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8 エレオノーラ

誤字報告ありがとうございました。

多くてすいません。

助かりました。



今日は、とうとう入学式。私は足取り軽く学園の廊下を歩きます。だって、私は悪役令嬢ではありませんから!

なのに途中でマーガレットから話しかけられます。


「婚約者を代わってもらえません?」


え?婚約者を代わる?朝から何を言っているの?

……もしかして、あのノートの事を信じているの?


しかもその会話をヘンリー王子に聞かれてしまいました。

ヘンリー王子、笑顔だけど目は笑っていません。

焦った私は何とかごまかして素早く逃げ出しました。


改めて、私はエレオノーラ。ゲームでは悪役令嬢だったわ。でも、ヘンリー王子殿下の婚約者に選ばれなかったので、悪役令嬢ではなくなったのよ。

ふふ。今はとっても気持ちが軽いわ。

これからは、ヘンリー王子やヒロイン、攻略対象者なんかに関わらず、スクールライフを楽しむわ!


そんな事を考えながら向かえた学園初日。

今からAクラスの自己紹介が始まるところ。

ヘンリー王子の隣に座っているのは、ハニーブロンドのふわふわした髪、水色の瞳、まるで甘い砂糖菓子ような可愛い女の子、まさしくヒロインです。

きっとこれから、王子や側近の攻略対象者を虜にしていくのね。あっと、王子は初恋のマーガレットと結ばれているから、彼のルートはないかもね。


「特待生ですけど世話役はいりません。貴族の方にお手間を取らせるわけにはいかないので、平民同士で仲良くやります」


あれ?これはヒロインが言っているの?

世話役を断った?ゲームの始まりのイベントなのに。


「それは駄目だ。この特待生制度は、優秀だが貧しき者にも教育を受けさせるということで、王宮とこの学園の鳴り物入りで今年度から始まった。失敗は許されない。貴族の世話役が必要だ」


そうですよね。このイベントがないと、ゲームが始まらないのよ。


「でしたら、女の子がいいです!」


「わかった。では、エレオノーラ・ローレライ嬢に頼むとしよう。彼女は優秀だし、家は公爵家で、世話役にはうってつけだ」


ええ?何で私が?


「それと、隣国からの留学生、カインの世話役も一緒に頼むとしよう。それにはイーサン・ペリー、アール・ルイス、トーマス・ペレスの3人に世話役を任命するので、エレオノーラと4人で2人の世話役を頼む」


はい?攻略対象者も一緒に?

イベントが進んでいるんだか、何だかわからない。

そしたらヘンリー王子が近付いて来て私に小声で言いました。


「交換留学生のカインの事、よろしく頼むよ。せっかく世話役にしてやったんだから」


隣国に留学したい私の為に世話役にしてくれたのね。なんて、本当はヘンリー王子がマーガレット様との時間が削られるのが嫌で押し付ただけじゃないの?


「お心遣いありがとうございます」


勿論そんなことはおくびにも出さず、口ではお礼を言いました。

ヘンリー王子は背中で片手を挙げ、もうマーガレットの席に向かいます。そして、コゼット達と楽しそうに話していたマーガレットを無理やり連れて帰りました。


こわ……もう、執着が始まっているの?

私は嫌な予感がしました。


それに次の日からもマーガレット様の様子がおかしいのだけれど、やっぱりノートの事を信じているのでしょうか。


マーガレットがヘンリー王子とケイティをくっつけようと画策します。それをケイティが拒否して、ヘンリー王子が諌めるという騒動が毎日、起こります。


あー早く、マーガレット様がやめてくれないかな。そうでないと、マーガレット様に対してとんでもないことが起こるのよ。


マーガレットが婚約者になって学園に入学したら、急に枷が取れたように溺愛している様子になったヘンリー王子。


今まで我慢していたのね。その執着心をマーガレット様が嫌がると思って、候補の時はわざとよそよそしい態度だったのね。彼の背後に、黒いオーラが漂っている気がするのは黒髪のせいで本当に気のせいよね。


それから、ヒロイン、ケイティもゲーム通りではありませんでした。ヘンリー王子の事も避けていますし、それどころか他の攻略対象者の事も避けています。


私がヒロインの世話役になってから、数日経ちました。ヒロイン設定なのか攻略対象者の令息達はすごくケイティに世話を焼きたがります。


「あ、あたしの鞄!あたし、自分で鞄を抱えてないと不安なの」


そう言って、鞄を持ってあげようとしたイーサンを断り、鞄を前で抱え込み、上目遣いで見ます。


「そ、そうだな。自分の荷物が手元にないと不安だよな」


「あら、あたし、男の人と手を繋ぐなんて恥ずかしくてできないわ」


そう言って、手を差し出した、アールに顔を赤らめるヒロイン。


「いや、すまない、階段を降りる為に手を差し出したが、余計な事をしてしまった」


「きゃっ!ごめんなさい。ぶつかってしまいました」


ヒロインは鼻を押さえて、トーマスを見ます。


「申し訳ない。君の為に扉を開けに行ったんだけど、邪魔だったな」


ええっと、ヒロインはすごく可愛い素振りをしているが、結局断っている?


「あの、エレオノーラ様?あたし、あなたにお願いがあるのです」


「な、何ですの?」


ヒロイン、ケイティがエレオノーラに言ってきたので、びくっとして、返事をする。


「あたし、平民なので……」


ーあたしを馬鹿にして、貶めるのを止めてくださいー


何もしていないのに、ゲームのセリフが頭に浮かびます。


「あたし、貴族の事が余りわかってないの。教えて下さい」


「ええ?」


ケイティの頼みに変な返事をしてしまいました。


「そうだよ。教えてもらったらいいんだ。エレオノーラは礼儀も完璧だし、貴族のに関する事は何でも聞いたら?」


そこに留学生のカインが現れて言いました。

カインは濃い栗色の髪に琥珀色の瞳の美青年で、身体つきも同い年の中でも逞しいと思います。

ケイティはカインには攻略対象者と違い親しげな態度です。


「ありがとう、カイン。エレオノーラ様、是非ともお願いします!」


「わ、わかったわ」


二人掛かりで頼み込まれたら断われないわ。

その日からエレオノーラによるケイティのレッスンが始まりました。そして、勉強も一緒に教えてあげることになりました。

2人の仲が深まっていきました。


え?何で私とヒロインが仲良くなっているのよ。

攻略対象者と仲を深めなさいよ!


と、思っていたら、彼らも婚約者が決まっていたのです。


イーサンはレジーナと

アールはコゼットと

トーマスはナタリーと



ヒロインへのやりすぎなお世話は、ヘンリー王子から世話役を頼まれていから、張り切っていたとのことで、最近、彼らはケイティに近づく事もなくなっていました。


みんな、いつの間に。そうですか……とっても仲が宜しいんですね。知らされなかったのは、私だけが一人になったからですか。くすん。


あれ?ヒロインのルートがなくなった?

ま、いいか。無い方が平和だし。


そんなこんなで、私はケイティと何故かそこにカインも加わって、一緒に図書館で勉強したり、学校のサロンでカインの隣国の話を聞いたりして、楽しく過ごしました。


あ、マーガレット様の事を忘れていたわ。





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