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スキル・ステータスオープンはステータスを見るだけ  作者: ぐざいになったねこ
第二章 ギルド勤務一年目
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第十話 初めての仕事

「エデルジート団長。騎士団に不審な動きが。」


そう言って、普段はこちらにやって来ないハルセンジアが執務室に入ってくる。

よほどの重要な案件だろう。俺はハルセンジアの顔を見つめて、次の言葉を促す。


「......[王の道]について、探られています。」

「わざわざご足労いただき、ありがとうございます。今回の依頼を出させていただきました、村長のテレヴァンスと申します。」


村の門で金髪の成人したばかりのような女性に出迎えられた俺達は、村の中の一番大きな家で泊まる事になった。今はもう日は落ちている。俺はスウィントゥーの生態を思い出す。


スウィントゥーは夜遅くに活動します。着く頃にはまだ活動していないと思うので、すぐに巣穴を叩きましょう。


「シリアスさん。」

「そうですね。巣穴の場所を聞いてきましょう。」



「活動前に駆除してくれるのはありがたいです。案内しますね、あちらです。」


村長にそう言われて案内された所は、畑に隣接している森の中にある大木だ。森の中と言っても、森に入ってからその大木に着くまでに歩いて三十秒という近さ。大木の根本を見てみると、小動物が入れそうな穴がある。


「これですね。では、ヴィンデート君。依頼人様を逃がしてあげてください。」

「スウィントゥーはそんな危険がないのでは?」

「周辺にさらに巣穴があります。一つ潰してもそこに逃げ込むだけです。そして集団で攻撃される可能性があります。弱いとはいえ、さばくのにかなり骨が折れますね。」


確かに、レレティックの群れでは大変だったな。

俺は納得して村長を村に帰そうとする。


「......分かりました。テレヴァンスさん、村まで護衛します。」

「いえ、この距離なら一人で帰れます。」


そう言って、彼女は森を抜け、柵を越えて村へ入った。


「では、先程の初級爆裂魔法を使いましょうか。」


シリアスさんは体中に魔力を巡らせ、手の平に複数の玉を作り出す。

ああ、レレティックの群れに投げたやつだ。そうやって作り出していたのか。

シリアスさんは複数の巣穴に玉を入れて、俺と一緒に離れた所に移動する。


「僕の戦闘はスローペースなので、撃ちもらしは任せますね。」

「任されました。」


俺の言葉を確認し、シリアスさんは魔法を発動させる。


ボン!ボン!ボン!


と、あちらこちらで爆発音が聞こえ、咄嗟に耳をふさが。


「元々巣穴からいない奴らが戻ってきましたよ!」


____________________

スウィントゥー 1 歳


攻撃力 7

守備力 0

魔力量 1

速さ  16

体力  10


獲得スキル

なし

____________________


確認。

少しずんぐりしているがだいぶ小柄だ。

遅い割には小さい。ただ、その代わりに数が多い。

見える限り、約三十匹まとめて攻撃力が上がったので、剣の長さを活かして下がりながら剣で突き刺していく。奴らはこちらを囲うように陣形を展開しているので、囲まれないように下がりながら一方の外側へ抜ける。


「数の暴力ですね......。はっ!」


シリアスさんは何もないところから輝くの光線を出し、数を減らしていく。

陣形の外側を取っていたので、かなりの数を殲滅できた。


「目視できる限りでは、あと七匹です。」


陣形から離れている二匹がいたので突き刺し、すぐにシリアスさんの下へ戻る。

残り五匹。奴らは恐れたのか、背を向けて霧散した。


「逃げられました。」

「大丈夫ですよ、巣穴はもうないのですぐ死にます。」


もう巣穴が残っていない事を確認すると、村へ戻って夜を越した。



「スウィントゥーのを退治してくれてありがとうございます。これで十分な量のビッサを収穫することができます。」

「ええ、後日にセントレイクの管理支部に代金を納めてくださいね。」


朝食後、村人全員から感謝された。

ビッサとは冬に育つ野菜であり、ここの名産品だったはずだ。それを売って冬の後半を切り抜けるのだから、これだけ感謝される理由が分かった。


「こちらをどうぞ。私個人が支払う報酬とは別の、村人一同の感謝の印です。」


そう言って、ずっしりした剣を差し出してきた。俺に。


「あ、ありがとうございます。」



少し困惑しながら、帰りの馬車に乗る。

村人達は笑顔で手を振って、俺達を送り出してくれた。



馬車の中。さっきの疑問を口にする。


「なんで俺にくれたんでしょうか。」

「昨日の夜に、相談されましてね。」


なんと、シリアスさんが関わっていたのか。


「村人一同から感謝の品を贈りたいから何かいりますか、と言われたらですね。ヴィンデート君がしっかりした剣を買えるまでに時間がかかりそうでしたので、お言葉に甘えて剣を望みました。」


なるほど、事情を理解して貰った剣に目を落とす。

長さも重さも貸し出し用の剣とは比べものにならない。


「シリアスさん、これを使いこなしてみせます。」



そして日が落ちて、夜がやってきた頃。

セントレイクの街が見えた。

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