一話 あらま
(あーねむ…)
桐生蓮は布団に潜り、ショート動画を適当にスクロールしながら思う。
(最初に見たのなんだっけ 『旧石器時代に文明人がいた!』だっけ)
流れては消えるショート動画を見つめながら記憶を呼び戻す。
(明日ピザパじゃん)
蓮は今朝した親友との約束を思い出して軽く、心臓の鼓動が高鳴った。
画面の光を見つめ、
(LINEしないと)
だが指は重く思い通りに動かなかった。それに合わせるかのように、瞼もどんどん閉じていく。
呼吸が沈んでいき、蓮は布団に溶けていくように落ちていった。
蓮は、目を覚ました。そして、瞼を開こうとすると違和感を感じた。瞼を閉じた状態でもわかる。周りが、明るい。
(昨日電気消し忘れたっけ)
蓮は瞼を開ける。そこは、いつもの部屋ではなかった。
眼前には、視界いっぱいに広がる静かで美しい揺れる波。
雪のように白く細かいサラサラとした砂。
そして、遥か遠くの水平線上に霞んで見える火山島。
蓮の理解が追いつかない。
「っ!なんじゃこりゃあー!」
蓮は砂浜で一人、叫んだ。
蓮は現状整理をする。
(つまり、寝たら次の日には変なところにいたのか。意味わからん!)
本当に意味が分からない。
これがもしドッキリならばと蓮は内心で思うが、ドッキリにしては悪質だし、そもそも連れてこられる中で目を覚ますだろう。
そんな考えが頭をよぎるが別のことをぼんやりと考える。
『水と食料の確保』
だ。
眼前に海があるので恐らく、近くに川があるということだ。川があれば飲み水を確保できる。
しかし、もし湖なら?
蓮は水を手ですくって軽く舐めた。
「しょっぺぇ~!」
舌がピリッと反応し、何とも言えない気分になる。
「くそ。海かよ。」
蓮はこぶしを握ると海岸沿いを歩き始めた。




