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2日目 スキルを試そう

昨日とった宿のベッド上で目覚める。

起きてまず、幻影魔術で魔族の特徴を消し、外へ出る。


「どこへ行くんだい?」


宿屋のオバサンがそう問う。


「少し街を散策して、錬金術師としてがんばろうかと」


「じゃあ、この宿の向かいに錬金術師の工房があるよ。行くかい?」


「ありがとう。行ってくる」


「はいよ。行ってらっしゃい」


オバサンがそう言った時には既に外に飛び出していた。







【錬金店ナルショナ】


からんからーん


扉を開き、鈴が鳴る。


「お邪魔しまーす」


「どうもー、よく来たね」


出迎えたのは、随分とちっさいショタだった。


「...工房主の子供かな?店番して偉いね」


「僕がここの工房主だよ!しかもちゃんと大人だし!」


「ゑ?」


なんと、こんなちっこいアホみたいなやつが店主だとは。


「なんでこんな子供とよく間違われるかな〜。特に初対面の人に」


(容姿が問題だろ...)


サキは心の中でそう呟いた。


「それで、何か用?」


「ああ、錬金術師になりたくて、師匠になるような人を探してたんだ。それで、ここオススメされた」


「お、じゃあ弟子、なる?」


「うん...まあ、よろしく」


手を出されたので、サキはその手を握る。その様は小学生同士が握手をしているようである。頑張れば高学年が手を繋いでいるとも言えなくもない。多分。


「よろしく。僕はルルシャ。君は?」


「俺はサキ。...一応男だ」


「嘘つきー!」


サキを指さしてそう言う。


「女みてぇで悪かったね!?」


「どう見ても女の子じゃーん!」


「うるさい!」


店内でワーキャー騒いでいたが、一旦落ち着きを取り戻した。


「で、錬金術は?どうすんの?」


「ああ、忘れてた。ええと、錬金術スキルは持ってる?」


「おう、あるぞ」


「じゃあ、レベルは?」


「1だな」


「じゃあ、〔融合〕を沢山使ってレベル上げしようか」


サキを引き連れ、店の奥の扉に向かう。この扉の先には、端から端まで2メートルぐらいある部屋があった。左に地下への階段と、二階への階段がある。二階は生活用。地下は工房として使われている。


地下には、いかにもなそれっぽい陣、デカイ釜が床の上に。壁に埋め込まれるようにして置かれている大きな水晶と光る板がある。水晶には複数の魔法陣(魔術陣かもしれない)が複雑に重なっている。


「練習にはこの釜を使うよ。アレは大量生産用だし」


クソデカ釜の隣にある釜を抱え、サキの前に置く。


「まず、練習として回復ポーションを作って貰うよ。はい、材料とレシピ」


草と紙をサキに渡す。


さて、この回復薬のレシピは以下の通りだ。


1.魔力水で釜を満たす。


魔力水は、釜に水を満たし、釜に魔力を流して〔融合〕を発動するだけ。魔力の塊を突っ込んで〔融合〕を発動しても作れる。魔力は魔力を流すと念じたらシステムが勝手に流してくれる。

ちなみに、通常の種族は魔力を流すのに10%程度のロスが発生するのだが、魔族は魔力を流すのにロスが発生しない。尚、魔族では無いエルフもロスは発生しない。


2.回復草を釜の中に突っ込む。


3.〔融合〕を発動させる。


以上。


このレシピに則って釜を水で満たす。これはお師匠さんの魔道具で満たした。


その後に魔力を流すと念じながらこう発音する。


「〔融合〕」


釜が発光し、すぐに光は消滅する。微妙に光ってる気がする水が釜の中にある。


「...美味しそうだな?」


「吐いても知らないよ?」


「ええ...?」


この世界の人族は急に大量の魔力を摂取すると二日酔いみたいになって吐いたりする。魔族は日常的に魔力の多いものを飲食しているので、酔ったりしない。なんなら魔力が多いものを好む。


「(美味しそうなんだけどなぁ...)」


魔族に思考が侵食されてるサキはさておき、レシピの通りに回復草を突っ込む。


「〔融合〕」


緑色の生命力溢れる(ような気がする)液体で釜が満たされる。これが回復薬である。ちなみに割と下級の回復薬でクソほど安い。原価が草と水だからだ。


「おお、良いじゃん。初めてで失敗無しはそこそこ凄いよ」


ちっさいコップで掬って飲んでみる。


「うっま」


「舌狂ってる?」


魔力水に草突っ込んでできたポーションなわけで、魔力は割と多い。人族の感覚では不味くない訳が無い。体調不良になるようなもんでは無いので魔力水よりかはマシだ。


「...え、美味くね?」


「そんなこと言うの魔族だけだよ」


「ゑゑ!?」


「...じゃあ、師匠と弟子の秘密って事で」


早速魔族バレしている。







『レベルが2になりました』


「レベル上がった!」


あれから1時間程、魔力回復薬(ルルシャ製。サキ曰く、柑橘類の味らしい)を飲みながら錬金術を使ってようやく1上がった。こんなことやるくらいなら戦闘した方がよっぽどレベルが上がりやすい。1時間で3レベルほど上がる。


「おめでとう!これで失敗しにくくなるね!」


これまででできた回復薬の量、1トン。失敗した回復薬、100キロ。失敗したやつは植物に撒いたり、サキの好みの味なのでで瓶詰めにしてある。美味しい水の味がするらしい。その辺の普通の水より美味しいとしか言えない。甘いとかそういう美味しいでは無い。

回復薬は店頭に並んでいる。クソマズな薬だが、貧乏冒険者の味方だ。


レベルが上がった事により、スキルポイントを10p。ステータスポイントを100pそれぞれゲットした。

もちろん、ポイントは全て魔力と錬金術に突っ込む。


『新しい技、〔等価交換〕が使用可能になりました』


読んで文字の如く、同じ価値のものと変換させる技だ。水だと、同じ魔力量を持った火や土などになる。火だとすぐさま消えてしまうが。


「じゃあ、この回復草十個丸ごと等価交換してみようか」


「いきなりかよ」


とか言いつつ、等価交換する。リストが目の前に出現し、回復草十個と魔力量が同じものが書かれている。システムの検索機能で回復草の上位アイテムを調べる。

ヒットしたのは水の草。水魔力を大量に含み、水も大量に含む。その水には強い薬効があり、水で10分の一希釈してもさっき作った回復薬程の薬効がある。そして不味くない。魔力水で希釈するとむしろ薬効が強まる。代わりに、より不味くなる。

色々なんやかんやすると泳ぎに強くなれる薬ができる。湿地帯に自生している。


「これで良い?」


「水の草か。良いね。じゃあこれで回復薬でも作ろうか」


「また?」


少量の水を釜に突っ込んで水の草を突っ込む。〔融合〕を発動させ、薬効を凝縮する。


「何この緑色のドロドロ...スライムみたい」


「意外と美味しいよ」


「へ〜」


どちらかと言うと蜜に近いかもしれない。


これに魔力水をぶっかけてテキトーに混ぜるとより上位の回復薬が完成する。


「なんかすげぇ光ってんな」


「強い魔力を放ってるんだろうね。良い回復薬っていう証拠だよ」


「なるほど。だからいい匂いがするのか。...飲んでいい?」


「ダメ」


「え〜...」


残念そうな顔をして瓶詰めにしていく。


レベルが4になるまで錬金術をやった。獲得したポイントは錬金術と魔力に振った。

【補足】


前のエピソードで書き忘れた魔力、聖力、邪力の話

魔力、聖力、邪力(めんどくさいから補足では代表として魔力と呼ぶ)は状態が二つあり、物体状態とエネルギー状態。物体状態はその名の通り物体を形成する状態。エネルギー状態はそのままエネルギーの状態。エネルギー状態と物体状態を入れ替える事が出来る。また、どちらの状態であっても属性は存在する。


属性の話

この世の属性は四つある。火、水、土、風。


火属性

火や熱の象徴。エネルギー状態の火属性魔力は高温の物体に多く含まれており、ものが燃える時に発生する。この世界での火とは、物体状態の火魔力がエネルギー状態の火魔力に変換される現象を指す。


水属性

水や冷気の象徴。エネルギー状態の水属性魔力は低温の物体に多く含まれている。物体状態の水属性魔力はただの水となる。


土属性

物体状態の土属性魔力は重い物質に多く含まれる。エネルギー状態のものが多く含まれる物質は硬くなる。


風属性

物体状態の風属性魔力は軽い物質に多く含まれる。エネルギー状態のものが多く含まれる物質は柔らかくなる。



錬金術

物質を構成する属性魔力(他の力でも可)に干渉する。だが、属性魔力を変換するか物質を組み替えるぐらいしかできず、魔力の組み換えなどはできない。

上位のスキルは錬金法となり、自らの魔力や聖力、邪力を消費して物体を生成する。自由に組み換えることも出来る。また、物質を分解して吸収することも出来る。

失敗とは、上手く魔力が融合しなかった事であり、効力が薄かったり、場合によっては全くの別物になったりする。



設定ミスの報告や誤字報告はバンバンしてください。送って頂ければ、恐らく1週間以内には修正します。

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