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スキル・ステータスオープンはステータスを見るだけ  作者: ぐざいになったねこ
第五章 魔王アルニエス
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第九十五話 テッツァーレの変化

「エンディスト、少し雰囲気が変わりました?」

「テッツァーレも、丸くなりましたね。ストルラッシュがびくびくしなくても良いぐらい。」


変に硬い言葉を使って怖がらせるより、普通に話していた方が近寄り易い。ここに来てから普通に話しているように見えるので、良い変化があったのだろう。


「ストルラッシュは怖がりすぎです。まあ、あまり人と触れていなかったのは事実ですが。」

「悲しいですね。でも、シリアスとは普通に接しているけれど。」

「あれは、その......。言い方が悪いけれど......。」

「ま、シリアスの技を盗みたいと思っているのは知っていますけどね。」


シリアスの魔法は、遠目からでも良く見えた。正確に言うなら、見えない魔法に茨が引き裂かれていく様子が見えた。


「犯罪には手を出しません!ただ教わってくれたらなぁ、みたいな?」

「いや、盗むってあれですよ?犯罪じゃない方の。技とか。」

「え?犯罪ではない盗みなんてあるのですか?」

「言葉の綾ですね。」


まあ別になんでもいいですよ、と切り上げると、王国の動きの話題に変える。ただ、廊下では話しにくい内容なので、談話室に行こうか。そう言って、談話室に向かった。



「今日の昼に、デート・ガルディアから手紙が来ましたよ。今は夕方ですけど、荷物もあったので検閲してたらしいです。さっき渡されて、荷物は私の部屋に。」

「それで、何が書いてあったのですか?」


ひとまず手紙をテッツァーレに渡し、読んでもらう。しばらくして、テッツァーレは一通り目を通したようで、手紙を机に置いてこちらを向いた。


「フウアンテルラの王国兵も掃討完了、ですか。しかもデベロバードとベルグラートと協力して。」

「デート・ガルディアも、一部参加したらしい。」

「ていうか、時系列的にエンディスト達ががデベロバードに協力を要請している時にデベロバードとベルグラートが共闘しているじゃあないですか!報・連・相はどうなっているのですか!」


とても痛い所を疲れた。が、今回は私が悪くないと思う。

何が起こっていたかというと、セントレイクがデベロバードに協力要請の準備をすると同時にベルグラート領主へ伝令を出した。了解が出次第、協力要請をしようかと思っていたらしいセントレイクの騎士団長と管理支部長だったが、伝令を出した数日前にベルグラートとデベロバードが同盟を結んでいた事に気がついたらしい。というか、セントレイクが領の隅っこにあるせいで、伝令が遅くなってしまったようだ。


......テレヴァンスが張り切ってやってたせいで、彼女にこのことは言えなかったのですけどね。


テレヴァンスにはお疲れ様、と言って誤魔化してはいるが、騙しているようで申し訳ない。


「まあ、すぐ隣がここですからね......。」


テッツァーレの言う通りだ。それで、セントレイクのお手伝いが終わって私はどうしましょうとデート・ガルディアに相談したところ、サイサンシュレイトに向かってデート・ガルディアとサイサンシュレイトの掛け橋になってくれ、と頼まれた。


「そういう事で、ほんの数日前からここにいますね。」

「デート・ガルディアとサイサンシュレイトは陸続きですよ?」

「あ、掛け橋ってそういう......、もういいや。」


それで、と言って、次の話題を促す。ホルス=デルタ区域の動きについても、密偵から報告が入ったそうだ。


「新たな魔王、アルニエスですか。」

「正直どんな人かは分かりませんが、このタイミングです。何かありますよ。」


手紙によると、その新たな魔王は元人間らしい。やはり王国の介入があったのだろう。


「で、王国兵に愉快な魔物達が増えました、と。」

「それは愉快じゃないですね。」


はあ、とため息を吐きながらテッツァーレは頬杖をつく。こちらとしては愉快ではない、というのは納得だ。怪しい動きがあるというのは前々から言われていたが、これで王国は空飛ぶ兵隊を手に入れた事になる。


「デート・ガルディアに、対空兵器はありましたっけ?」

「無かったはずです。面倒な事態になりますよ、これは。」


とりあえず、手紙関連の話はここで終わりだ。後は送られてきた荷物をまだ開けていないので、一応テッツァーレと開けてみたいと思う。



「思ったより小さいですね。報告書サイズの長方形みたいです。」


布でぐるぐる巻きにされた荷物を見て、テッツァーレはそう言った。布を剥がすと、二枚の紙で上下を挟み、糸で巻いて纏められている紙の束が見えた。三十枚程だろうか、そんなに分厚くはない。


「ああ、資料ですね。このまとめ方は。」

「ふふっ、ディンビエラ団長らしい。」


糸を解いて拝見する。どうやら兵器の資料らしいが、見たことがない造りだ。ただ、テッツァーレは何の兵器なのかがすぐに分かったようだ。


「対空兵器ですか。こんな資料、よく見つけて来ましたね。」


そんな事を言えるほど、よほど古い資料らしい。それを写したようで、紙は新しい。ふと、一番下にどう見ても資料ではない紙を発見した。


「おっとこちらには団長、とデート・ガルディアの管理支部長の言葉が......。対空兵器の開発だが、サイサンシュレイトと協力するように。だそうです。」

「えっ?」


テッツァーレが固まった。こちらも少し思考が停止したが、すぐに落ち着きを取り戻す。つまり掛け橋としての最初の任務は、対空兵器の開発らしい。


「はぁ、とりあえずここの領主様に報告書を書いておきますか。検閲もあったみたいですし、明日の朝には把握しているでしょう。」

「エ、エンディストだけですよね?私は......。」

「暇そうならテッツァーレも誘え、と書いていますね。」


現実逃避するテッツァーレにぴらぴらと紙を見せる。絶望した彼女は頭を抱えてしまった。


......始めて見た時は、感情を表に出さない女性かと思っていましたが。


元からそうなのか、変わったのか。こういう彼女の方が接し易いので、これから協力する身としてはありがたい。


「シリアスから技をぬす......、教わる合間にでも手伝って下さいよ。」

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