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明日世界が終わる日の今日  作者: イルミネ
第三章
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真性イケメン

※イケメンが出てきます。イケメンに拒絶反応の起こる方はすっ飛ばしてください。

(ふっふ~。今日俺、なかなか早いんでない?)

 揚々と待ち合わせ場所に向かう。普段なら、デートでこんなに早く来ることもない。が、今日は特別。クリスマスなのだから。

(いや、違うな。)

単に、クリスマスだから、ではない。今年のクリスマス、最悪ならもう二度とないかもしれないからだ。 世界が終わるかもしれないのだから。

 (よそう。デート前に暗いこと考えない!)

 待ち合わせ場所に着くのとほぼ同時に思考を振りきる。そこにはすでに廉が立っていた。

 「…おはよ。廉、早えな。他は?」

 「おはよー。俺も今来たところだよ~。二人はまだ来てないよ。」

廉が気を遣ったのがわかる。廉の手は、紅くかじかんでいたのだ。

 「…俺には気ィ遣わなくていいのに。トイレ行ってくるわ。」

 「ははは、いってらっしゃい。」

 思考を切り替えるためにその場を離れた。逃げたのではない、戦略の立て直しのためだ。

 (くそ、今日も廉にカッコいいとこ持ってかれんのか⁉)

 いや、今日くらいは俺だって。


▼▽▼▽▼

 待ち合わせ10分前、到着。私が着いてまず目にしたのは、、柱の影に隠れて廉を見ている湊音みなとだった。相応の理由がなければ不審者だ。いや、あっても不審者に変わりはないのだが。

 「なに見てんの、不審者さん。」

 「あ、つむぎ。出ていくタイミング図ってんのよ。」

 「タイミング?」

 「そ。今日くらいはオトコ共に花持たせてやろうかなーって。」

 「…本音は?」

 「遅れてって、ごめん待った?ってのやりたい。」

 「いいな、それ。私も混ざる。」

私も、湊音とともに柱の影に隠れ、作戦に加わることにした。


▼▽▼▽▼

 トイレという名目の作戦タイムから戻ると、廉が逆ナンパされていた。さらに同じ視界の端には、柱の影に隠れる湊音と、その後ろでおろおろする紬が居た。

(あいつら、なにしてんだ?)

よくわからないが、このまましばらく眺めてた方が面白そうだ。ナンパが終わるまで待とう。



 「廉、なに今の。ナンパ?」

 「あ、おかえり。そう、かな?一人ですかぁ?って。」

 「うん、それはナンパだ。もてやがっt 」

 「後ろ。あぶない。」

グイッと廉に引き寄せられる。

背後をソフトクリームを持った少女が通りすぎた。

(この時期にソフトクリームって…寒くねえのか。)

そんな疑問とは裏腹に、少女は嬉しそうに走って戻ってきた。親の所に戻るのだろうか。


 ちょうど、目の前に来たとき、少女がつまづいた。不幸中の幸いで、廉が咄嗟に支えたために怪我はないようだ。しかし、その手に持っていたソフトクリームは廉の上着に見事に命中していた。母親らしき人が青い顔で駆け寄ってくる。

 「こら!なにやってんの!すみませんうちの子…が」

 その母親もソフトクリームの行方に気がついたらしい。さらに青い顔で、「すみません!すみません!」と謝罪している。

 一方の女の子は泣きそうだ。

 「あ、あいす…」

 「アイスじゃないでしょ!謝りなさい!」


 「お母さん、そんなに怒らないであげてください。」

廉は母親に言うと、今度は屈んで女の子と目線を合わせ言った。

 「ごめんね。俺の上着がアイス食べちゃった。これでもう一個買ってきな?」

とポケットから五百円玉を少女に渡す。

 「そんな…受け取れません!うちが悪いのに!」

今度は母親が狼狽うろたえている。ここは少し助け船を出してやった方が良さそうだ。


 「お母さん、カッコつけさせてやってくださいよ。」

 「いや、でも…!」


 「まあまあ、小さい子のやったことですし、気にしないでください。」

廉のこの台詞が、止めの一撃となったらしい。

ごめんなさいとありがとうございますを言ってから、親子は去っていった。


 「ひゃー、カッコいいねぇ、廉きゅん?」

 「小さい子のやったことだし、その呼び方はキモい。」

そう言いつつ、廉は満足気な顔で、かつ慣れた手つきで上着を拭き始める。

 「ひゃー、やっぱ上着脱ぐと寒ィな~。」

 「イケメンかよ。」

 「なに、男に褒められてもなんもねーぞ?」

 「あ、イケメンは否定しないんだ。」

 「…死ね」

 満足気な顔が、さらに紅く染まっていく。照れていてもイケメンは画になる。世の中、ただしイケメンに限るとはよく言ったものだ。


 見るのに耐えかねたのか、女子二人も柱の影から出てくる。声を揃えて「ご、ごめーん、待ったー?」

やりたかったのはそれか。二人の声は上擦っていて、演技なのはバレバレなのだが、やはりイケメンはここでも炸裂し

「いや、俺たちもさっき来たとこ。二人とも、今日はお洒落だねえ。可愛いよ。」


 おそらく、ここで俺と女子二人の思考は一致した。

 (イケメンめ…!)



どーも、イルミネです。


三人(イケメンめ…!)

私(イケメンめ…!)


ただしイケメンに限るとは、ホントよく言ったものです。生きづらい世の中だぜ…

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