反撃?開始5
刺客の一人からリンを守ったガンヒルドは彼女方を振り向かずに話す
「大丈夫だったか?傷などは?」
「な、ないです。あの〜そちらは?」
「問題無い、あぁ……」
飛んでいった刺客の一人も距離をとり、様子をみて無闇に近づこうとはしなくなった
ガンヒルドは刺客へ向けて声を張る
「始めに言っておきます、私はあなた達の事は知りません。しかしこの人を殺すのであれば無意味だからやめてください。」
(うん、嘘ではない。なかったことになるから実質不死だね。)
先程の蹴り上げによって極度の緊張から落ち着きを取り戻したゾーイックは恐怖はあるがそう考えられるくらいには精神が安定した
丁寧な口調で話す彼女はなぜか表情がとても強張り、引くついてもいた
彼女の言葉を聞いて刺客の一人、ロン毛の男が話に乗る
「お二人さんはガードマン、ではなさそうだな。まぁ何でもいい。そこのお嬢さんはそういった才能の類いはない。都合が良すぎだろそんなの。」
「あるから今こうして本来無関係の私が話しているのです!」
「はぁ、丁寧にどうも。俺と覆面の者は好きでやってる訳じゃないんだがね……その話は聞けない、仮に殺せなくても連れて行く。」
刺客達は目的を達成することを選択し今度は巨漢の刺客も身を構え戦闘態勢をとる
「やるのが一番効率がいいだけで殺せないなら飼殺しもするだろうなきっと。」
「それも困るな。」
感情や正道の話以前の実利的な視点でもここで放置はリンが不死ではないため常に時間が巻き戻るリスクがある
なので絶対に引き下がることはできない
「……」
「……」
「……やれ。」
「来るぞ!リンの守りを任せる!」
指示に従い巨漢の刺客が迫りくる
そしてまた覆面の刺客は巨漢の方に集中がいく時消えてしまう
「二人とも下がれ!……『発煙』!」
人差し指を突き出しその指先から白い煙が吹き出した
ガンヒルドの魔術である
「うぉ!?」
両者の視界に制限をかけるが煙でより影響を受けたのは刺客側だ
強風の吹かないこの日なら見えずまた足音のしない暗殺者を探ることができる
「煙がなんだ!うらぁ!!」
巨漢が接近し襲いかかってくる
「待て!魔術が使えるやつに無闇に接近するな!」
「『蒸気』……」
指示をだされたものの既に遅い
息を吐くように吹き出した高熱の蒸気が男の顔を覆う
目を開け息をするものなら呼吸のままならない熱風で叫ぶこともできずに悶絶することになる
巨漢の五感を一時的に封じたため覆面の者に目標を切り替え探す
「……ちょっとばっかり密閉空間になってるから相性が悪いな!!」
ロン毛の男は歯噛みしながら事態を判断し動く
「お前ら、煙を晴らす!」
男の風起こしの魔術で煙が払われ少しずつ視界が明るくなる
状況としては回復したがまだ視界は治っていない巨漢ともう一人は姿を消していた
「俺はもう助けらんねぇから死ぬ気でやれ!」
刺客の二人は一斉にガンヒルドへと突き進む
覆面の者がナイフを数本投合し牽制する
「む!」
「うぉぉぉお!!」
ガンヒルドはそれらを躱すがその隙に巨漢が立ち塞がった
そして全力の殴打を振るう相手に注意を割かなくてはならない
となると……
「な!?」
驚いたガンヒルドが見たものはもう一人だった
警戒が薄くなったのを見計らい巨漢の背を踏み台とした覆面の者が跳び超えた
「そっちに行ったぞ!」
ゾーイックは恐怖心を耐え相手を出来る限り動きを観察した
(ナイフ投げ!)
着地を安全にするための牽制だ
刃に何か仕込んでいる可能性があるが仕留めることより自身の安全性と行動を保証する一手
「なら!」
回避は不可能でもない
二本のナイフは地面に当たるとキンッと音をたてて少し跳ねるだけだった
同時にその持ち主も見失う
「消えたか!」
足音も聞こえない
どこにいるのかなど考えるのも無駄になる
(怖がれば怖がるほど相手は強く見えるんだ、惑わされるな、あの時もあいつは無敵ではなかったんだ!ここまで来てやり直しはもう嫌だろ!!)
「危ない!!」
強く手を引っ張られ数歩引き寄せされた
その数歩分の空間を刃が走る
バランスを崩した二人を見逃すはずもなく刺客は最後の追撃を仕掛けに腕を伸ばす
「うぐぅ!!」
ゾーイックの腹をナイフは突き刺した
「イャァァァ!!」
悲鳴近くからリンの悲鳴がする
『もう二度とやりたかぁないね。』
全力でナイフを持つ手首をで握る
反射的にい今この場で一番強く早い一撃を、彼は刺客の手首をありったけの力で膝蹴りを食らわせた
ナイフから手が離れタックルで跳びこむ
幸いにもゾーイック・フェミテーションの体はあの刺客より大きいからそれだけは有利だ
力の限り相手の両腕を押さえつけた
「離すもんか、お前なんか!!お前ぇ!!」
必死に取り押さえつける
自分の目の前で無慈悲に冷酷にリンを殺した
だから容赦など絶対にできない、自分の中の恐怖を消す為にも
たとえその犯人が行動に移していなくても
「アァァァァァ!!」
叫ぶ、恐怖を無理矢理押し込める為に
「ァァ、グォ!?」
力でねじ伏せていたはずだが鈍痛がし、瞬間蹴り飛ばされた
刺客は起き上がろうとするが今度はその悪あがきは許されなかった
「そこまでです、あなたの負けです!」
リンが上体を起こした刺客をうつ伏せに取り押さえたのだ
ゾーイックの時とは違い力だけではなく要領を以て的確に、しかもうつ伏せなのでもう抵抗のしようがない
「大丈夫ですかあなたは!」
ゾーイックに様子を尋ねる
「だ、大丈夫!……ちくしょー、こんな時に、下品な……いや……」
彼は苦痛の表情を浮かべるがなんとか無事だった
顔に涙を流している




