ステータス2
私の目の前に、一つのステータス画面が浮かんでいた。ウィンドウズみたいな、SF映画にもよく見た空中に浮く青いやつのアレ。その内容はかなり見慣れているものだった。
ステータス
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キャラクター ヒロイン
名前:アーベル
レア度:★
レベル:1/99
EXP:30 → 31
訓練完了によって、1増えました。次のレベルまで、あと19。
HP:130 → 131 (訓練完了)
SP:80 → 81 (訓練完了)
STR:60 → 61(訓練完了)
CON:60 → 61(訓練完了)
DEX:50 → 51(訓練完了)
LUK:40
スキル1:威嚇 LV1(MAX:5) SP消耗:25/回
効果:敵相手にATKの数値5%を下げる。(LV1→LV2:敵相手にATKの数値6%を下げる。)
熟練度:1/100
説明:怖い、怖い!相手を怖がらせて、怯ませる!そうすると絶対怖がるはずだ!ソラン師匠直伝の ……(次の説明はクリックして)
スキル2:誘惑LV0(MAX:5) (鍵)
効果:まだ解放されていないため、見られません。
説明:……
スキル3:スラッシュLV0(MAX:5) (鍵)
効果:まだ解放されていないため、見られません。
説明:……
スペシャルスキル:ダブルダッシュ
効果:二回行動ができる。
説明:その靴には不思議な力を秘めている。ピンチになる時、必ず強い力が発揮し、危険から抜け出せる。もし …… (次の説明はクリックして)
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それはソシャゲーではよくあるキャラクターのステータス画面だ。一部を除いて、ほとんどのやつはチープなやつそのもの。
この一ヶ月、毎日確認している。
このステータスを見て、また若干興奮気味なアーベル君を見て、いたずら心が湧いてきた。
「……ああ!」私は驚くふりをした。
「な、なに?!」
アーベル君、まんまと引っかかった。慌てている姿……かわいい。
「ステータス……見れなくなっちゃった!」
「ええ?!嘘だろう!」あわあわとしているアーベル君。
「うん。嘘だよんー」さすがに騙し続けるのは良くないから、打ち明けることにした。
でも、アーベル君に睨まれちゃった。
「冗談だって……そう怒るなよ。」
「……嫌い。」
「ちゃんと成長しているから、伝えるまでもないだけだって!毎日チェックしたら、つまらなくなるじゃん……」こういうちょっとした遊び心を否定しないでほしいな。
「……さっきも言ったけど、もしリョウコさんはこのこともできないと、本当に無駄な人間になるよ。」
「無駄って何よ、無駄って……それに、ステータスチェックできなくても、まだできることがあるの!」
「……それは?」
私は“メニュー”と呼び出し、メニュー画面が現れた。そう、メニュー画面。ソシャゲーではよくあるあの画面だ。
「まさか……」
私はメニュー画面から「スキン変更」の項目を選んだ。これは、二週間前にとある人物から得られた「スキン」だ。
「変・身!」と、私は変身ポーズをとって、想像では細かく描写しているアニメ風の変身パートだったが、実は瞬く間に男の身体はすぐ女の身体になった。
小麦色の皮膚、でっかいおっぱい。普通なら、こんなおっぱいは絶対肩が重くなるはずだが、どういうわけか全身がふわふわしている。あまり重量を感じない。とても軽い。変な感じだ。
私は両手を腰に当て、自慢げにアーベル君に自分の体を示した。
「私、変身できるもん!」ついでに自分のおっぱいも寄せてみた。何せ、せっかくの大胸だ!元々絶壁のAだし。
でも、近づいていたからだろう、アーベル君はプルプルと拳を握って、全身が震えていた。
あ、これは怒っている信号だ。
「だ・か・ら!ソラン師匠様の姿になるな!師匠様のイメージを壊すな!」
「いたたたたたっ……もう、わかったよ。」言いながら、私は「スキン」を元に戻した。男の身体。実体感があって、さっきふわふわしている感覚より安心できる感覚だ……下半身はかなり違和感があるけど。
「わがままだなーアーベル君は。」私にも理由があるのに……今は違うけど。
「誰がわがままだよ!もう知らん!身体を洗いに行く!」
「いってらっしゃーい」
パタン。
アーベル君が離れると、私はすぐにベッドへ飛び込む。ちょっとベッドの匂いを嗅いで、目を閉じる。
私は寝るつもりじゃない。とある人とコミュニケーションを取るのだ!
そして、私の意識がゆっくりと闇に落ちた。
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ファンファンファンファンー
景色は白い煙幕で、何もない場所。
私の目の前に小麦色の皮膚をしている女性が凛々しく立っている。
彼女は私を睨んで、すぐにでも叱ってくるようだ。でも、二週間の付き合いで、私にはわかる。あれは、叱る表情じゃない。
彼女は腕をでっかい胸の下に組んでいて、私に語りかける。
「どうですか!ショタの体温!ちゃんと感じました?」
そう。
彼女は、とんでもないショタ好きの存在、またアーベル君が尊敬している人――ソラン師匠である!
ちなみに、なぜ彼女はこんなところにいるというと、死んでいたから。
死因は、ショタの萌えキュン♡死。