遠い日の今日。
廉視点がまだ続いてます。
光に痛みを感じたのは初めての経験だ。
光が当たったのは左頬。湊が証人で、あいつも右頬に違和感を覚えたらしい。
虫歯などは二人ともない。れっきとした、外側からの痛みだった。
家で鏡を見ても、特筆すべき変化はない。
普段ならこんなことでは動揺しないが、何故か今回は形容し難い不安に駆られた。
紬、湊、九十九さん(湊音)など、数人にラインや電話、メール、あらゆる手段・話題で繋がりを求めた。
「あ、紬?」
「ん~。どしたん~?」
「…要件忘れちゃった。勉強捗ってる?」
本当は要件など無い。ただ声を聞きたかったのだ。
「まあー、ぼちぼちよ。」
「そっか。 テスト終わったらデートとかどう?」
「!なになに!珍しいね、もちろんいいよ!よっしゃ勉強頑張るわ!」
「がんばってー。」
「もしもし湊?頬っぺた、何か変化あった?」
「んーにゃ、何もなかったな。」
「そっか。すまんな。変な電話して。」
「んー、気にすんなー。じゃなーー」
「おう。ありがとう。」
「あ、九十九さん?」
「そ、う、だけど、珍しいね。どうしたの?」
「いや、大したことじゃないんだけど、」
「うん?」
「九十九さんが99で、湊は一之瀬で1でしょ?足したらちょうど100になるんだな~なんて。」
「ほぉー!ロマンチックなこと言うわねぇ。でも知ってたわー!今ごろ気づくとはお主まだまだよのう~」
「ハハハ、ちなみに何人知ってるの?」
「んー、あたしと廉くんだけじゃない?」
「…二人だけの秘密~って?」
「やぁだ、そーいうのは紬とやりなさい。」
「そうだねー。ごめんね。変な電話して。」
「気にすんなー。」
「ありがとう。じゃあ。」
あらかたの繋がりを作り、一段落ついたところで気分も落ち着いてきていることに気がついた。不安はまだ残っている。
風呂、食事を終え、完全なリラックスモードでそのまま眠りについた。
その日の夢は、何かから必死に逃げていた。
▼▽▼▽▼
明くる土曜日、目覚めは最悪。勉強もあまり手につかず、煮詰まらない一日だった。
日曜日。明日から期末。気分を切り替え、勉強に集中する。正直、不安は未だに残っている。
今日は、12月2日の日曜日。
春はまだ遠い日の今日。
どーも、イルミネです!
まだ廉視点が続いてます!
物語はクライマックスへ。
嘘ですごめんなさい。まだ3章・転と4章・結があります。そこまで付き合ってくれれば嬉しいです。