量子論的仮説
ある人のエッセイの中で、落としてしまった缶ビールに対する対処法が書かれていた。
いわく
原理はわからないが、そのままプルタブを開ければ吹き出すが、左に10回まわしてから開けると吹き出さない——というのだ。
なろうSF作家を自認するようになった(思い上がった)Ajuは、この原理について考察してみた。
物質の素である原子は、陽子と中性子からなる核と電子によって出来上がっている。
電子にはスピンというものがある。まあ、自転みたいなものと考えてもらえばいい。
世の中にあるあらゆる物質の電子のスピンは右回りと左回りが同数である。
そのことによって磁石にはくっつかない。(正確には磁石を近づけると微弱に反発する状態となるのでくっつかない。これは磁力に反応して右回りがわずかに増えて反発するからである。)
これを反磁性体という。
鉄が磁石にくっついたり、磁石そのものになったりするのは、鉄の原子中の電子のスピンが右回りの方が多いからである。(鉄は磁性体である)
ちなみに缶の材料であるアルミニウムは、全く反応しない(右と左の数が変化しない)非磁性体である。
ここまではいいかな?
そしてAjuは1つの仮説を立てた。
落っことした衝撃で、発泡系の飲料の二酸化炭素か飲料そのものの電子のスピンの右回りがわずかに増えてバランスを崩してしまったのではないか?
炭酸(二酸化炭素)とビールの液体部分に含まれる電子のスピンに、差ができたことにより、反発しあって泡となって缶の中の圧力を高めたのではないくゎあ!?
そこで‥‥
左むきに10回まわして、缶の中のスピンの回転方向をそろえてやれば‥‥。
ふっふっふっふ。。。
完璧な理論だぜ。
Ajuはこの仮説を確かめるべく、とある方と同じ方法で再現実験を行うことにした。
アルコールの飲めなくなったAjuは、ビールの代わりに缶コーラを買ってきた。
ふっふっふっふ。
1回落としただけじゃ弱いな。
この仮説を証明するには、2〜3回派手に落とした方がいいだろう。
ふっふっふっふ。
畳の上に数回落っことした上で、くるりくるりと左に10回。そして‥‥。
テーブルの上でプルタブを開けてみる。
ぶっしゅわあああああああ!!!!
テーブルはびちょびちょの水浸し、うにゃ、コーラ浸しになり‥‥‥
このじめじめの雨天の日に‥‥
再現実験は‥‥見事に失敗したのであった。。。(´Д`;)
了
コーラだったのがよくなかったかもしれない。。。
(いや、それ以前に「理論」に問題があるだろう)(^Д^;)