ソラン師匠2
「ほら、ほら!この子、かわいすぎない?マジ天使!ムフ……」と私の隣にはぁはぁと気持ち悪いくらい息を吐きながら、一人のでかパイ女性がこう言っていた。
小麦色の肌をしていて、元々凛とした顔つきは今となって、ただの変態じみな表情に歪んでいる。
彼女が注目しているのは一つの水面。その中に見覚えのある存在がまるで動画みたいに映っている。その存在はアーベルという少年。
そして、その少年を見つめているこの変態女性は――ソラン師匠である。
うん。間違いなく変態だね……この二週間でずっと見続けてきた私には、もうこんな感想しか浮かばない。
人の見方によっては、その歪んでいる表情はエロく感じると思うが、元同性の私には、やはりどうにもただの変態でしか思えない。
そもそもこいつを見るより、アーベルのお風呂シーンを見たほうが楽しい。
つまり、この話をしている私は、ただ彼女の話に合わせただけだ。
「ええ、そうですね。かわいすぎるという言葉も足りないくらいかわいい……特に、自分の腕をプニと摘まむ時、むしろ天使という言葉でも侮辱している気がします。」
「!」ソラン師匠はまるで頭上にびっくりマークでもあるかのよう、すぐ首を私の方に回った。
「君も……よくわかっているんじゃないですか!」と、ソラン師匠が言いながら、私の肩をパンパンと叩く。
「ええ。わかっていますとも!自分が強くなったのかな……本当にこれでいいのかな……というコンプレックスを抱いている愛おしい表情、実に最高にかわいいです!」これは、ただ彼女の話に合わせただけだ。
ソラン師匠はうんうんと私の話に肯定して頷き、そして、私の方に手を伸ばす。
わかる。私にはわかる。何をすべきか。
私も迷いなく、手を伸ばし――
私たちは、握手した。
「同志よ……」彼女は真面目に私を見つめてこう言った。私も同じように見つめ返した。
「ええ!同志よ……でも、いいんですか?このままだとお風呂シーンはもうすぐ終わりますよ?」私の話を聞いて、ソラン師匠はハッとなって、すぐ元の方向に戻った。
私たちは――
「ムフ……うふふ……」
一緒にショタの映像に嗜んで――
「ムフフ……」
――このまま至高の時間を一緒に過ぎていく……と思いきや
映像が、途切れてしまった。
それに、映像が途切れているところはちょうど、アーベル君は池から起き上がろうとする瞬間だった。
「アァぁあああ!」「やあああぁあ!」
「いいところだったのに……あともうちょっとだったのに!」私は悔しくて、跪いてしまった。そして、自分の鬱憤を晴らすために、ふわふわとした床を叩いた。
「これはきっと……“触感コレクション”が、“触感コレクション”が……足りなかったですよ!」
触感コレクション。例えでいうと、lihe 2Dのキャラクターにタップすると、キャラクターが反応するやつの現実バージョン。原理はわからないが、とりあえず、ショタを触りまくろうという変な充電式のものだ。
ちなみに、充電できるのはショタに限る。原因はほかではない。作り主はショタ好きだから。
「くっ……私は、なんてことを……」自分の不覚に、悔しい!
「涼子さん!」
「はい……」彼女の呼ぶ声の方に振り向くと、ソラン師匠はすでに手を差し伸べる姿が見える。
なぜか私にはわかる。
私たちは今、心が通じ合っている。
「また……明日で、会いましょう。」
そう。やっちゃったことは仕方ない。仕方ないので、諦めるしかない。
「……はい!」私はその手を握った。
そして――
私はビューンという音とかも響いたくらいに、墜落感を感じた。
****
ビューン
ベッドの質感……木の板のベッドだから、寝心地はあまり良くない。
でも、ここはどこなのか、ちゃんと覚えている。
カチャ、ドアが開く音。
私は寝惚けた感じに装って、「うん……」と言いつつ、音の方向に振り向いた。
「ああ!リョウコったら、また僕のベッドで寝ちゃっただろう!」
アーベル君はお風呂上りにびしょびしょの身体でドアの近くに立っていた。すでにズボンが履いているから、ちょっと残念だが、それでも赤裸々とした上半身は私にとってかなりの眼福だった。
「いいじゃん……ちょっとぐらい。」
「い・やーだ!早くおきて!」
「いいーやんよ♪」
こうして私はまたアーベル君に引っ張られて、慈悲もなく床に捨てていくんだが――
タッチ!タッチ!タッチ!と、私はアーベル君に気付かれないように、その赤裸々な上半身を触っていた。
よっし!これで今日も明日の分、合法的にショタとのスキンシップができたな!
正直、最初ここに飛ばされてきたとき、私は本当にどうしようかなと思いましたが……ここで暮らしていくうち、こうやって一人のショタが養ってくれることになって、きっと神様が私へのご褒美に違いないでしょう。
「これはきっと、日頃の行いでしょうね!」
「……何言ってんの、リョウコは。」
「いいことをしたって言ったんだ!ハハハ!」私は楽しく笑っていたが、アーベル君は全然笑ってくれなかった。
あれ?そういえばさっき、アーベル君はもう呼び捨てした?
「アーベル君、アーベル君!」
「……なんだよ。」
「もう“さん付け”したくなくなったの?」
「……なんかもう、付かない方がいい気がする。」
これはつまり――?!
リ:(私に対して親近感が湧いたでしょうか?!)
ア:(……なんか尊敬する必要がない気がする。)
よーっし!この調子でどんどん懐いてもらおう!
****
そして、この状況を作った、しっかり二人の姿を見ているとある天上の存在がくくくと笑い出した。
彼女曰く:「ふんふんふん!そうだ!そうなのだ!そうやってショタに狂っちゃえばいいのだ!リョウコよ!」
「これは、ショタのち〇びをいじろうとする君への罰なのだ!」
くっくくー!
わあーははは!