廉の望い。
「…ねぇ、廉くん」
「どしたの?九十九さん」
「あの二人が…、そろそろ、やばい、かも…しれない。」
「…というと?」
心配そうな顔の九十九さんがつづける。いわく、二人は小さい時から暑さにめっぽう弱く、そろそろバテるのではないかと。
できる限り気にかけると答え、解散となった。
紬が再び倒れたのは、その話の2日後だった。
▽▼▽▼▽
紬の体調が落ち着いたらしく、今日の放課後、3人でお見舞いに行くことにした。プリンやスポドリといった適当な手土産片手に訪問した俺たちを出迎えてくれた紬のお母さんは、心配や安堵、不安や信頼の混じったなんとも言えない表情だった。
「紬〜?大丈夫〜?」
「あ、湊音。二人も。きてくれたんだ。」
「あんまり大勢で押しかけるのもどうかと思ったんだけどね〜?3人くらいなら許されるかなあと思って(笑)」
「ありがとう。うれしい。」
紬はそう言いながらベッドを降りようとする。あわてて、
「寝てなきゃダメでしょ」「寝てなきゃダメだよ」「寝てなきゃだろ」
制止する湊音、俺、湊の声が揃った。
一瞬の沈黙の後、紬が笑い出す。
「ぷっ。あはは。そ、そんな一斉に言わなくても。あははは。」
つられて、3人も笑う。ひとしきり笑ったあと、
「はぁーっ、おもしろっ!笑った笑った。そんな、全員が言うならお言葉に甘えて寝てるわ〜。」
そう言って、紬はベッドに戻り、長座の姿勢を取る。寝てるとは言ったものの、まだまだ話したいという意思表示だろう。俺たちも、特に言及はしなかった。
「で、気になってたんだけど。」
口火を切ったのは湊だった。
「なんで、右手隠してるの?」
静寂に包まれる。
「隠してた…訳じゃないんだけど、いま、わたしTシャツでしょ?目に入るのも嫌かなと思って。これ。」
紬が伸ばした右腕は、痣や擦り傷に覆われていた。
「全部、部活なんだけどね〜。しかも右腕だけっ!」
紬はケタケタ笑ったが、九十九さんはいたたまれなくなったのか、紬に抱きついた。
「もぉー!健気!いい子!持ち帰りたい!」
ぎゅーっとハグしたあと、九十九さんの目はこちらを向く。察したように、湊の視線もこちらに動く。
要求されている事はわかった。
紬に近づき、頭を撫でる
「よくがんばったね」と。
恥ずかしさから、視界は白く、顔は赤く染まる。
今度は自分が倒れそうだ。
紬の満足気な笑顔、その他二人のにやけ顔。自分は顔をそらすほかなかった。
どーも。イルミネです。
忘れた頃の更新です




