明日世界が終わる日の今日
最終話です。心してお読みください。
ねえ、もしも明日世界が終わるなら君は何をする?
こんなありきたりの問いかけの答えを、真剣に考える日が来るとは思わなかった。そして、その答えを出さなくてはならない日が来るとも思ってなかった。
わたし、は…
▽▼▽▼▽
「…廉、今日ちょっとだけ会える?」
今日は土曜なのでもともと学校がなく、さらに昨日の本能的な悪寒から、廉に電話をかけた。
来てくれるだろうか。そんな不安は杞憂に終わり、躊躇いなく、会えると言ってくれた。
時間と場所、湊音も呼ぶつもりだということ、それから伝えたいことがある、と伝え待ち合わせることにした。
電話を切ると同時にかけ直す。次ぎは湊音に。
「ねえ、湊音、今日ちょっとだけ会える?」
▽▼▽▼▽
場所は駅前の広場。以前クリスマスダブルデートで待ち合わせた場所。
二人とも来てくれるそうだ。
日頃時間ギリギリの湊音は、今日は廉より早く来ていた。
ぎこちない世間話をしていると廉も現れた。
「来てくれてありがとね。あのね。」
思っていることをすべて言葉にした。
自分がもうじき母のあとを追う予感、昨晩の不思議な感覚、廉への感謝、湊音への感謝、全部全部言い終えるまで二人共黙って聞いてくれた。
昨晩の不思議な感覚は二人にもあったらしく
「俺も、思ったよ。多分今日が最後って。だから、、紬に会おうと思ったんだ」
「わたしもよ。家族と過ごすのも大事だけど、私は、紬、貴女が好きで大切な存在だから。」
二人の言葉を聞いて、涙が溢れた。
嗚咽をこらえながら、ありがとうと、ただありがとうと言い続けるしかできなかったし、それが本心だった。
それから日が暮れるまで3人で話した。
叶わないけどやりたかったこと
「俺ね、1回でいいからスカイダイビングってやってみたかったなぁ」
今からでも出来そうなこと
「わたしね、どうせ死ぬならお菓子食べまくりたいわ〜カロリーとかも気にせずさ〜」
不可能なこと
「そういえばさ、私、湊に、アイツに言い残したこといっぱいあるわ。」
思い思いくちに出せば、叶う気がして
色々なことを話した。
ふと、同時に空を見上げる。
もう、来る。
「…じゃあ、、また後でね」
そう言って、返事を待つまもなく、眩い光に包まれた。とても熱く温かく優しい光だった。
▽▼▽▼▽
『紬、』
名前を呼ばれた。懐かしい声だ。聞きなれた、大好きな声。
『お母さん…!』
今度は迷いなく駆け寄り、母に抱きついた。それはとても長い時間だったかもしれないし、一瞬のことだったかもしれない。母に会えたということが時間を忘れるほど嬉しかった。
母は何かに気づいたようで、私の肩をちょんちょんと叩き、あっち、と指を指す。廉の湊がそこには居た。
「廉…!湊…!」
名前を呼び思わず走り出しそうになった。しかし。どうしていいかわからず母を見る。
「行ってらっしゃい」
「…!ありがとう」
家族も大事だが、同じくらい彼氏や友だちも大切。それをわかってくれた母。
「紬!」
呼び止められ足が止まる。
「よく頑張ったわね!」
母のその言葉に不意に涙がこぼれた。
誰かに肩を叩かれる。
振り向けば、湊音だ。
「紬が泣いてる気がして。走ってきちゃったよ。」
涙を拭いながら、親友のお出ましね、なんて言ってみる。
「よくそんな恥ずかしいこと言えるわ。否定はしないけど。」
どちらからともなく笑い出す。私の、私たちの世界は終わってしまったかもしれない。でも終わりの世界でまた笑い逢えている。いまはそれでいいじゃないか。
ふと見れば、母さんと廉、湊は同じところにいた。いつの間に、とは思ったが走り出す準備は出来ている。
「行こう!紬!」
「うん!」
手を取り駆け出す。
もう終わってしまった世界の向こうへ。
改めまして、
これでこの作品『明日世界が終わる日の今日』は完結となります。
拙い文章、不定期な更新にも関わらず、ここまで読んでくださった皆さま。本当にありがとうございました。
また、今回、バッドエンドの中のハッピーエンドを書いたつもりですが、人によっては後味の悪い作品となってしまったかと思います。
またまだ精進していきますし、次回作の予定も有り有りですので
良ければ、また思い出した頃に私、イルミネの作品を読んでいただければと思います。
繰り返しの長文になってしまいましたが、もう一度だけ。
ご愛読ありがとうございました!!




