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猫ボルト(子は鎹)

作者: ヒロモト

あるところに腕はいいが真面目に働かず嫁に苦労ばかりかけているバイク職人のタマゴロウという男がいた。

タマゴロウに愛想をつかしたかみさんは離婚届を置いてネコボルトの猫坊をつれて出ていってしまった。


それから三年。

かみさんと猫坊を失ったことを後悔し、真面目に働いたタマゴロウは元々腕がよかったこともあり、裕福になった。

しかしどれだけ金が入ってもかみさんと猫坊を失った寂しさは消えないまま。


ある日ニャーレー・ニャビットソンに乗って町を走り回っているといじめられているネコボルトを見つけた。

助けてみるとそれはなんと猫坊!


「ネコっつぁん!」


「猫坊じゃねぇか!?」


猫坊に訊くところによると、かみさんはまだ自分に未練があり、独り身だということ、生活は楽ではないこと……


「キャットさん。ずいぶんネコっつぁんに未練があらぁ」


まだかみさんにあう勇気はないタマゴロウは猫坊に小遣いを渡し、明日鰻を食いにつれてってやると約束してその日は別れました。


「俺と会ったことはキャットさんには内緒だぜ?」



その日の夜。


タマゴロウにもらった小遣いをキャットさんに見つかってしまった猫坊。


誰からもらったときかれてもタマゴロウとの約束を守り、知らないおじさんからもらったと言い張ります。


とうとうキャットさんは泣きながらスパナをふりあげます。


「貧しくてもあんたにひもじいおもいをさせた覚えはない。このスパナはネコっつぁんのスパナだ。これで殴るのはネコっつぁんが殴るのと同じだよ。さぁこらしめてやる」


猫坊は観念して全て白状してしまいます。


ぐうたら亭主が真面目になったときいて嬉しいがなんだか会うのは気恥ずかしいキャットさん。


翌日猫坊に晴れ着を着せて送り出したキャットさんですが、気になって鰻屋の前をうろついていたら猫坊に見つかってしまい、鰻屋で久しぶりに親子二人と一匹の団らんとなる。


顔を赤くしてモジモジモゴモゴしている二人に猫坊は言いました。


「二人ともよりを戻したいんだろ?そう言っておくれよ。おいらもまた家族で暮らしたい」


この一言をきっかけに急速に打ち解けていくネコっつぁんとキャットさん。


元鞘。


二人はしみじみ言いました。


「しかしあれだなぁ「子は鎹」というが、あれは本当だな」


「鎹といってもボルトだよ」


「猫のボルトかい?」


「ネコボルトだけに」


最後に猫坊こう言った。









「へぇ~。おいらはボルトかい?どうりで昨日おいらをスパナでしめるって言ったんだ」



余談ですがBOLT(ボルト)ってバイクがあるらしいです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ほのぼのするお話、と思ったら最後のシメが利いていました。 ボルトと、スパナだけに! 面白かったです!!
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