翌日早々
訓練二日目
結論から言おう
ゾーイックはそこそこの運動能力の持ち主だ
一日目の訓練にもしがみつくくらいには体力はあった
ただし筋肉痛で体全身が悲鳴を上げていて痛い
腕は気合と根性がないと力が入らない
なんやかんやで冒険者稼業だってできたが中島健一の感覚だとゾーイックからはどうしても天才的な才能を感じられない
だがそう天才が何人もいてたまるか
まぁ天才は目の前にいるけどね…
凄まじい運動能力と高いといわれている成績
そしてカリスマ性がある
『お〜い!もどってこ〜い!』
さらに気高く優しく美しくもうなんも言うことなしだな!
『叩くしかないかな?』
なんか輝いているようにも見えてしまいそうだ
『痛かったらごめんね!』
そんな人が絶望して反政府組織に唆され加担し挙げ句にその組織を掌握するなんてな!はははははぶっ!?
「はい!私は大丈夫です!意識が飛んだなんてことはありません!」
「そうだね、結構マズいラインかもしれないよね」
ひっぱたかれたのか、でもまぁ目が覚めたよ
あれから一日しか立っていないのになんてザマだ、情けない
「そうだよな、昨日今日決めた夢だから仕方ない。でもいつかみんなに追いつくよ。だから今もこれからもよろしく!」
「は?」
ひっぱたいてきた親切?な軍隊コースの女子生徒、ルミアが何だコイツ?という目で見てくる
頭がまたも…まともに考えられない
「いや、起こしてくれてありがとう。お礼として弁当のピーマンをあげるよ」
「あ?」
「…中にお肉が入ってるやつ」
表情が『何だコイツ?』から『わかってるじゃないか』に変わってサムズアップをしてくれた
そして昨日のように別室で昼食にすると早速来た
「もちろん忘れてないよね?」
「わかってるさ」
さっき話をしたルミアだ
ピーマンの肉詰めを一つ取っていく
「ありがとね、そういうのたくさん持っていきたいけど難しいからね〜」
弁当の量が多いこと、それは中の単純化にも関係する
たくさん食べたいけど小学生の運動会、当日母親が持って来てくれるような様々なおかずが入った弁当は手間がかかり毎日はめんどくさい
そこに付け入る隙がある!
「あのちょっと聞きたいのですが…」
「ケンイチ君がちょっとわけてくれたの!…どうしたの?」
ルミアが友達らしい同コースの訓練生と話していたがこっちに意識を戻す
「ここに来てまだ2日しか経っていないから自主トレーニングはどんなことを始めたらいいと思う?いえ、教えて下さい!」
そう自主トレーニングについてだ
ガンヒルド本人とどんな未来に辿り着くかを見るために入ったのだ
まさかこんなことになるなんて
「う〜ん…最初に始めることは食事の量を増やしてランニングや懸垂に…できる場所はあんまりないけど水泳やボール投げとか?かな」
「他に何かありますか?」
「とにかく遅くまで起きないこと。早く寝ろよ。ん…これいいね!自分で作った?それともお母さん?」
「それはオ…僕が作った。半分は母さんだけど…あっ」
ガンヒルドが後から入って来て空いてる席を探してキョロキョロしていたから手を振って呼ぶ
空いてるのは俺の隣…の更に隣、ルミアの隣の席だ
呼んでいることに気づいたガンヒルドがこっちに来て席に座った
「あぁ、ありがとう」
「ん?君達は仲いいの?」
「昨日初めてあったからなぁ。でも仲良くしてほしいのが僕の心境だからこ、この際に気みゃずくならないよう…」
噛んだ…ダメだ…落ち着かないと
「噛んだ!ははッ。まぁガンヒルドさん綺麗だもん、わかるよ!」
止めてくれ、より気まずくなるから
「そっ、そうか…」
「ルミア殿、やめて差し上げなさい。否定はしないけど気まずくなるから」
「そうそれくらい。気安く、わきまえ、引き際、これが大事」
ルミアは人生の師匠のように決め台詞のようにそう言った
助け舟だったのかあれは…感謝
「御言葉感謝する…」
「ふふふ、よくってよ。ガンヒルドさんもいい?」
「わかった、そう心がける」
ガンヒルドが笑顔で応える
何もしてないのにすごく報われた気になってしまう
「お〜い…浄化されてる?」
本編だと『フハハハハ!!笑わせるな!貴様が守ろうとしているのは他者を食い物して育ったゴミだ!!ゴミは溜め込めば溜め込むほど住む者たちの害になる!!私は親切に代わりに焼き尽くしているだけだ!』とか言ってたのが嘘なんじゃないかと思える
「ケンイチ君ホントに大丈夫?」
「大丈夫。昔の事を思い出しただけだよ。唐突で失礼かもしれないけどガンヒルドさんはどうしてここに来たか知りたい。僕は人前であまり言えないけどこの国を守るためにここへ来たんだ」
嘘ではないし本人に君を支えるためとなんて正面から言うなんてできるだろうか
無理だし引かれる
「別に綺麗事かどうかは聞いていないよ。僕のさっき言った目標だって綺麗事のように聞こえるけど国に忠誠を誓ってるとかそうじゃない」
ガンヒルドがなぜ軍隊に入ろうとしてるのかを知らないとストーキングでもしないと闇落ち回避のしようがない
急に変更したのにはきっと訳がある
「いきなりこんなこと聞くものおかしいけど君がこれから茨の道を歩む気がしてならないんだ」
どうだ…バグるか?無理か?
「…おもしろいことを言うな君は。ふふ…大丈夫だよ私は」
どう捉えたらいいんだ?今は何もないのか?それとも隠しているのか?
どの道追求しても良いことはないだろうしこの二択に絞れただけよしとしないと
「そうか!ならいいんだ。変なこと聞いて悪かったよ」
「いや、茨の道は間違ってないかもな。私も出世には興味があるからな」
けっこう自然に話せている今、ここで名前を覚えてもらわねば!
「君のような上官なら喜んで付いていくさ…それじゃごめんと言うことで改めて、ゾーイック・フェミニテーション。健一って呼んでくれ」
「わかった。ガンヒルド・クルバフ。ヒルドと呼ぶといい。よろしく頼む」
「あ、なら流れに乗ってルミア・カーレング、そのままルミアでオーケーよ!」
午後からも訓練は終わらない
だけどとにかくやるしかない
そう決意を固めているとゴードリ先生が入って来て早々響く声で話す
「今日は久々に午後からグラウンドを借りることができたから初の実戦の訓練に変更だ」
実戦の言葉にみんなが喜ぶ
訓練よりは楽しいしやる気がでるからだろうか
ゴードリ先生はそのままみんなを外へ連れていきにグラウンドに集まる
「全員いるな〜この中で魔力持ちや技能持ちはいるか?」
ゾーイックはどっちもなかったはずだ、戦わないし使った場面を見たことがない
そしてアニメにはどっちも使える人物がいた…ガンヒルドだ
「結構いるな…お前らは今日の訓練で相手によっては使うなよ」
集まってる中の半分くらい手を挙げていた
きっと彼らは特殊な力があるから軍に入ることを選んだのだろう
「私の方でクジを作っておいたから引いてくれ」
みんながクジを引いていき俺の番が来る
くじを引き結果を見ると真っ白の紙切れだった
ハズレなんだろうか
「開いて書いてある番号が同じ奴が相手だ」
「先生!なにも書いてありませんでした!」
「白紙はシード権だ。良かったな!」
えぇ、あるのか
ホントに俺は手も足も出ないこの中で恐らく最弱だぞ
全身から筋肉痛がするし恥をかく前に体調不良で休んでしまおうか
「1番から出てこい。ルールはシンプル、道具無しで相手に明確に一発入れろ。魔力持ちと技能持ち同士は深手を負わせない、学校の施設や他の生徒を巻き込まない範囲で使用可能にする」
1番はルミアと黒髪で青い目のハルという男子になった
どちらも能力持ちとして手を挙げていたからどうなるかとても気になる
両者はグラウンドの中心に達相手を見る
「わかってると思うが友が相手でも全力を尽くし負けても根に持つなよ。それと万が一怪我しても私が治せるから心配するな」
「はい」
「わかりました」
先生は治癒系の能力を持ってるのか…あぁだからこんなふうに組み手ができるんだ
「試合始め!!」