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スキル・ステータスオープンはステータスを見るだけ  作者: ぐざいになったねこ
第五章 魔王アルニエス
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第九十七話 テッツァーレの魔法特訓

「と、いう事があったのですが......。」

「......予想していた事態だ。」


地下の資料保管庫で起こった出来事を領主様に伝える。テレヴァンスが事情を説明し、シリアスさんが記録をする。


「あそこに入っていたという事は、そういう事ですからね。」

「ああ、シリアス。......で、どこまで線引きする?」

「まずいのは魔弾の軽量化ですね。見た限り、僕でも残りの道筋は分かるぐらいには完成に近付いています。......というか、不自然に途切れているのを見るに、あの人もまずいと思ったのでしょうね。」


逆に、魔弾等を宙に発射する技術はセーフという事だろうか。そう言ったところ、領主様にそういう事だと頷かれた。


「ではシリアス、任せた。」

「僕しかいないですからね......。明日にはテッツァーレに残りの仕事を振りましょうか。」

「わ、私にも仕事を与えて下さい!」


それでは、俺は何をしようか。悩んでいると、領主様からハルセンジアさんの所で訓練をすればいい、と言われた。今俺がすべき事はあまりないだろうから、少しでも力をつけるのは必要だ。執務室を退出し、俺は訓練室に向かった。


「ハルセンジアさん、俺も訓練しに......。」

「ハルセンジアはここにいないけれど。」


訓練室にハルセンジアさんの姿はおらず、テッツァーレがいた。魔力操作をしているようで、この空間にざわざわした空気が張り詰めている。


「魔力量、多いですね。」

「あ、ごめんなさい。」


ふっと、空気を漂っていた魔力が四散し、不快感が消える。同時に訓練の邪魔をしたのではないかと申し訳なくなってきた。


「大丈夫です。......訓練に付き合うね。何をしましょう。」

「えっ?いや......。」

「私はいいですし、ハルセンジアを探すのも手間でしょう?」


それなら良いだろうか。何を教わろうかと思考を巡らせる。すると、一つ思い浮かんだ物があった。


「俺は近接戦闘しかしていなくて、間が開いた時には何も出来ない気がするのです。遠くを攻撃する手段を、攻撃魔法を教えてくれませんか?」

「......あれ、シリアスからは何も教わってなかったということ?」


何も教わっていないということはない。ヴァインドという防御手段を教えてくれたのは、シリアスさんだ。


「今は使いやすいビート等の魔法が使えない為、と言っていました。」

「ああ、なるほど。......では、割と使いやすい風魔法等はどうでしょうか。」



そういう事で、風魔法ことクアロバの練習をすることになった。と言っても呪文を覚えて魔力があれば誰でも使う事ができる。魔法の練習というのは、魔力操作の安定化と精度の上昇を試みる事らしい。


「クアロバ・ザンネル・タイトレア。」


細い光線が空を裂いて的に向かっていく。しかし中心からは大きく外れた部分に当たってしまった。やはり攻撃魔法は、固定して使うヴァインドと違って魔力操作が安定しない。ヴァインドを動かしたあの時も、かなり辛かった記憶がある。


「ここまで訓練を継続できるとは、貴方の魔力量も大概ですね。」

「そんなに多いのですか?」

「大人と比べるのはちょっと、と思いますが。同年代よりは明らかに多いですね。」


団長からも魔力量が多いとは言われた......気がする。ただ、流石に疲れてきた。肉体的にも、魔力的にも。


「魔法をこれだけ使うのは初めてでしょうし......、休憩しましょう。」


壁に寄り掛かって座り込む。テッツァーレは、訓練の感想を聞いてきた。


「風魔法は使いやすいですか?」

「これで使いやすいとは......。かなり苦労しそうです。」

「ふふっ。まあ、努力次第、か。......私の[転戦]は、風魔法を応用したものなんですよね。」


それは初耳だ。ということは、極めれば彼女みたいに[転戦]を使えるようになるだろうか。そう問うと、難しいと言われた。


「理解はできるのですが、スキルですので。私が使うよりも汎用性は落ちますね。」

「そう、ですか。どのように?」

「......自分より重い物を入れ替えられなかったり、大きめの本棚を移動出来なかったりですね。」


本棚......、さっきの事か。冗談かと思ったら、やろうと思えばできる事らしい。


「そんなこんなで、風魔法は極めたと思ったのですが......。シリアスの魔法に魅入ってしまって。」

「もしかして茨を引き裂いた......。」

「そうね。」


それは自分も感動した。シリアスさんの本気を、遠目からでもはっきりで見えた。風魔法を極めたと思った彼女にとって、魅入ってしまうのも納得だ。


「だからシリアスが居ると聞いて、お手伝いに立候補したのです。」

「教えてもらう為に......?」


俺の言葉に頷き、彼女はこれからの目標を語る。


「そうですね。超えるとか、そういうんじゃなくて......。ただ教えてもらいたいのです。それで、一緒に訓練するという約束を取り付けてもらえたのですよ。」

「すごいですね。」


......凄く忙しそうだけど、頑張れ、シリアスさん。


「疲れも取れてきたし、訓練を再開してもいいですか?」

「そうですね。では次は......。」

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