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スキル・ステータスオープンはステータスを見るだけ  作者: ぐざいになったねこ
第二章 ギルド勤務一年目
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第九話 初めての外と実践

「オスター、騎士団長が呼んでいる。ここ代わるから行ってきてくれ。」


なんと、騎士団長がこの老いぼれに用があると。

何か何かとわしは呼び出された部屋に行く。


「騎士団長様、この老いぼれに何のご用でしょう?」


そう言った時、騎士団長の顔は恐ろしいほどに笑みを浮かべていた。

今日の朝は早い。

いや、まだ朝ではないのかもしれない。

冬に入り、肌寒くなってきたので、布団に篭っていたいのだが。


「ちゃんと起きれたようですね。安心しました。」


今日は初めての仕事の日。朝食にパンとスープをいただき、物資の最終確認をする。日数分の食料も、回復薬という薬も、武器もしっかりあることを確認して馬車に積み込む。


「ヴィンデート、お仕事頑張ってきてね。」

「うん、頑張って来る。ねーちゃんも頑張って。」


そう言うとねーちゃんは思い出したような、苦い顔をした。


「おねーちゃんも頑張るよ。」

「ええ、今日は昨日の復習をしてから実際に操作してもらおうかとおもってるわ。」

「無理させるな、エミラッシェ。」



そんなやり取りをしてながらみんなで大通りを進んでいくと、四時になった。

まだ子供が寝静まる時間。大通りは静寂に支配されている。


「それじゃあ、しっかりね。」


街の入り口、門。

みんなが見送ってくれるのはここまでだ。


「じゃあ、行ってきます。」


そう言って手を振る。

がたんと揺れて、重力の方向が変わる感覚。

東の山の向こうでは空がオレンジに染まっている頃、俺は初めてセントレイクの街から出た。



「とりあえず寄って来る魔物や魔獣は倒して素材を剥ぎ取りましょう。それらを売らないと元が取れません。」


シリアスさんはそう言う。

ただの平原。だけど俺はただただ広い世界に感動を受けていた。

がたごとと馬車が揺れる。この感覚も、綺麗な空気も、全てが初めてだった。



太陽が昇りきったことと、お腹が空いたことで昼と判断して昼食をにする。

馬車を止め、馬を引いていたシリアスは荷台に入ってきた。

カビが生えないよう、カチカチに固められたパンに、お湯を浸して食べる。

その後、立方体の様々な野菜が混ざっているような物体を食べる。栄養があるらしい。

そう昨日の勉強を思い出してると、食べ終わったシリアスは真面目な顔で。


「ヴィンデート君、ここから魔獣達が出るようになります。気を抜かないように。」



昼食を食べ終わり、馬車はまた進み始めた。

街からひたすら南へ、景色は平原から丘になってきた。


「東の方向、レレティックの群れです。察知されました。」


シリアスさんは表情を引き締める。俺も剣を手にとって荷台から降り、馬車を守る。


レレティックは五、六体の群れを成して狩りをする小柄な魔獣です。鋭い爪を食い込ませて襲いかかります。近づけさせなければ一体ずつ処理出来るので、間合いをとって戦いましょう。


昨日の午後に詰め込んだ知識を思い出し、迎撃体制をとる。

____________________

レレティック 1 歳


攻撃力 23

守備力 0

魔力量 8

速さ  32

体力  20


獲得スキル

なし

____________________


[ステータスオープン]が使えるようになった。

対象が一定以上離れると使えないこのスキル。

逆を返せば間合いが近いことの証明。

六体中三体の攻撃力が上がったのを確認した為、突っ込んで来ることを読んで剣で足元をなぎ払う。剣が重くなり、引っ掛かるような感覚。俺は一気に剣を振った。

小さな悲鳴と血飛沫が上がる。

しかし、仕留めたのは一匹だけだった。


「ヴィンデート君!下がって!」


俺はとっさに馬車の方向へ走る。

その俺とすれ違うように、なにか丸いものが宙へほうり投げられた。


ボン!


小さな爆発音。振り返ると五体いたはずが残り一体になっている。

残ったレレティックはパニックになり、当たりを走り回っている。


「やぁっ!」


とどめ。剣を突き立て、レレティックの頭を突き刺す。

そして初めての魔獣退治が終わり、素材を回収してまた南へと向かった。



「スキルがあるとはいえ、筋はいいのではないでしょうか。」

「俺が仕留められたのは三分の一ですよ。ほとんどシリアスさんに手伝ってもらって......。」

「そうじゃなくて、最初の読みです。僕には突っ込んで来ることが分かりませんでした。」


言ってしまっていいのだろうか。このスキルの事を。隠すべきことではないし、あの時隠していたのはねーちゃんにスキルの話題を振られたくなかったからだから......。

そう考えていると、シリアスが。


「あそこです。依頼人がいる村ですよ。」

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