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魔法少女 ペコラ・パコラ・ポコラ  作者: 右藤 秕(ウトウ シイナ)
3/7

03:逃走

―――――――――――――――――――

◆逃走

―――――――――――――――――――


 人工の光に邪魔をされない銀細工の星空が天を覆い、以前はあまり聞こえなかった川のせせらぎが耳まで届く。とは言え、今その風情を楽しむ余裕など誰にもなかった。


 俺(日奈森(ヒナモリ)ヨミ)は、ただの大学生に過ぎないはずだった。それがこんな事態に首を突っ込む事になろうとは、数日前には想像すらできなかった。


 見渡すかぎりの廃墟の中。100体近いマホウショウジョと使い魔の混成部隊に、俺たちは取り囲まれていた。こちらは魔法使い(ウィッカ)の俺とゴーレムの傘戸(カサト)マユ、そして闇妖精のペチカだけだ。対する敵は、マホウショウジョが約30、使い魔が約70。オマケに、空には巨大な要塞が浮かんでいる。いくら俺がレベル2になったからといって、とても太刀打ち出来る数ではない。


「くそ!! 【ニ乃炎(ドゥオ・フレイマ)】!!!!」


 突き出した俺の腕から業火が放たれ、一番近くにいた数体を吹き飛ばす。レベルが上がったことで、多少威力が増していた。しかし、いずれにせよ多勢に無勢。しかも呪文にバグが残ったままだ。連射が止まらず、もともと少なくなっていたMPがすぐに底をついた。


 敵の数体が一斉に俺達に向かって突進してきた。マユが素早く進み出て、ゴーレムの力を宿した細い腕を振るう。襲いかかってきた敵の半数を叩き返したが、残りの半数の攻撃を受けて俺の足元に横転した。


「マユ!!」

「【ペコラ・パコラ・ポコラ】」


 倒れ伏したマユに向けて、敵後衛のマホウショウジョ達が呪文を唱え始めた。マユは立ち上がろうとしていたが、間に合いそうもない。


「【神の盾(アエジス・プロテーゼ)】!!」


 わずかに残った最後のMPを使いシールド魔法をマユにかける。マユは数秒間敵の魔法攻撃にさらされたが、なんとか耐えることが出来たようだ。だが、そのせいで俺は自分の防御が疎かになった。直撃こそしなかったものの、幾つかの攻撃魔法の余波を食らってしまった。俺のシールド魔法の効果はとっくに切れていた。


「ヨミ!!?」


 前後不覚となった俺は、膝から崩れ落ちた。意識はあったが、体のあちこちに打撲に似た激痛が走る。出血している箇所もあった。


 その瞬間、マユは素早く決断した。有無を言わせず俺を抱え上げる。


「(な、お姫さまダッコだと!!?)」


 意図を察したペチカがしがみつくのを待って、マユは全力で跳躍した。

 マホウショウジョの一斉法撃が俺たちを追ったが、からくも振り切ってマユは走った。

 マユの判断とゴーレムの脚力が俺たちを救った。


 廃墟の中、瓦礫の間をすり抜けて走りながらマユが聞く。


「どうして私にシールド魔法を? 自分に使うべきでした」

「いくらゴーレムが丈夫だと言っても、マユが傷つくのは嫌だからな」

「……あなたの体はただの人間なんだから、もう少し気を付けて下さい」

「お、おう。すまん」


 俺の方を見ずに、マユは言った。



**********



「ここまでくればもう平気だろ」


 20分ほど走って、俺達はとなり町へと続くトンネル内に辿り着いた。

 2本目のMP回復薬を飲んで、皆に回復魔法をかける。俺の怪我も全快だ。この魔法はあまり燃費が良くない。改善の余地がありそうだ。


 敵の追撃はなかった。

 マホウショウジョ達の目的は俺たちではなかったらしい。進行方向からすると、おそらく例の要塞に帰還する途中だったのだと思う。あれが敵の拠点ということなのだろう。


「それにしても、まいったな。あんな要塞がいたとは」


 先ほど見かけた敵の拠点、女神要塞のことを思い出す。飾り付けられたロザリオといった感じの、銀白色の巨大な空中要塞。中央部分には巨大な女神像があしらわれていた。


「あの女神は彫像なんかじゃなくて、本物なんだ」


 普段陽気なペチカにしては珍しく、ひどく落ち込んだ様子だ。


「……あれは、トゥアハ・デ・ダナーンのエスニャさま。ウチのともだちだよ! 天界にいたはずなのに、なんでこんな事に……!!」

「トゥアハ・デ・ダナーン……!? ダーナ神族か」


 そういえば昼間、神の友だちがいるとペチカは言っていた。神とは、あんなにデカイものなのか。


「街を破壊したのは、アレだったって事か……。女神がマホウショウジョの味方だったとは……」

「エスニャさまがこんなことするわけない!」


 食って掛かる勢いでペチカが言って、その後、ほっぺたが膨れ上がる。


「でも現に……」

「そんなはずない! きっと敵に操られてるんだ!! とめなきゃ。エスニャさまを助けなきゃ! ヨミ!!」


 すがるような目で俺を見つめる。


「いや、無理だろ。仮にペチカの言うとおり女神が操られているとしても、あんなデカイ女神を支配できる敵と戦って、奪い返すなんて……」


 こっちはたった2人と1匹(?)でしかない。


「……やっぱ無理だよね」


 しおれた草花みたいに羽と頭をうなだれて、ペチカがつぶやいた。


「…………」


 出会ってまだ数日だが、ペチカは一緒に死線をくぐり抜けてきた仲間だ。友達の少ない俺にとって、この小さな妖精はマユと並んでかけがえのない存在になりつつある。

 いつも元気なペチカが落ち込んでいる姿は、俺の胸の中によくわからないモヤモヤを生じさせていた。


「行きましょう。ヨミ」

「マユまで?」

「女神が味方になってくれれば、状況が変わるかもしれない。少なくとも、女神は情報を持っているはずです。なぜこんな事になったのか。敵は何をするつもりなのか」


 マユがそんなことを言い出すとは少し意外だったが、彼女の言うことも一理ある。あの女神が味方になってくれればかなり心強い。


「なあ、ペチカ。エスニャは、願いを叶えてくたりとかしないのか? 街を元に戻すとか、マユを元に戻すとか」

「わからないけど……。神様だからね。人間とは比べ物にならないほどの魔法が使えるはずだよ。奇跡レベルのね」

「ホントか!!?」


 俺の目的はただひとつ。マユを守る事。マユとともに生き残る、ただそれだけだ。そのためにはやはり、エスニャの力は必要になるかもしれない。マホウショウジョたちと戦う上でも、戦力は多いほうがいい。

 それに、ペチカの気持ちもよく分かる。なんとか力になってやりたかった。


 ため息をついて俺は立ち上がった。

 たった2人と1匹で何が出来るかわからないが、やれるだけの事はやってみようか。


「わかったよ。エスニャを助けよう」

「ヨミ!!」

「……その前に、入念な準備が必要だが、な」


 ペチカが俺の顔に抱きついてきた。小さいけどすごく暖かかった。



**********



 トンネル内の避難坑で一泊した後、マホウショウジョから身を隠しつつ、俺達は移動を開始した。相変わらず他の人間は全く見かけない。


「それにしても」


 少し気になって、ペチカに聞いてみる。


「ペチカとエスニャって、どうやって仲良くなったんだ?」

「え? 気になる?」

「うん、まあ」


 心配は心配なんだろうけど、エスニャの話になるとペチカは嬉しそうだった。


「実はウチら闇妖精は、あっちの世界では肩身が狭いんだ。でも、エスニャさまはウチを差別しなかった」

「へえ。いいやつなんだな」

「うん!!」


 満面の笑みでペチカは頷いた。よっぽど仲がいいんだなと思う。

 ただ、俺が聞きたかったのはそういう事ではない。重ねて質問しようかとも思ったが、ペチカはマユと別の話をはじめてしまった。


「(……あの巨大な女神から見たら人間でさえ小さなアリみたいだろうに、妖精なんて肉眼では見えないんじゃ? どうやって意思の疎通をはかるんだろ? ……でも、まあいいか)」



―――――――――――――――――――

◆サバイバル3

―――――――――――――――――――



 女神エスニャを取り戻す、という目標が出来たものの、その前に、やるべきことがあった。当面の食料の確保と、安全な隠れ家を探す事だ。


 エスニャ救出はひとまず置いといて、俺達は無残に倒壊したホームセンターにやって来た。大学から持ってきた食料やキャンプセットなどは、先日のバスの中に置きっぱなしだったからだ。魔法関係の道具や私物は別の斜めがけバッグに入っていたので失わずにすんでいた。


 瓦礫をかき分け、使えそうなものを探す。

 幸い、このホームセンターには何度も来ていたので、どこに何があるかはよく知っていた。キャンプ用品売り場のあったあたりを探しテントや寝袋、保存のきく食料、調味料、クッカーセットを手に入れた。クッカーセットとは、アウトドア用の鍋やフライパンとガスバーナーコンロをコンパクトにまとめたものだ。


 また、万が一長期戦になった時のため野菜の種を一式用意する。さすがに食料を自給自足するような事態にはならないとは思うが、念のため。

 後は、ライターや電池等、適当に必要そうなものを見繕う。


「……とりあえず、こんなもんかな?」

「代金はどうするんですか?」

「生き残ったら払いにくるさ。(……受け取る人間がいれば、だけど)」


 他に必要な物はないか、マユに視線を送る。なぜか彼女は恥ずかしそうにモジモジとしていた。


「あの……。し、下着はないですか……?」

「ホームセンターだからな……。あるかも知れないけど、探すのは大変そうだ」


 そういえば、マユはずっとジャージ「しか」着ていなかった。手術の時の様子が思い出されて、思わず彼女を見つめてしまう。

 顔を赤くしたマユが、体を隠す仕草でこちらを睨む。その姿に悶え死にしそうになったが、なんとか我慢した。

 着る物の事は、後で考えることにしよう。


「じゃあ出発するか」


 手に入れたものをバックパックにまとめる。結構な量だ。


「車でも使えればいいんだけどな」


 免許は一応持っている。ただ、道路が瓦礫や乗り捨てられた車で埋まっていたので、車による移動は無理そうだ。もう少し被害の少ない地域に行けばなんとかなるだろうが。


「私が持ちます」


 大きめのバックパックをマユが軽々と担ぎあげた。ゴーレム化の恩恵がこんなところにも。


「助かるよ。軽いものは俺が持とう」



**********



 その日の夕食。


 いつの間にか食事当番は俺の役割になっていた。先日偉そうなことを言っていた割に、マユは食事を作ろうとはしなかった。まさかとは思うが、彼女は料理が出来ないのか……?

 準備をする間、マユはテーブルを用意して、キチンと座って待っている。両手にナイフとフォークを持って、今にもテーブルを叩き始めそうな雰囲気だ。


 この時点で俺達は、水や食料に不自由することはなかった。そこら中に自販機はあるし、店を探せばいくらでも食料は手に入った。

 俺が比較的落ち着いていられたのも、そのおかげだったかもしれない。


 その夜は家電量販店に泊まる事にした。周りのビルは軒並み倒壊しているが、ここだけは運良く無事だった。


 せっかく電気屋に来たのだから、ついでに、携帯型太陽光発電システムや小型ラジオなどを拝借する。ノートパソコンやゲーム機に目が眩んだが、生きるために必要でないものにはなるべく手を出さないようにした。もしも俺たち以外の全人類が滅んでしまったのなら、そんな気を使う必要も無いとは思うが、まだ、そうなったとは限らない。


 日が暮れるとやることもないので、さっさと休む。


 こんな状況だというのに、マユのそばで眠るのはまだまだ緊張する。何かちょっかいを出そうという気は、さすがに起きなかったが、彼女の寝顔を見ているだけで、生きる気力が湧いてくるのを感じた。



**********



 数日後。


 女神エスニャを取り戻す準備は一向に進まなかった。落ち着いて魔法の開発に没頭できる場所がなかったというのもあるが、マホウショウジョを警戒しつつ、生き延びるので精一杯だったのだ。

 取り急ぎ、【ニ乃炎(ドゥオ・フレイマ)】のバグ修正だけはやっておいたが。


 そんな折。先を歩いていたマユが足を止めた。


「ヨミ、何か聞こえる」

「え?」


 敵の接近を警戒しつつ耳を澄ます。すると、久しく聞くことのなかった、俺達以外の人間の声が聞こえてきた。


「……ほんとだ!!」

「君たち、大丈夫か!!?」


 久々に見かけた俺たち以外の人間だった。ムサイおっさんだったが、贅沢は言うまい。


「た、助かった!!!!」


 全身から力が抜けて、俺は座り込んでしまった。


 二三言葉を交わした後、男は後ろを向いて手を振った。すると、瓦礫の影から武装した数人の自衛官らしき人影が現れた。全く気配を感じなかった。どうやら最初の人が俺たちの素性を確かめたのだろう。彼らも「敵」を警戒しているのだ。



―――――――――――――――――――

◆合流

―――――――――――――――――――


 自衛官たちについて歩くこと1時間ほど。俺達は近くの避難場所に案内された。

 入り口は巧妙に隠され、外からだとただの瓦礫の山にしか見えない。しかも、どこにいるかわからないが、見張りが数人隠れているとの事だった。


「この場所は……そうか」


 ここは、数日前まで自衛隊の地方総監部があった所だ。この先には港があって、いつも海自の船が停泊していた。今は見当たらない。沈められたのか、脱出したのか。


 総監部の建物は全壊していた。俺たちが案内されたのは、その真下にある、第二次大戦中に作られた旧軍の地下防空壕だった。


「……こんなのがまだあったのか」


 地下に降りると、そこは小さなダンジョンを思わせる構造となっていた。分厚いコンクリートで作られた通路と、錆びた鉄の扉で区切られたいくつかの部屋があった。通路の一部は駅の方まで続いているのだと、自衛官の一人が教えてくれた。

 非常用電源もあるらしいが、節約のためロウソクで明かりを灯していた。壁や調度品は朽ちかけいて、全体的にジメジメとして薄暗かった。でも、敵の目をごまかすには最適だ。


 通路には10人ほどの自衛官が武器を持って待機しており、一番広い部屋の中には20人前後の避難民が肩を寄せ合っていた。その内の1/3ほどが負傷していた。避難民の中に、俺やマユの家族や知人はいなかった。


「でもよかった。人類が全滅したわけじゃないらしい」

「今のところは、な」


 俺の言葉を受けて、この隊の隊長らしき人物が言った。階級など詳しいことは知らないが、周りの隊員の接し方からみて間違いないだろう。


「……今どういう状況なんですか?」

「民間人に話すことは出来ません。……と言いたいところではあるが」


 壮年の、隊長とおぼしき人物がじっと俺を見た。浅黒く日焼けした強面だ。


「今は一人でも使える人材が必要だ。情報交換をしよう。私は灰村二等陸尉」

「日奈森ヨミ、大学生です。こっちは傘戸(カサト)マユ」


 俺などにこんな話をするとは、状況は相当厳しいらしい。マユがちょこんと頭を下げた。


 俺達は地下の一室に案内された。仮の作戦司令室、といったところか。そこでは、数人の自衛官と民間人が情報の収集や今後の方針の話し合いなどをしていた。

 1人、教会の神父めいた格好をした人がいた。


「まず、現在の我々の状況を簡単に説明する。……これを見てくれ」


 タブレット端末に一枚の写真が表示された。気象衛星あさがおの衛星写真だ。通信が途絶える前の最後の情報だという。


「こ、これは……!!」


 写真には日本列島全体が映しだされていた。ただ、見慣れた形とは大きく異なっている。関東地方が消滅しており、かわりに巨大な穴が口を開けていた。


「そんな……」


 いろんなことを話してくれる訳だ。もはや軍や国家といった枠組みは失われつつある。身分や年齢の区別なく、生き残ったもの全てが協力しなければならない、そういう状況なのだ。


 事態は最悪の様相を呈していた。これは、人類という種の存亡とか、そういった話になりつつあるということなのか。


 もはや手段を選んでいられる状況ではない。


「ペチカ、姿をみせられるか?」


 周りには、俺が虚空に向けて話しかけたように見えただろう。みな首をかしげた。


「……しかたないね」


 ペチカが何事か呪文を唱えた。妖精魔法というやつだ。

 淡い光とともに空気がゆらぎ、小さな妖精が姿を現した。


「な!!」


 自衛官が色めき立って銃を構えた。


「待ってくれ、こいつは味方だ」


 ペチカをかばうようにして立つ。


「ペチカは敵のことを知っている!」


 灰村が手を上げて他の隊員を制した。



**********



 得意気に、ペチカが事態のあらましを説明した。もちろん、俺の魔法の事は言わないようにこっそり釘を差しておいた。


「マホウショウジョ……だと!?」

「バカバカしい」


 その場の大部分が鼻で笑っていた。


 マホウショウジョと言ったのはまずかったか。

 アニメなどで、「バケモノが出た」と言っても警察が信じてくれず、被害が拡大するという展開がよくあるが、その時いつも思う。バケモノではなく、「凶器をもった変な格好をした奴が暴れてる」と言えばいいのにと。そうすれば警察は動かざるを得ない。

 もちろんそうしないのは、警察を介入させないためのアニメ製作者の都合。おやくそくでもあるのだが。

 ペチカは同じミスをしてしまった。


「呼び方はともかく、敵が実在していて我々が危機的状況にあるというのは事実だ。みなも見ただろう」


 灰村のセリフでみな黙り込んだ。この数日、彼らも様々な体験をしたのだ。このおっさんは、顔は怖いが話はわかる人らしい。


「マホウショウジョも問題だけど、もっと危険なのは女神要塞だよ」

「……報告は聞いているが……。女神だと!?」


 ここにも、例の空中要塞の情報は寄せられていたみたいだ。


「ウチらが見たのはダーナ神族のエスニャさま。マホウショウジョ達は女神の力を利用して、この世界を侵略してるんだ」


「女神……。神が実在するということか……」

「神々の力に、どう対抗すればいいんだ?」

「なぜ神が我々にこんな……」


 誰かが言ったが、聖書やフィクションの世界では神が敵になるなんてありふれた話だ。神は人を助けることは絶対にないが、滅ぼそうとしたことは何度もある。


「エスニャさまは敵じゃないよ! マホウショウジョ達に操られてるんだよ!! エスニャさまはウチの友達なんだ……!!」


 目に涙をいっぱい溜めて、ペチカが力説した。

 人差し指で頭をなでてやる。ペチカは俺の背中に潜り込んでしまった。


「それで、そのマホウショウジョとやらの目的は何なんだ?」

「きっと復讐だと思う。魔女狩りの恨みを晴らしに来たんだ」


 灰村の問いに、背中のペチカが答えた。それが正解なのかどうなのか正直俺にはわからない。ただ、奴らが人間に対して強い敵意を持っていることは確かだ。


「……そうか。まあどのみち、奴らが敵であることにかわりはない。当面は警戒しつつ情報を集める。そしてともかく生き延びるんだ」

「あの要塞を叩く、という選択肢は?」


 俺の質問に、一同が一瞬ざわめいた。彼らとしては、そんな事考えもしていなかったのだろう。無理もない。

 気にせずに話を続ける。


「あの要塞がマホウショウジョたちの拠点なのは間違いないでしょう。つまり、俺達が生き残るためには、アレをどうにかするしかないって事です」

「基本的に自分も同意見だが、空自が何もしなかったと思うか? 今、日本には航空戦力はほとんどない。……この数日でなくなったんだ」


 灰村の言葉の意味するところは明白だった。航空自衛隊がかなわなかった空中要塞を俺達だけでどうにか出来るものだろうか。


「……はっきり言おう。我々に勝ち目はない。今は生き残る事が最優先事項だ」


 今後の方針は更に検討を要するということで、一旦解散となった。反攻作戦などよりも、まずは生き残ることで精一杯なのだ。

 とりあえず、俺達はこの避難所で体を休めることにした。



 【続く】



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