表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハズレ令嬢に転生したけど、悪役令嬢と親友になって活躍したら聖女に持ち上げられました  作者: アヤコさん
第2章 聖女の兆し

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

40/92

40 強敵

 巨大な尾が振り下ろされ、恐怖が全身を凍りつかせるような感覚が迫ってくる。

 レオさんが「エストさん!」って叫んで庇った瞬間、尾が空気を切り裂いて直撃寸前。


 私が『ホーリーランス』を尾に向けて放つと、ドラゴンが怯んで動きが止まる。

 ウィル君が炎魔法を岩壁に放ち、崩れた岩がドラゴンの翼を直撃。

 咆哮が響き、動きが鈍る。


 私は『ディバイン・ブレッシング』を放ち、みんなの攻撃力を高めた。

 レオさんが剣を振り、鱗の隙間に斬り込む。


 ドラゴンは、私に黒い炎を吐き出してきた。

 熱風が迫ってきて、全身が焼けるような恐怖に包まれる。


 ミハイルさんが盾で私を守り、「エストさん、回復を!」と叫んだ。

 私は『ヒール』で彼の傷を癒すと、彼が盾を構え直して前に出た。


「何!? こいつ、明らかにエストさんを狙ってるぞ!」


 レオさんが顔を歪め、「こいつ、エストさんの神聖魔法に反応したのかッ!」と言い放つ。


 ドラゴンが咆哮し、紫の光が再び閃く。

 口から毒霧が広がり、地面が腐食する。

 ウィル君が風魔法を操り、霧を吹き飛ばす。


 私は『ホーリー・グロウ』で光を放ち、ドラゴンの目を眩ませた。

 ウィル君が「エストさんの援護があれば、僕たちはやれる!」と雷と炎の複合魔法で胴体を直撃した。鱗が砕け、血が飛び散る。


 私に向かってくるドラゴンを、ミハイルさんが全力で防ぐと、背後から尾が盾を強打し、彼が地面に倒れる。


 ここで私が動かなきゃ! 全滅なんて絶対にさせない。


「みんな、私を信じて!」


 私はホーリーロッドを高く掲げ、使える限りの神聖魔法を放った。


「『セイクリッド・シールド!』」


 まばゆい光が仲間たちを包み込んで、防御力を引き上げる。

 レオさんが振り返る。


「エストさん、⋯⋯この魔法!」

「まだです! 『エリアヒール!』」


 光がミハイルさんの傷を癒して、彼が立ち上がり盾を構える。


 紫の光がまた閃いて、ドラゴンは咆哮を上げると、ミハイルさんを押し退けながら突進してきた。


「ダメだ、抑えきれん! 直撃を避けるんだ」


 爪が地面を叩き、岩が飛び散る衝撃が走る。

 レオさんが剣で受け止めるが、弾かれて後ずさる。

 ウィル君が雷を重ねて目を狙うも、黒い炎が吹き荒れて剣が一瞬揺らぐ。


 ドラゴンが口を開いて、私に黒い炎を溜め始めた。

 空気が歪み、熱が迫ってくる。


「エストさん、逃げるんだ!」


 レオさんがそう叫ぶけど、私は逃げない。

 ここで私がやらなきゃ。


 私はロッドを手に、ドラゴンの足元に飛び込んだ。

 鱗の隙間を狙って、ロッドの先端を突き入れると手応えがあった。

 ドラゴンが暴れ出し、全身を震わせるような威圧感が響く。


 爪が空を切り、尾が地面を叩いて、岩が飛び散る。

 私は、転びそうになりながら叫ぶ。


「みんな、お願いっ!」


 レオさんの剣が無数の斬撃になって、ウィル君の雷剣が稲妻を放ちながら炸裂し、ミハイルさんが盾を捨て、両手で剣を突き立てる!


 ⋯⋯みんなが決死の覚悟で稼いでくれた時間は、絶対無駄にはできない!

 全神経を集中できたからこそ、ここまで魔力を高められたんだ。


 これまで感じたことのない激しい力に、全身に激痛が走る。

 その全てを、この一撃に注ぎ込んだ。


「『ルミナス・ジャッジメント!』」


 白い光が迸り、ダンジョン全体を飲み込む。

 光がドラゴンを貫き、一瞬で巨体を焼き尽くす。


 断末魔の叫びが響き、灰となって崩れ落ちた⋯⋯。


 安堵が全身を満たし、緊張が解けた。


「⋯⋯勝った、のか?」


 レオさんが息を切らして呟く。

 私は膝をついて、ロッドに寄りかかった。


「うん、勝ったんだよね⋯⋯みんながいてくれたからだよ」


 ウィル君が私の肩に手を置いた。


「エストさんのおかげです。まるで『戦う聖女』みたいでした!」


 ミハイルさんが地面に座り込んで笑う。


「いやはや見事でした、エストさん! 俺はあの姿に惚れそうになりましたよ」


 レオさんが静かに微笑む。


「本当です、エストさん。貴女は本当にすごい」


 その言葉に胸が高鳴る。

 でも、その時、レオさんとウィル君が同時に顔を上げた。

 レオさんが剣を構え直す。


「待って⋯⋯何かいる」


 ウィル君が目を細めた。


「気配の隠し方がとても巧妙です⋯⋯。もしや、何者かがドラゴンを操っていたんでしょうか!?」


 暗闇の奥で、紫の光が一瞬だけ再び閃いた。

 レオさんやウィル君が痕跡を追うけど、相手の方が一枚上手だったらしい。

 戻ってきたウィル君が、少し悔しそうに漏らした。


「完全に痕跡が消されていました。今の僕では、気配に気付く事しか出来ず、修行不足を痛感します」


 ウィル君には、きっとバルマード様の背中が見えているんだろうなって思えた。

 そんなウィル君をレオさんが褒める。


「ウィル君の探知魔法の共有が無ければ、私は気付く事も出来なかったんだから。ここはもっと自分を誇るべきだよ」


 バルマード様の一番弟子であるレオさんの言葉に、ウィル君も明るさを取り戻す。

 自己評価の低さが欠点のウィル君を、兄弟子であるレオさんが勇気付ける。

 二人が本当の兄弟みたいで、私にはちょっと羨ましく見えた。


 それはミハイルさんも同じ気持ちみたいで。


「アカデミーで1、2を争う二人だけで盛り上がってないで、この勝利を皆で分かち合いましょう! もしかするとこれで俺たちに、『ドラゴンスレイヤー』なんて二つ名が付くかも知れませんなぁ」


 ミハイルさんがこの偉業でみんなを盛り上げようとしたのは、私にもレオさんやウィル君にも心地よいものだった。

 ただ、ヒルダの件もあって、そういう二つ名の類は遠慮したいなって思ってると、レオさんもウィル君もそう呼ばれるにはまだ早いと、やんわり断った。


「ドラゴンはミハイル君が倒したことで口裏を合わせようか?」

「それは勘弁してください。家業を継ぐ身でドラゴン退治なんて依頼されるかと思うと、新聞も恐る恐る読むしかなくなってしまう。情報を得る楽しみを取り上げないでくださいよ」


 こうやって賑やかに勝利を分かち合った私たちは、笑いながらダンジョンを後にした。


 みんなの過大評価かもしれないけど、こうやって一緒にいられるなら、私も少しだけ自信を持ってもいいのかなって思えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ