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魔法少女 ペコラ・パコラ・ポコラ  作者: 右藤 秕(ウトウ シイナ)
4/7

04:杖と箒

―――――――――――――――――――

◆ヒーラー

―――――――――――――――――――


 避難民が集まっている部屋は、テニスコート1面ほどの広さがあった。それぞれがダンボールを敷いて自分のスペースを確保している。俺達も空いているスペースにダンボールを広げて座った。


 食事をとってジュースをのみ、一息つく。ペチカも腹一杯になって元気を取り戻した。マユは至って普通で、もりもりご飯を食べていた。

 食料はかなり充実しているみたいだった。これは、避難した人間が少ないからだ。


 他の避難民達は皆、疲れた顔をして俯いている。ここにいるのはなぜか大半が老人だった。体力がないので逃げ遅れたのだろうか。


「あんたら、無事でよかったね。ほら、これ食いな」

「……ども」


 老婆にまんじゅうをもらった。疲れた体に程よい甘さが心地よかった。

 ふとみると、老婆は何かを大切そうに抱えていた。


「これかい? 孫の上着だよ。まだ寒いからね」

「ああ、お孫さんも無事で……」


 俺の肩を叩くものがあった。別の老人が目を伏せて頭をふる。夫婦だろうか。孫は助からなかったのか。

 老夫婦は自分たちのスペースに戻っていった。


 それと前後して、広間の反対側の区画から、数少ない子供の鳴き声が聞こえてきた。どうやら彼の母親が大怪我をしているらしい。

 看病している者達の話し声が聞こえる。


「もっと薬があれば……」

「このままじゃ……」


 あまり容態は芳しくなさそうだ。どうするべきか少し迷ったが、俺は立ち上がった。親子のほうへ歩く。


「ヨミ、まさか?」


 ペチカは再び姿を隠していた。この場の全員に事情を説明するのは面倒だからだ。そのペチカが少し慌てて俺を止めようとした。


「仕方ないだろ」


 魔法のことは隠しておきたかった。敵と同じ技を使うと、奴らの仲間だと思われる可能性があったからだ。しかし――


「ちょっと見せて下さい」


――しかしそれは、助けない事の言い訳にはならない。俺にできることで救われる人がいるならば、何もしないという選択肢は俺にはなかった。


 不審がる者たちを尻目に、俺は【癒しの雫サニタトゥム・スティラ】のスペルを唱えた。

 柔らかな光が患部を包み、みるみる傷口が塞がっていく。


「おお、これは……」

「いったいどうなってるんだ!?」

「……ありえない」


 全快までは続けずに、命を取り留める程度で止めておく。MPを節約して、できるだけ多くの患者に呪文を使うためだ。


「奇跡だ……!!」

「魔法!?」


 部屋の中にどよめきが広がっていった。

 泣いていた子供が半ば呆然としてこちらを見ていたが、ハッとして目を見開き、俺のそばまで駆け寄った。


「お兄ちゃん、ありがとう!!」

「……おう」


 やってしまったものは仕方ない。俺は開き直った。


「他に怪我人は?」


 俺の質問に、つぎつぎと声が上がった。魔法に対して戸惑う人も多かったが、目先の痛みには代えられないのだろう。

 俺は、重症者から順に治療を始めた。


「魔法だと!!?」


 神父の格好をした男が近寄って来て奇声を上げた。


「貴様、魔女の仲間か!!?」


 人々の間に緊張が走った。

 怪我が治るという利点のおかげで、魔法に対する不信感を忘れていた彼らに、神父が現実を突きつける形となった。

 ざわめきが部屋の中に満ちる。ペチカがオロオロとしはじめた。


 騒ぎを聞きつけて、数名の自衛官が駆けつけてきた。その中から、灰村が前に出る。


「なぜ、さっき言わなかった?」

「……こうなるからですよ」


 極力逆らわずに答える。灰村がじっと俺を見据える。何かを見極めようとする目つきだ。


「お前は人間なのか?」

「もちろん。ちょっと魔法を使えるけど」


 100%信じてくれたわけではないだろうが、灰村は他の隊員を引かせた。偏見にとらわれず、自らの理性で判断しようとするその姿勢は信頼に値する。


 それでも、そう簡単には引き下がらない者もいた。


「ダマされるな!! 魔女は敵だ!!」


 神父がなおも食い下がってきた。若干頭が固そうとも思うが、彼が実際に敵の魔法を見たのだとしたら、その気持もわからなくはない。

 ただ、その頑なさには、ひょっとすると彼らの教義が何か関係しているのでは? とも思う。宗教には、自らの神を信じるあまり、他のものを一切認めない、融通が効かない面がまれにあるからだ。


「待ってよ!!」


 先ほどの子供が俺の前に立った。


「なんでそんな事いうの? この人は僕のお母さんを助けてくれたんだよ!?」


 その子に続き、俺の治療を受けた他の者たちがかばってくれた。それでも、神父に同調するものも数人いて、そこここで言い争いが始まった。判断がつかず、ただ狼狽えるだけの者も多かった。


 灰村が室内の混乱に目をやって口を開く。


「こうなる事をわかっていて、なぜ魔法を使った?」

「困ってる人はほっとけないでしょう。助け合わなきゃ、生き残れない」

「…………」


 数秒考えて、彼は決断を下した。


「皆聞いてくれ!! たしかに彼は魔法を使う。だが、害はなさそうだ。魔法は武器みたいなもので、問題は使う者しだいと言うことだろう。自分は彼……日奈森ヨミを信る!」


 しばらくざわめきが続いたが、彼の言葉でほぼ全員が警戒を解いてくれた。騒ぎは徐々に収まっていく。

 それでもなお、未練たらしく神父は食い下がった。


「し、しかし、そいつが魔女の仲間ではないと言い切れるのか!?」

「だって、そのお兄ちゃんは魔『女』じゃないよ?」

「……うぐ」


 現時点で、敵は女の形をしたものしか確認されていない。ひょっとしたらどこかに男の魔法使いの敵もいるかもしれない。とは言え、ここで神父は引き下がった。俺の方を睨みつけて、喚き散らすのを忘れはしななかったが。


 もし、俺が女だということがバレていたら話は更にややこしくなったかもしれない。これまで以上に気を付けて正体を隠さなければならないだろう。



―――――――――――――――――――

◆岐路

―――――――――――――――――――


 避難民たちはそれぞれ散っていったが、灰村が1人残った。


「君たちはこの先どうするんだ?」

「ええと、その……」

「実は先ほど味方と連絡がとれてな。迎えをよこすと言ってきた。全員で避難することになるだろう。もちろん、君たちも来るんだ」

「ホントですか!?」

「ああ。C市に残存部隊が集結しているらしい。避難民も大勢いるそうだ」

「C市って……。そうか米軍基地がある」

「米軍だとて、奴らに勝てるとは限らないが、行ってみる価値はある」

「……確かに」


 俺の服の裾を引っ張る者があった。ペチカだ。哀願するような目でこちらを見ている。


「……ですが、すみません。俺達は、エスニャを助けたいと思ってます」


 灰村が眉間に深いシワをよせた。本人に自覚があるのかどうか分からないが、ただでさえ怖い顔が余計に恐ろしくなる。


「何をバカな……。本気か!?」

「まあ、そう簡単にはいかないでしょうけど……」

「君たちも見ただろ? あの馬鹿でかい要塞を! あれをどうこうするなど、不可能だ!!」

「……そうなんですけどね。でももう約束してしまったので」

「しかし」

「てか、質問なんですけど、俺達に力を貸してくれるつもりは……?」

「……勇気と無謀は似ているが別物だ。自分たちは同行出来ない。民間人の保護が最優先だ」

「当然ですよね」

「その民間人に、君たちも含まれているんだがな」

「大丈夫。俺達には魔法があります」

「…………」


 俺たちを止めようと暫く問答が続いたが、やがて諦めて灰村は戻って行った。

 自衛隊員の協力が得られなかったのは残念だが、俺に彼を攻めるつもりはなかった。彼の判断は正しい。いやむしろ、要塞に潜入するには少人数のほうが動きやすいのでは、とも思う。


 ペチカが何か言いたそうに、もじもじしながらこちらを見ていた。


「?」

「……ヨミ、ありがとー。エスニャさまを助けるって言ってくれて」


 あらたまって言われると、少し気恥ずかしい。


「俺も、もしマユが捕まったりしたらと思うと他人事じゃないからな。……それに、エスニャなら、マユを人間に戻してくれるかもしれない」


 嬉しそうに俺の頭の上に止まり、次いで、マユの肩に移る。


「もちろん、マユもありがとう」

「ええ」


 平然としているマユを見て、俺は少し不安になった。


「正直俺は、マユには留守番してて欲しい。危険な目にはあわせたくないんだけどな」

「この中で私が一番強いのに? 馬鹿げてます」

「……だよな」



―――――――――――――――――――

◆杖

―――――――――――――――――――


 何はともあれ、俺達は暫くこの地下防空壕に居座ることになった。

 エスニャ救出のためには、さらなる戦力の増強が不可欠だ。ここなら、しばらくはマホウショウジョを気にせずに、集中して魔法の制作に励むことが出来る。


 魔法の強化、必要なアイテムの制作等、俺達は早速作業に取り掛かった。


「空を飛べないと話にならないから、魔法の(ホウキ)。魔法攻撃力アップのための(ステッキ)。要塞に侵入するための隠密系魔法。各種回復薬。それと……」


 魔導書のゴーレム解説ページに目がとまる。ゴーレムの特質や仕組みについていろいろ書いてある。


「……それと、マユの改造」

「か、改造!!?」


 マユが顔を引きつらせて一歩後ずさった。


「そんなに一度に出来るの……!?」

「やるしかない。まずは魔法のステッキだ」



**********



「魔法のステッキは魔法の増幅装置なんだ。魔法の威力を簡単に倍増できるよ」


 ペチカが解説を始めた。魔導書の解説者としての本領発揮だ。

 以前少し話に出たが、俺とマホウショウジョの魔法の違いはステッキの有無によるところが大きい。今までの俺は、剣を持たない剣士も同然だったのだ。


「材料は、この間倒したマホウショウジョが落としたステッキを使うんだ」


 バッグの中に入れておいた魔導書と敵の魔法のステッキを取り出す。

 ステッキは約30cmほどの棒状で、先端に正八面体のクリスタルが付いている。全体的に装飾過多で、いかにも、といった感じだ。


「杖はその人専用で、そのままじゃ他の人には使えない。だから一度ぶっ壊して、部品をもらって作りなおすんだ」

「なるほど。他人のアカウントの使えないPCを、リカバリして使うってわけだな」

「? その例えはわかんないけど、まずは、魔導書の『初心者セット・7つ道具』の中から『クラフト台』を出して」

「……これか?」


 魔導書の巻末から小さなクラフト台を取り出した。台といっても足はなく、机の上に乗せて使う形になっている。持ち運びに便利な折りたたみ式で、大きめのノートパソコンぐらいのサイズだ。魔導書よりも大きいのだが、一体どうやって収納されていたのか。


 クラフト台を開いて机の上に置く。

 台の上には枠線やら模様などが書き込まれており、大小の宝石や魔法装置が埋め込まれていた。


「魔法のステッキをその上に置いて、分解モードで起動するんだ」


 起動呪文を唱えると、魔法のステッキが瞬く間に分解されて、いくつかの部品を取り出すことが出来た。

 マナクリスタル、制御ユニット、マナバッテリーの3つだ。


「おお、すごい。マホウみたいだ」

「魔法なんだけど。次に、新しい杖の元になる道具を用意して……」


 元になる道具は何でも良いらしい。


「鉄でもいいのか?」

「いいよー」


 かつて、魔法は金属と相性が悪く、それゆえに魔法使いは木の杖を愛用していると聞いた事がある。どうやらあれはデマだったようだ。


 ふとした思いつきで、この前拾った弾のない拳銃を取り出す。これをベースに使おう。

 さらに、造形用特殊粘土(ゴーレムのあまり)を使用して、手に入れた3つの部品を拳銃にはめ込み、適当に成形する。どうせなら、接近戦も出来るように、ナイフもくっつけよう。


「絵を描くと好きな形にできるよ」

「ほう」


 専用羊皮紙(スクロール)に完成予想図を描いて、拳銃とともにクラフト台にセットする。

 あとは、魔導書に書いてある起動呪文を唱えるだけだ。


「――エグゼカウテ!!」


 クラフト台が光に包まれ、見る間に、銃や各種部品が新たな形をとり始めた。数秒後、光が収まり新たな魔法アイテムが姿を現した。


「すごい! ほんとに出来た!!」


 銃の面影も残してはいるが、銃身が倍ほども伸び、銃口の下から斧のような、死神の鎌のような刃が生えている。


「でも、杖には見えません」

「まあ、見た目はともかく、性能に差はないよ」


 マユとペチカにあれこれダメ出しされたが、俺は気に入っていた。


 さっそく地下防空壕の空き部屋で試し撃ちをしてみる。試射には【一乃炎(ウヌス・フレイマ)】を使うことにする。これなら音も小さいし、敵にばれないだろう。

 銃型ステッキを構えて呪文を唱える。


「【一乃炎(ウヌス・フレイマ)】!!」


 呪文と同時に、ステッキがオートで魔法陣を展開した。


「それは、『加速』の魔法陣だよ!」


 ペチカが解説する。魔法の杖に付与されるデフォルトの魔法陣だ。これは後から変更も出来る。

 ステッキの先に発生した炎の塊が、魔法陣の作用により急速に回転、圧縮され、灼熱の弾丸となって射出された。


 コンクリートの壁に炎弾が当たって弾け、直径30cmほどの穴が穿たれる。

 ギャラリーから歓声が上がった。


「すげえ、ホントに魔法だ!!」


 魔法の展開スピードや威力もアップしているようだ。今まであまり役に立たなかった【一乃炎(ウヌス・フレイマ)】もこれなら使える。


 異端(アエレジス)の杖。


 杖にも名前をつけ、魔導書と同期を取らせる。それにより、魔導書を持っていなくても杖を持っているだけでショートカット呪文を使用可能になるという。



**********



 準備は順調に進んでいたが、その間、一つトラブルがあった。マユが、風邪に似た症状で倒れたのだ。本来ゴーレムは風邪をひかない。


 すぐに回復呪文をかけることで、彼女は元通り復活した。ゴーレム制御呪文を自己診断モードに切り替えてチェックしてみたが、結果は正常とでた。本人も問題なさそうだ。


 だがこうなると、先日、手がとれた件も気になる。後で詳しく調べてみる必要がありそうだ。



―――――――――――――――――――

◆箒

―――――――――――――――――――


 作業と平行して素材集めも行った。

 マユには留守番をさせたほうが良いかとも思ったが、本人の意志もあって一緒に行くことにした。もしもまた倒れた時、俺が近くにいたほうがすぐに回復出来る。


 なるべくマホウショウジョとの接触を避けるため、駅まで続くという地下通路を利用して駅ビルをめざした。ここから駅までは直線距離で約600mはある。


 十何年も隣町に住んでいて、この辺りにも何度も遊びに来たことがあったが、大戦中にこんな地下道が作られていたとは知らなかった。おかげで駅までの移動がすごく楽になって助かった。


 半壊した駅ビルになんとか潜り込む。

 この建物には小さなデパートなみの色々な店が入っていた。ここの本屋にはよく来たものだが、今は、足の踏み場もないぐらい床に本が散らばり、薄暗い廃墟となっていた。


 100円ショップやドラッグストアで必要な物を調達する。

 マユは用があると言って20分ほど別行動をとった。何かと思って待っていると、やがて、パーカーとショートパンツ姿のマユが帰ってきた。ちょっと地味目だが今どきの女の子らしいファッションだ。他にも何着か着替えを持って来たようだ。俺には見せなかったが、おそらく下着も……。


 マユの普段着姿は初めて見た。改めて言うまでもないが、天使も色褪せるほどに可愛い。目が離せなくなる。


「……なんですか?」

「ん、ああ、その……。に、似合ってるよ」

「…………」


 頬を染めて、マユはそっぽを向いた。


 その後も、駅と避難所を何度か往復しつつ、コツコツと準備を進めた。



**********



 空中要塞に侵入するには、まず、空を飛ばないと話にならない。幸い、魔法使いにとってそれはさほど難しいことではない。魔法使いはホウキに乗って空を飛ぶものだ。


 魔法の箒の作り方は簡単だ。ステッキ同様、クラフト台で箒などにコアユニットをセットすれば良い。


 ただ問題は、俺のマナが少ないということだ。魔法使いはマナの力で空を飛ぶ。今のままではあまり長い距離を飛ぶことは出来ない。


「何か使える呪文はないか?」

「うーん。なんだろ?」


 魔導書の命令文一覧を片っ端からチェックする。「エネルギー変換」という命令文が目に止まった。


「それは、文字通りエネルギーの種類を色々変更出来る命令文だよ。熱、光、電気、重力などをそうごにへんかんするんだ」

「へえ。こいつは使えそうだ」

「でも、炎魔法を発動させてそのエネルギーを飛行魔法に変えても、消費するマナの量は同じだから意味ないよ」

「いや、大丈夫だ。魔法以外にもエネルギーはある」


 すぐさま設計にとりかかる。コアユニットはマホウショウジョの落とし物を流用する。基本設計と呪文の概要はすぐに出来た。

 ただ、必要な素材は多かったし、構造もオーソドックスな空飛ぶ魔法の箒よりは多少複雑になる。時間はかかるかもしれないが、腰を据えて少しずつ作ることにした。



**********



 その他にもやることは山盛りだった。

 (ポーション)を量産するために、錬金術ポットが必要だった。ポットは皆で集めてきた素材を使ってクラフト台で作る。


 問題はポーションの原料となる薬草だ。魔導書に書かれている薬草はこの世界には存在しなかった。

 調査の末、ハーブや香辛料が薬草の代用品として使えることがわかった。ローズマリー、ミント、セージ、ニンニク、バジル、ヨモギ、白檀香、生姜などだ。


 また、意外にも栄養ドリンクやサプリメントで代用することも出来た。水の代わりにジュースを使ったせいで、いろんな味のポーションが出来上がった。普通に旨い。


 ついでと言ってはあれだが、ポーションの一部は怪我人や病人にも配っておいた。


「あの薬、とっても良く効いたよ。ありがとね」

「い、いえ。大したことでは……」


 結構評判が良く、代わりにお菓子をもらったりした。


 さらに、必要と思われるあらゆる魔法や道具を思いつく限り作り、今ある魔法も色々と見直す。

 侵入に必要な気配を消す透明化魔法はペチカの魔法を参考にさせてもらった。登録名は【透明絶気(ヴェールト・オフ)】。

 【ニ乃炎(ドゥオ・フレイマ)】のバグはすでに修正してあるし、回復魔法など、燃費の悪い魔法の改善にも手を付けた。

 上空高く浮かんでいる要塞に接近するため、薄い大気に対応する魔法も考えねばならない。

 ついでに、増えすぎたアイテムを整理するために、いつも使っていた斜めがけのバッグをマジックバッグに改造した。


「そのバッグの入り口は亜空間につながっているんだ。容量はほぼ無制限だよ」

「……便利だな。他にも使い道がありそうだ。もう一個作っとくか」


 最後に、ダメ押しで念のため、以前から考えていた「奥の手」も用意しておく。


 すでにこの避難所に来て1週間が経過していた。その間、作った魔法は20を超え、体力/MP回復薬も30本ずつ完成した。

 締め切り前の漫画家、あるいはデスマーチ中のエンジニアのようなハードワークだった。

 そのうちペチカに教わることも少なくなっていく。


「レ、レベル2のくせにー!」


 この、敵の目から守られた避難所だからこそ出来た事だった。



 【続く】



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