背徳なる檻の中
「狭くないか?」
「快適デスヨ」
そういうとご主人はへにゃりと笑った。その顔が少し幼く見えた。
わたし、ツキは檻気が付いたら檻の中にいた。
わたしを見つけたご主人いわく、魔女の呪いだといっていた。なんだ、それは。とならなかったわけではない。でもご主人はそんな厄介な身のわたしを拾ってくれた。
なんて優しいお人か。
「ご主人、ご主人」
「なんだ?」
「ご主人は寒くないデスカ?」
「あぁ、俺は大丈夫だ」
そういいながらくしゅんとくしゃみをするご主人はわたしを拾ったときよりもずいぶんと頬骨が出ているように見える。
「なぁ、ツキ」
「なんデスカ?」
「俺の寿命はあとどのくらいだ?」
「ご主人の寿命はみたくないデスヨ」
檻の中にいる代償としてわたしは人の運命が見えた。
たとえばそれは命の終わるときとか。
運命の出会いの日とか。
その人の過ごしてきた過去の運命とか。
いくら見えてもご主人にしか伝えられない。
いくら見えたところでなんの役にもたたない。
そんな呪いをなぜうけないといけなかったのかはわからない。
ご主人はそれが運命なんだよと言っていた。
「頼むよ」
懇願するようなご主人の寿命はあと1日を切っていた。
「あと、15時間デスヨ」
「あぁ、やっぱりなぁ」
ご主人はわかっていたように口を開く。
「わかっていたデスカ?」
ご主人はにっこり笑うとうなづいた。
「ツキ。俺がいうことをよく聞いて」
「ハイ」
「君は、運命が見えるというね」
「ハイ」
「君を見つけることができるのも、運命が終わる僕たちみたいなやつらなんだ」
それにこたえることはできない。
「だからね」
「そう、わたしは死神とよばれてイマスヨ」
ご主人は静かにわたしを置いて町にいく。
わたしはまた町の付近の森で誰かに拾われるのをまっている。
誰かの運命を吸って生きていかないと生きていけない、そんな檻にとらわれている。
リハビリ小説です。
長編にチャレンジしたいなぁ




