二度目の目標選択
中島健一はなぜかアニメ『アリアントクライシス外伝 ガンヒルド』のクズキャラ、ゾーイック・フェミニテーションとして生きていくことになった
そしてそのクズキャラによってガンヒルド・クルバフという人間は非情の悪人になってしまうので悲劇が起こらないよう中島健一はガンヒルドと関わらずに生きることを選択した
…がなぜか失敗、また始めからやり直しになった
…やっぱり逃げても何にもならなかったのか
だけどなんでやり直しになったのだ?
理由があるなら考え直さないといけないな…
俺は学校に着き頭を働かせ肝心なことを思い出す
ゾーイックが消えてもまだガンヒルドに災難は残っていることだ
アニメの内容を全部は覚えていないがそれをなんでなんで忘れていたんだ…だがゾーイックが消えてもまだ悲劇は終わらないことを思い出せたことはプラスに考えよう
だけどなんで振り出しに戻ったかはわからない
でも俺の、ゾーイックの人生は振り出しに戻された
なら俺が生きる意味は…
「先生がいるのよ。挨拶くらいしなさい、ゾー」
「いいですよ、それくらい思い詰めているのでしょう」
「…俺に生きる意味はあるのでしょうか?」
先生と母さんはどうしていいかわからず苦笑いする
「…そんな思い詰めなくてもいいですよ。ほら、何か目指していることは何かありますか?」
「…未来を掴めるようになること」
「馬鹿なこと言わないの!何か…あるでしょ!」
冒険者がだめだったし実質この世界で生後一年(学校の訓練期間)と一ヶ月(冒険者としての活動期間)の人間にこの世界自体、社会自体へかける情熱はただのアニメファンだった俺にはないし今からではあったとしても目覚めて2時間程度(起床から)しかなく完全に間に合わない
ならせめてガンヒルドがどうするかは遠目でも見たほうがいいな
「軍への入隊…とか?」
「何言ってるの?今まで何もしてきてないのにできるわけないでしょ」
そうだよな、普通そう言われる
母さんの立場なら絶対そう言ってる
だけど俺は既に少なくとも冒険者をちゃんとできる新人レベルならできていたんだ
軍隊は多分ハードルはかなり高い
けど実質冒険者になってすぐに一度終わったから次も巻き戻される可能性はある
ゾーイックがいなくても、時間が戻らないかったらもしかしたらガンヒルドは殺戮の道に走ったかもしれない
ならせめてガンヒルドが虐殺ルートに行くのを阻止しないといけない
巻き戻りを回避したところで国は大炎上し巻き込まれて殺されるだろう
あと外伝のファンとして少女のガンヒルドが好きになったから…
「先生…俺、絶対なります…逃げようとしたけどそれではだダメだった。悲劇が起こるか起こらないかの瀬戸際なんです。だからこの選択は曲げない」
ガンヒルドに会えるし
「軍人ってあと卒業まだ一年ちょっとよ、本気でやるの?」
「私は教師ですが今急に軍人を目指す人の前例はな…一つありました…つい最近のことです」
「へ!?」
いるのかよ!?母さん驚いてるけど俺もビックリだよ
「…しかしその生徒は素晴らしい成績と素質がありそれで軍人に変更しようとしていることが前提です」
しっかりと前例を使って釘を刺しに来た
「でも僕だって…」
「ゾー、貴方は父さんの後を継がないといけないのよ。だから馬鹿なことは言わないで」
ゾーイックの父親はすごい企業の社長だった
だから後釜は必要なのはわかる
でも国が荒れてしまう本編の国家反逆虐殺ルートだと社員の人達はちゃんと無事でいるのかよ…大社長はたくさんの社員がいるから、そしてものすごい人数の人が平和に生きているからなれるんだ…
「今はどうなるかわからないけどこの選択が僕にとって一番になるかもしれないんだ。あとこのゾーイックが社長になったら絶対アカン」
ゾーイックはクズだしもし需要は虚無だろうけどゾーイック視点のストーリーがあったらたくさんの人達を保身で切り捨て泣かせるだろう
意思が完全にゾーイック化、または人格がゾーイックに切り替えられたら多分そうなる
だから勝手にだとしても断ち切る
「僕は社長になる器じゃない自覚があるし軍人がカッコイイとか強そうだから入るわけじゃない。本当の本当に必要だから目指すんだ」
「あの…ゾーイック君?」
「何言ってるかわからないかもしれないけどもう二択なんだよ。社長やって早期永眠か軍隊に入って活路を見出すかかの2つ!」
「ゾー…」
「え〜と、えぇ…」
そこから進路相談は進まずとりあえず今からでも軍人になりたいなら訓練コースがあるので本当になる気があるなら入ってきなさいと話がまとまった
軍人志望のコースといっても期間は一年でみんな同じらしい
ただし他の生徒達はみんな予めなると決めた上で入る
つまり築き上げた努力や知識を持った上で入るのだ
だからこの一年だけで鍛えるつもりの俺とは違う…だから絶対的な才がない限り一年で入ることは愚策である
結論として母さんは軍人を挫折しても他に仕事ができるようになることが条件でなんとかわかってくれた
それから数日して、入隊希望をする生徒として俺は学校の育成施設に入ることになり最初から希望していた生徒より遅れてから俺は入ったことになってるらしい
軍隊コースでは弁当持参が絶対だそうで弁当を作ってもらった
母さんのお弁当なんていつぶりだろうか
そして遅れて希望した生徒がもう一人いた、まさかとは思っていたが…
あだ名の通り銀髪の女子生徒
「が、ガンヒルドだ…」
小声だったが思わず口に出た
先生が言ってた進路変更した人とはガンヒルドだった