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ハズレ令嬢に転生したけど、悪役令嬢と親友になって活躍したら聖女に持ち上げられました  作者: アヤコさん
第1章 魔法と乙女の友情

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25/92

25 郊外へ

 アカデミーに数日通って分かったことだけど、ローゼさんは主に奉仕活動をしてる。

 それもアカデミーの活動だけじゃなくて、自主的にもやってるってのがすごい。


 今日のローゼさんは白い帽子にベージュのワンピースという格好。

 レトレアの都でよく見かける清楚な街娘みたいで、これもすごくアリだと思ってしまう。


「私が個人的にやってることは自己満足に過ぎませんので、そんなに褒められると照れてしまいますよ」

「いえいえ、十分すごいことですって」


 少し恥じらう仕草を見せるローゼさん。

 その純白の髪に陽の光が虹色に流れて、まるで本物の聖女みたいに神々しい。


 お世話抜きで、この姿を写真に収められたら売り切れ必至だと思うくらい、私自身が欲しくなる瞬間だ。


 写真収集はヒルダがきっかけだけど、雑貨屋で物色してると一番人気のバルマード様や、レオさんにウィル君のも多くてつい集めてしまう。


 もちろんローゼさんのも買ってる。

 でも綺麗なんだけど、なんだか肖像画みたいに無表情なんだよね。

 だから、こんな笑顔は激レアだ。




 用意されてたのは公爵家の豪華な馬車じゃなくて、荷物が山盛り積まれた荷馬車。

 私たちはそれに一緒に乗って、皇都の離れの方へとゴトゴト進む。


 ローゼさんは馬車に乗るのを強くすすめてくれたけど、楽しく話しながら行きたかった。


 だけど、乗ってすぐにわかった。

 今まで乗ってた馬車と違って、すごくお尻が痛い。

 特に舗装されてない道は、ガタンとなるたびに「痛い」って声を張りあげそうになる。


 どんなに揺れても、涼しい顔をしてるローゼさん。


「どうして馬車に乗らないんですか?」


 あまりの痛さに本音が漏れた。


「今日はエストさんもご一緒ですし、馬車にすべきでしたね」


 ローゼさんはちょっとだけ表情を曇らせる。


「いえ勝手について来たのは私ですし。荷馬車って風が気持ちいいですよね」


 ウソだーっ!

 超絶お尻が痛くて、そんなのわかるわけがない。


 早く目的地に着いてくれーっ! と祈っていると、サラッとローゼさんがクッションを取り出してくれたので、さっそくお尻の下に敷いた。


 さっきのウソで伝わっちゃったんだ。


 すると驚くほど揺れがなくなり、そのふわふわ触感に痛みはすぐに吸収される。

 何なのこのクッション!?


「お気に召したようでなによりです。エストさんからのお知らせを切っておいたので、気付くのが遅れてしまいました。たしかに慣れないと痛いですよね」


 魔法か何かはわからないけど、ローゼさんの相手の気持ちが勝手に伝わるって感覚は、きっと大変だよね。

 善意ならいいけど、アカデミーには完璧過ぎるローゼさんへの嫉妬で渦巻いてるから。


「ありがとうございます、でもそんな心配無用ですよ。悪意は勝手に消えてくれる便利なおまじないなんです」


 ローゼさんのおまじないは色々あってすごすぎる。


「エストさんのレベルが上がって使えるようになったら、お好みのスキルブックを差し上げますね」


 やっぱり世の中はレベルなんだ。


「鍛錬でレベルを上げるには乙女の時間は短すぎますので、ダンジョンあたりでサクッとあげちゃいましょうね」


 ローゼさんって、レベル上げ大好きだなぁ。

 よくわからないけどレベルも高そうだし、モンスターも倒しまくってて「二つ名」とかもあったりして。


「お父様やヒルダではないのですから、二つ名なんてありませんよ」


 中年の御者さんが不思議そうにこっちを見てくる。


 そりゃ普通は、ローゼさんが一方的に話してるようにしか聞こえないよね。

 私も何か喋っておかなくちゃ。


「そういえば、ローゼさんには気になる異性とかいないんですか? レオさんの前でもそういう素振りを少しも感じないので」


「前からよく家にいらっしゃるので、慣れてしまっているかも知れません。そうですね、しいて言えばお父様のような方が理想ですが、そこを基準にすると誰もいなくなってしまいそうで少し怖いですね。でもそういう込み入った話は、お泊まりの時に話した方がより楽しくありませんか? 我が家はいつでも大歓迎ですので、いつでもいらしてくださいねっ」


 あ、なるほど。

 確かにいつも見かけていたら慣れちゃうのか。

 って私は何度見ても、ウィル君やレオさんを見慣れる気にはなれませんが!


「ローゼさんなら、いろんな男性から好意を持たれてそうで、告白とかたくさんされてそうだなって」

「うふふ、エストさんもお年頃だからしかたないのかもしれませんね。残念ながらそういうお話は一度もありませんし、お恥ずかしながら恋愛の経験はないんです」

「もちろん私もそういう経験はありませんっ」


 荷馬車の乗り心地がクッションのおかげで快適になって、私とローゼさんがにぎやかに話してると、あっという間に目的地に着いた。




 古びた教会みたいな建物の前で荷馬車がガタッと止まる。

 すると、小さな子供たちが一斉に駆けよってきた。


「ローゼねーちゃん、いらっしゃい!」


 男の子がローゼさんに飛びつくと次々に子供たちが集まってきて、彼女は慣れた手つきで優しく受け止めてる。


「元気にしてましたか」と、ローゼさんが一人一人の頭を撫でていく。

 その手際の良さに感心してると、一人の男の子が私の方を指差した。


「こいつ、だーれ?」


 そこは「おねーちゃん」でしょ。

 って、突っ込もうとしたところでローゼさんが私の方に振り返る。


「私のお友達のエストおねーちゃんですよ。みんなも仲良くしてあげてね」

「「はーいっ!」」


 ローゼさんの言葉に元気いっぱいの子供たちが、私にドドッと飛びこんでくる。

 イタッと、受け切れずに尻もちをついてしまった。

 だけど、こういう歓迎なら全然嫌いじゃないよ。


 あーこらこら、私の制服で鼻水拭いちゃダメだからね。


「これは大歓迎ですね、ローゼさん」

「ええ、この子たちの笑顔を見ると私もつられて笑顔にさせられてしまいます」

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