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ルミア、ガンヒルド 一回戦


「試合始め!!」


実戦形式の試合が始まった


まず最初にルミアが一気に後ろに下がり距離をとる

距離をとり相手の様子を見ながら片足を後ろに引き姿勢を低くする


ハルはルミアが先手を打ってこないのを把握すると


砂走(サンドラン)…』


そう言うとグラウンドの小さな砂の塊が地面で煙を上げルミア目掛けて突っ込む

彼は魔力持ちだった


それをルミアは避ける

いくつもの高速で当たりにくる砂の塊を躱す

彼女の俊敏性が勝っており全く当たる様子はない

ルミアは威力を調べる為、次に来る『砂走』に近くにあった石を拾い投げる


石は『砂走』に当たるとバットでボールを打ったかのように強く弾かれそのまま『砂走』は突っ切って遠くで地面に落ちグラウンドの砂の一部に戻った


一見小さい砂の塊が進んでくるだけの魔術だが威力は虚仮脅しではなく明確に『相手に一発当てる』の条件を満たしていた



だが遠距離が相手の間合いだと埒があかない、とハルのもとへ接近する


彼との距離が後から3〜4メートルのところまで一気に走る

ハルは若干後ろに下がりながら


砂波(サンドウェーブ)!』


今度は大波のような砂がルミアに襲いかかるところから接近したところを一気に仕留める作戦のようだ


(近づかないと攻撃できない相手には定石だけど…)


それでもルミアは止まらない


「まだ!!」

(この砂の動きなら!)


両手を前に伸ばし砂の波に手を突っ込む


「はぁぁああ…うらぁ!!」

そして横に力いっぱい砂をかき、砂の波を貫通する


「避けなかったか。『砂波』!」


「もう遅いね!!」


ニ波目の砂波は発生した

が発動後コンマ数秒は高さがでない


ルミアはまだ低い砂波を触れるスレスレで飛び越えて詰め寄り格闘戦に持ち込み蹴りの姿勢をとる


ジャンプからの飛び蹴りは躱され、ハルが反撃に移る



ルミアの速さとハルに近接で挑む姿に周囲からは歓声が聞こえた



(…追いつけない!)

ハルの近接格闘はルミアと比較すると特に手数において劣勢で次第に防戦を強いられる


その防戦に入ったハルの防御を崩そうとルミアは大振りで畳み掛けにいく


「来た!『拘束(バインド)』!」

「!?」


若干安定しなくなる大振りの蹴りが来ると見計らって回避し魔術を発動する

するとルミアの動きが急に止まる

それが『拘束』の効果のようだ


止まった瞬間にハルは首に向かって腕を薙ぐ


「なに!?」


「私だって技能持ちだよ!」


ルミアの全身から一瞬風が発生しハルの腕を掴む

腕を掴まれたハルはとっさに蹴りを入れるが当たる感触がなかった


(いない?まさか後ろ!!)


蹴りを途中から無理矢理ローキックに変更し後ろまで射程範囲を広げる


(どこに!?)


後ろを見た瞬間背中に軽いパンチが入った


「…」


「勝負あり!!勝者ルミア!」


「いやぁ〜私もそこまで速くは動けないから〜」




ルミアは笑顔でそう言った

勝者の余裕ではなく上に見られていたことへのテレである



何あれ…さっき2メートルくらい垂直飛びしたよ

アニメであった技能持ちだとは思うけど人間卒業した動きだったぞ



「次の試合をする!2番だった二人は出てこい!」




試合が終わったルミアの所へガンヒルドと共にどうだったか聞きに行く


「お疲れさん。ナイスファイトだったよ」


「そうでしょ、技能は使い時を間違えなければ負けないんだから!」


「確かにそうだな」

「さっきかなりジャンプしていたけどなんの技能だったんだ?」


「何か自分が弱った時になんか強くなるんだよ。『打開』とでも呼んだらいいのかな?」


弱った時にしか発動しない微妙な部分があるけど本人の身体能力が高かったら隙がなく反動もない安定した技能…と考えたらいいのか


「へ〜」

「なるほど。自身を最大の武器とした技能か」


「そこまて強そうに言われてもね〜」


ガンヒルドの言いようにルミアはまた照れた


俺達以外にもルミアのもとへ集まった他の友達とも軽く話しているとから他の生徒の試合も進みどんな戦法を見せるか観察していく


ルミアとハルの試合は他の試合と比べると中々ハイレベルな戦いだったようで喧嘩が少々強いくらいでの実力同士の試合も少なくなかった


そして先に攻撃を当てるという条件もあり1時間もしないうちにトーナメント初戦の試合が最後になる


「11番の奴は出てこい。これでゾーイック以外の試合は最後になるはずだ」


そしてガンヒルドの試合が最後だった

ここで勝った相手があまりでシードになった俺の対戦相手になる…ん?終わったな


この対戦でもガンヒルドが勝つだろうな

だって彼女はいずれ最強の域に立つものだから



「なるほど、お前達か」


ガンヒルドの対戦相手はニヤついている日に焼けて色黒の男子だ

…名前はロレンツォだったか。


ゴードリ先生が面白いものが見れると今まで以上に期待をしている笑顔になるところから今の段階で既に実力者と判断された訓練生同士で戦うことになるのだろう


彼は背の高いガンヒルドの更に頭一つ分背が高く筋肉質な恵体だそして技能、あるいは魔術が使える一人である



「ヒルドちゃん頑張って〜」

「頑張れ〜」


「…あぁ!」


両者に注目が集まる中ルミアと一緒に応援すると彼女はこちらを向いて自身ありげに返事をした


「準備とかできてるな。んじゃ試合始め!!」


「…」


試合が始まる前のロレンツォは慢心に近い態度だったがゴードリ先生の反応から只者ではないことを感じ取ったのか真剣な表情に変わる



両者構えるが攻撃を仕掛けず相手の様子を窺う


「…」

「…」



訓練生のみんなやゴードリ先生が見守る中



「…なら私からだ!」


先に動いたのはガンヒルドだ

姿勢を低くし素早く懐に潜り込み手を掌底で仕掛ける


「うぉ!?」


ロレンツォはガンヒルドの手を掴み動きを止めようとしたがそれを巧妙なフェイントと判断し慌てて回避行動をとった


すかさずガンヒルドは追撃する


ルミアは速さと手数で攻めていたのに対しこちらは速さはそこそこだが隙のない流れる、踊るような戦い方だ


『アイツ素手だけでロレンツォをやる気だぜ』

『すげぇな』


やがて周囲からはそんな声が聞こえるようになる

ロレンツォは反撃できる隙が無く…


「クソッ!!『砂走』!!」


ついに徒手格闘に魔術も追加して対応する


ガンヒルドが巻き上がる砂の塊を躱してロレンツォの動きを見ようとすると


「『閃光(フラッシュ)』!」


「むっ」


腕を伸ばし広げた手から眩い光が放たれた


『眩し!』

『目が!』


ある程度離れた場所から観戦していてもこんな声が聞こえる程だ

近くでやられたら目を開けてなんていられないはずだ

しかし想定外のことが起こる




「な!?」



なんとガンヒルドは的確に追撃を続けてくるのだ

その流れる連撃が止まることはなかった



「すっごいな!一体どうなってるのかな?」


「近くで効かないなんてことはないだろうしタネはあるはず」


あれが数手先を読んでいる行動とやらなのか

学生の時にそんなことまでできるなんて、ならなんで本編で負けたんだろう?



ロレンツォは防戦を強いられる

力ずくで反撃に出るとしても確実に一発はもらってしまう

ダメージを受けない攻撃でもノーガードでまともに当たれば試合で敗北条件になるからだ


(畜生!こんなの見た事ねぇ!付け入る隙がねぇ!)


『閃光』を使用後に怯まず、目線が微妙に違うところにあるのに的確な攻撃を仕掛ける姿がロレンツォによりプレッシャーとしてのしかかり気の抜けない防戦の状況を打破する思考を阻みその選択肢を狭める


(…ちっと逃げに入るか、ヤツのスタミナが無くなるのを待つかが妥当か。…だが何もできないでよぉ、下がってたまるかってんだよ!)



「うぉぉおおああ!!」

「…!」


ガンヒルドが何かを察し素早く数歩下がるが豪風のような何かに叩きつけられずるずると足が地面を少しずつ滑る


突然ロレンツォから衝撃波が放たれたのだ


(追撃は止んだがそんだけじゃダメだ。仕掛けも暴かないと負ける)


そう、再び隙無しの連撃や他の手段で確実に仕掛けてくる



一方


(魔力の放出あるいは『衝撃(インパクト)』か。ふむ、格闘主体に絞り意図の裏をかこうとしたがこれでは厳しいな)


ガンヒルドもまた相手を強敵と認識していた


(魔術や技能も傷つけない全体的に出力の低いものしか使ってはならないとなるとそれが難しい)


改めて相手を見据える


(…それでもどれだけ手段をもっているかで勝負は決まる)


そして再び彼女は踏み出した


「だぁぁあ!!」


ガンヒルドが声を上げ仕掛ける


「『霰雨(ヘイルバレット)』!!」


ロレンツォは接近させまいと小さな氷の粒をぶつける

『霰雨』は粒が小さく威力はないが目くらましとして十分に機能する魔術だ


(『閃光』の時はビビったがあの動きがどうなってるか試さないとな)


しかし彼女が選択した手段は異なるものだった


「『濃霧(スーパーフォグ)』」


より視界の酷い空間を作ったのだ

なんも見えない


(マジかよ。自分(テメェ)の視界まで封じるかよ)


ロレンツォは濃霧の中で相手を探すことをやめ、来るであろう攻撃に備え意識を集中する


(来るなら、来い!)







その時体を叩きつけるような爆風が吹き荒れた


「むうぁぁあ!?」


ヤツが横から出て来る


「…いた!」


ロレンツォは気配を察知することに集中していたため早い反応ができた


「見えるんだよぉ!!」


おかげで素早く堅実な反撃が可能になる


片腕で体をガードしもう片方の腕で正拳逆突きを放つがガンヒルドを相手にするには下手を打つ行動だった


(先手を打たせた!?)


先に行動させ、腕を掴みにかかり一瞬で取り押さえる

やがて霧が完全に晴れ勝負の結果が見えた




「勝者ガンヒルド!!」


ゴードリ先生が高らかに声を上げ試合が終了した





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