3 異能判定
正月で遅れました。
あの事件から、一ヶ月経った。
未だに各国は混乱の渦中にあるし、情報が少なすぎてどうしようもない。
だけど、2つ、大きな動きがあった。その一つが今月を通して行われている、『異能判定』。
これは所持者の異能のクラスを測るもので、国が主催して行われている。こんな非常事態でも国が潰れないなんて、さすがだ。
異能のクラスなS~Fの7段階。もっともこれはただの基準なので、本人の使い方次第では大いに化けることがあるそうだ。
それぞれのクラスの大まかな強さを表すと、
Sクラス:軍隊を余裕で相手にできるレベル。規模で表すならまさに核兵器。一国を滅ぼすこともその気になればできると言われる。Sクラス異能の所持者は確認された中で6人。各国が喉から手が出るほど欲しがっているが、日本にのみ発現。
Aランク:兵器に例えるなら戦車。攻守を併せ持つ強力な異能。所持者は全世界で60人ほどおり、恐れられている。
Bランク:ミサイル、または城壁のように、攻守どちらかに特化していることが多い。バランス型もいるが、Aランクには一歩及ばずといったところ。
Cランク:アサルトライフルや、ライオットシールドのレベル。十分強いが、上と比べてはいけない。絶対に。よくて平凡、悪く言えば中途半端。周りが気を遣ってくれるけど、心はズタボロ。頑張れ、Cランク。
Dランク:家事とかに使ったほうが良いよ。
Eランク:最初はちょっと驚くレベル。…最初は。
Fランク:…。
とまあ、こんな感じだ。
Aランク以上の強力な異能を持つ人間は極少数。大体の人間の土俵はBランクまでと言われる。
まあもっとも、全員が全員戦うわけではない…と思っていた時期が僕にもありました。…どっかの神様が言ってた通り、これは『あいつら』にとって、ただのゲームらしい。あの事件から一週間ぐらい経ったある日、目の前に【ステータス】が現れた…。何を言ってるかわか(ry
ほとんどの一般人はレベル1で、ステータスもそれぞれ10あれば良い方だった。各々が持つ異能も表記してあって、中学三年生としては心躍るものがあった。
レベルが上がる方法としては、ひたすら修練を積む…のではなく、【魔物】を倒すこと。
【魔物】とは何か?それは、欲望に取り憑かれた人間が死んだ時、その魂が変質化し、ファンタジー世界で言うところの
『ゴブリン』や『オーク』、『スライム』なんかになったものだ。その姿は一貫して醜く、目を背けたくなる。
【魔物】、【異能】、【ステータス】…これを異世界と呼ばずして、なんと呼ぶ。
テレビではお偉いさん達が言い争っているが、今の僕には興味がないことだ。
こんな変わり果てた世界で、生きていく。それこそが目標なのだから。あの神様の言ってたことが本当なら、僕は大事な人を、守らなければいけないのだから---。
「次の方、どうぞー」
僕の番だ。『最強の力』と、あの神様は言っていた。Sランクなのは間違いないんじゃないだろうか?