはそれらに追いつかれる前に、路地裏から抜け、大通りの人混みに紛れた。
「きゃああぁぁ!」
「なんだ!?魔法だ!顔隠してる奴ら!」
「騎士団に通報しろ!」
「俺がやる!」
「やめろ!でしゃばらずに逃げろ!」
昼休みに昼食を食べる人達が多くいるおかげでうまく撒けそうだ。
その代わりに大通りは大混乱しているが。
「ヴィンデート、大丈夫?」
「うん。」
「私は騎士団に頼れない。事態が鎮静するまで逃げるよ。」
俺達は他人から盗みを働いて生活している。
顔を見られた事は無いらしいが、万が一の為に騎士団を避けている。
俺はその言葉に頷いた時。
ドォン!ドォン!
と、辺りが爆発した。
「え。」
「ヴィンデート!?」
浮遊感。いや、俺はねーちゃんから引き離された。
......熱い。
俺は地べたにほうり出され、奴らの一人に捕らえられた。
ねーちゃんも背後からもう一人に捕まれる。
「ちょっ......、ヴィンデートを離して。」
「......望み通りに。[王の道]は女の方だ。ガキはどうでもいい。」
「......了解。女を連れ去れ。」
[王の道]......。ねーちゃんのスキルだ。
ねーちゃんの方が危険と感じ、つい叫んだ。
「ねーちゃんを離せ!」
「......無理な相談だ。」
「......大丈夫よ、ヴィンデート。」
ねーちゃんはそう言い、手を払って回し蹴りを食らわせる。
「ぐふぅっ!」
すかさず俺を拘束している奴を的確に蹴り上げ、俺を救出した。
「ねーちゃん、ありがと。」
「大丈夫よ、自分の身は自分で守れる。貴方の事も私が守る。その為に神様からスキルを貰ったから。」




