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ハズレ令嬢に転生したけど、悪役令嬢と親友になって活躍したら聖女に持ち上げられました  作者: アヤコさん
第2章 聖女の兆し

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39 ダンジョン

 みんなと一緒にパーティを組んで冒険なんて、正直ちょっと緊張してる。


「エストさん、準備はよろしいですか?」


 レオさんが穏やかに聞いてくる。

 剣士らしい凛とした立ち姿と柔らかな声に、ホッと安心させられる。


「あ、はいっ! 大丈夫ですよ、レオさん」


 私が冒険を始めた時から、ずっと一緒にいてくれた大事な杖。

 武器としても申し分なく、私の魔力を自在に高めてくれる最高の相棒だ。


 ローゼさんから受け取った『ホーリーロッド』を手に持つと、隣でウィル君が優しく微笑んだ。


「エストさんがその杖でどんな活躍を見せてくれるのか、僕はとても楽しみにしてます」


 そんなウィル君は剣をメインに戦って、臨機応変に魔法を駆使する魔法剣士。

 バルマード様は剣も魔法もすごいから、きっとその憧れなんだ。


「よし、みんな! 気を引き締めていくぞ」


 ミハイルさんが野太い声でみんなを鼓舞する。

 剣と盾を携えた彼は、まさに頼れる戦士そのものだ。




 私たちは「影哭きの深淵」と呼ばれるダンジョンに足を踏み入れた。

 薄暗い通路には、ゴツゴツした岩壁と不気味な風の音が響いてる。


 突然、闇から牙をむいた狼型のモンスターの群れが襲ってきた。

 レオさんの剣が閃き、一瞬で二匹の首を落とす。


 背後からさらに三匹!

 ウィル君が剣に炎を纏わせ、素早く薙ぎ払い、炎が闇を切り裂く。


 ミハイルさんが盾を構え、群れの突進を軽々と弾き返す。

「エストさん、今だ!」の声に、私はロッドを振り、『ホーリーランス』を放つ。

 光の槍が降り注ぎ、モンスターが一瞬で崩れ落ちる。


「なんて威力だ!」とミハイルさんが目を丸くした。

 レオさんとウィル君が残りを仕留め、息を整える。


「エストさん、強烈な一撃でしたね」とウィル君が笑うから、私は首を振った。


「いや、ただ杖が良いだけですよ」


 通路を進むと、湿った空気が肌にまとわりつく。

 岩壁から滴る水音が、不気味に響く。


 レオさんが剣を握り直し、ウィル君が魔法の気配を探る。

 ミハイルさんが「まだ何か潜んでるぞ」と呟く。

 私はロッドを握り、緊張を抑える。




 奥に進むと次々にモンスターが襲いかかってきたけど、正直、相手にもならなかった。


 レオさんの剣が鋭く閃いて、ウィル君が剣に炎を纏わせて静かに敵を薙ぎ払い、ミハイルさんが盾で私を守りながら、豪快に剣を振るう。

 私もロッドを手に持ち、敵を跳ね除ける。


「エストさん、その動き⋯⋯まるで熟練の戦士みたいですね」


 レオさんが感心したように私を見る。


「いやいや、私なんかまだまだですよ。ただ杖が軽いからつい動いちゃって」

「エストさん、そんな謙遜しなくてもいいんですよ。流れるようなその動き、本当に素晴らしいです」


 ウィル君が優しくフォローしてくれる。

 ミハイルさんも目を丸くして、「噂以上の実力だ!」って褒めてくれた。


 過大評価ですって言いたいけど、みんなの期待に応えたい気持ちもあって、つい頬が熱くなってくる。


 三人とも心から信頼できる人たちだから、遠慮なく神聖魔法を使えるし、気分も良かった。




 --でも、そんな和やかな空気は長く続かなかった。

 ダンジョンの最深部にたどり着いた瞬間、空気が一変した。


 地面が激しく震え、足元に不安が這うような感覚が走り、岩壁が軋む不気味な音が胸を締め付け、暗闇からすさまじい圧迫感が迫ってくる。

 私たち全員が、息を呑んで立ち尽くしてしまった。


「⋯⋯何だ、あれは。まさかダークドラゴン!?」


 レオさんが呟いたその視線の先には、巨大な影。

 漆黒の鱗に覆われた巨体、燃えるような赤い目、鋭い爪と牙を備えたとんでもない敵が姿を現した。


 レオさんが苦虫を噛み潰したような表情を見せ、その額に汗が滲む。

 ウィル君が剣を握る手に汗が滲み、力強く柄を握り直す。

 ミハイルさんが最前列で盾を構えたまま叫んだ。


「このクラスのダンジョンに、こんな化け物が出るはずがない!」


 彼らの緊張が空気を重くして、私の身体が震えてくる。

 こんなの勝てるわけがない。


 そう思うと、逃げろって本能が訴えてくる。

 だけどその時、私はローゼさんのあの言葉を思い出す。


 ー「絶対的な恐怖と向き合った時は、決して怯んではいけません。全力で立ち向かい、一縷の望みが見えるその時まで諦めない事です」ー


「私は負けない。ここで挫けるわけにはいかない!」


 私がロッドを構え、戦う覚悟を固めると、ウィル君が剣を構え直して穏やかに返す。


「大丈夫だよ、エストさん。僕たちがそばにいるから」


 私の小さな覚悟がみんなを感化したなんて思わないけど、全員の表情が引き締まり、戦意が高まるのを確かに感じる。


「そうです、エストさん。後方で支援をお願いします」


 レオさんが剣を握り直して前に突き進むと、ダークドラゴンが咆哮を上げ、全身を震わせるような威圧感が空気を支配した。


 ミハイルさんの手元が眩しく輝く。


「今、救援信号を送った。何としても持ち堪えるんだ!」


 戦闘が始まった瞬間、ドラゴンが巨大な爪を振り下ろしてきた。

 地面が砕け、岩の破片が飛び散る衝撃が走る。


 レオさんが咄嗟に剣で受け止めるが、弾かれて膝をつく。

 ウィル君が雷を纏った剣で突くが、電撃が鱗に弾かれる。


 ドラゴンが黒い炎を吐き出すと、ミハイルさんが飛び出して盾で防ぐ。

 衝撃で膝をつき、衝撃で後ずさりし、肩で息をする。


「くそっ、耐えきれん⋯⋯!」


 盾に亀裂が入り、ミハイルさんが歯を食いしばって耐える間に、『プロテクション』をかけ、衝撃を軽減した。

 ドラゴンが翼を広げて突風を巻き起こすと、岩壁が削れ、鋭い矢のように襲ってくる。


 突然、ドラゴンの赤い目が私を睨みつけてきた。

 その瞬間、暗闇の奥から奇妙な紫色の光が一瞬だけ閃いて、ドラゴンが執拗に私を狙い始めた。


 まさか、私の神聖魔法に反応してる!?

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