なんつーか、旦那が邪魔だなぁ……え? 2
会話文です。ただし「」のセリフは同僚オンリー。主人公は前回同様です。
「お前さ、最近休憩時間の度に待ち受け画面のスマホ見て固まってるけど、どうした?」
そう同僚に話しかけられて、いつもなら絶対、ぜ~ったい言わないオレの気持ちの話しをしちまった。
「あははははは! なんだそれ、結局電話できてないとか。いや、そもそもおっさんがおばさんに運命感じるって! 誰得だよ。需要もねーな」
くそっ、この野郎! やっぱ言うんじゃなかった。
けどなぁ、どーゆー理由で連絡すれば変じゃないかって全く浮かばねーんだもん。 こんなヤツでもなんかの切っ掛けの切っ掛け?になんねーかなーとか思ったオレがばかだったー。
つか、オレのこの気持ちって恋じゃなくて、運命感じてんの?
「そんなムカついてます面するなよ。実際グラビアとかアイドル的なのとかの話が盛り上がるんだし、リアルだったら近場の若い子の話しだろ普通。年が離れてるなら上より下がいいだろ」
オマエはそーだろーよ、このロリコンが。捕まらない様に自重しろよ。
「は?何言ってるんだ、俺の対象は二十代だぞ。がっつり成人してるから!ロリコンじゃねえ」
二十代って、オマエも三十後半だろ。一番近くても9才は離れてんじゃねーか。20歳ジャストだったら18歳差じゃん。充分ロリコンだろ。
「んなわけあるか!さてはお前ロリコンの意味知らねえな?」
知ってるけど、そんくらい離れてればお子様みたいなもんだろーが。
「……ああそうか、お前って元々が熟女好きだったのか」
ちがわー!
「え?違うのか?二十代がお子様なんだろ?」
オレは自分と同じ年代、大枠で三十台辺り、だと思ってた。
「そうか……なんかネタとかじゃなくてマジなのか?」
ネタじゃねーよ。まぁ、オマエなんかに話すのに本当の事いう訳ないって思うのは当然だけどな。
「俺なんかってなんだコラ。――いや、確かにお前にしては話題がいつもと違うなとは思ったけどな。あん?じゃあ本気で言ってるってことだよな? って事は……お前の言うその人って――あの人か。確か9か10上じゃなかったか? ないな。いや、そもそも結婚してるから元々ないけどな」
くそっ、この野郎! 2回もナイとか言いやがった。
あれ?でも、意外にも! 結婚してるからナイってまともなコトも言ってやがる。こいつにしては。
や、そこじゃない、コイツに想いの相手バレた。
「いや、まともな事って言ってもそれはお前の話しだからで、俺は二十代の子とチャンスがあればいくけどな」
この野郎! やっぱいけ好かないヤツだ。
「俺もお前の事すかした奴で面白くねーなと思ってたけどな――お、仕事だ仕事、続きは晩飯と飲みでな」
――え? 続きあんのか。……変な感じだなーって、仕事だ仕事はオレのセリフだし。
ま、切り替えて仕事仕事!。
コイツとサシで晩飯を食って飲むとは思わなかったけど、コイツもそーなんじゃねーの?
「ああ、昼に言っただろ。お前の事すかした奴って。それが、うだうだぐずぐずしてるのが面白いからな、運命の熟女の話し聞いてやるよ」
この野郎、熟女いうな。つか、うだぐずなんかしてねー。
「いやしてるだろ。むしろへたれ」
へ、ヘタれ? オレが?
「そうだよ。自分の気持ちには気付かねえ、縁が切れるのが嫌なのに行動しねえ、あわよくば相手の方が都合よく何かで連絡してくれないかとか思ってんじゃないか?」
がふっ。さ さ 刺さる。いやでも、自分の気持ち分からなかったのはしょうがなくねー?
「俺が言ってるのはな、旦那と一緒の所見て尻尾まいて逃げた事だよ。その時点で熟女、いや、彼女に下心あっただろ。本当に気付いてなかったり、人として好ましいだけなら旦那が一緒だろうが話しかけただろ?」
あ~う~、尻尾まいて逃げた……いや、でも普通既婚者に話かけなくね?
「だーかーらー、その考えが既に下心、言い換えればやましい気持ちがあったって事だろ。既婚者に話しかけないのが普通って、結婚したら話しかけてもらえないのかよ。どこの国の普通だよ、少なくとも日本の普通じゃないぞ」
……確かに。
「確かに、で会話切るなよ。へこんでてウケるけど。いや、お前がヘタレなのも言われるがままなのも俺は面白いけどな。ぶはっ」
くそっ、この野郎!って何回言わせれば気が済むんだ。 や、オレが何回言えば気が済むんだ、か?
まー、確かに仕事場では同僚だけどオレの方が役職上だから、それなりに偉そうっつーか、ハッキリきっぱり言うケド。それも仕事だし。
「あ?そうなのか? 俺はてっきりあれがお前の素なんだと思ってた…ふ~ん。仕事用のキャラか。いやでも"オレ凄い"って感じは素であるよな」
そりゃー、オレ凄いだろ。同い年で役職が上なのでもわかんだろ? 物凄く努力したしー。
「この野郎、って俺も思ったが…努力してたのか。――こんなの当然だろ、的に軽くできてるのかと。 あん?それだと俺に対して下に見てるみたいな反応はなんだ?」
オマエは仕事中でもチャラチャラしてるじゃんか。ちゃんと仕事しろって思う。や、仕事はそれなりにしてっけど、なんつーの? お客置いてサポートの若い女の子とくっちゃべったりするからイラッとはする。
「――ああ、そういう…。お前って意外と真面目で努力家とかそーいう奴だったのか。いやでも、お前だって仕事中に例の彼女が浮かんだとか言ってなかったか?」
浮かんだだけだ! そこから考えにふけったりは仕事中はしないぞ!
「仕事中じゃなければ考えに耽るわけだ? エロい事は考えたか? いや、端的にいって献立にしたのか?」
な、な、ンなわけないだろ! にやにやすんな!
「お前さー、それなりに経験あるだろうに、どこかの魔法使いみたいな反応でかえすなよ。中学生かなんかか。って、全然プラトニックでいい感じじゃないじゃないか。心が結ばれればとかアホな事いってたよな?」
アホな事じゃねー! そこに考えが行き着いただけだ。
「ほうほう。お前って自分の中でも自分を良い奴、かっこいい奴、にしたいんだな」
はぁ? どーゆー意味だよ?
「あー、まずさ、俺には年増、いや、上とする考え自体わかないから余計思うんだが…そんな条件の女が献立になるってその時点で好きだろ? なのに、自分の気持ちに気付かないふり、特別だったから縁は切りたくない、既婚者だから気持ちが通じればいい、じじばばまで生きてたら結婚したいとか。そう思いたいんだよな? カッコよくて誠実なオレ、みたいにさ」
な、オマエなぁ! オマエの好みはどーでもいーけど、そんな女いうな! つか、そう思いたいってなんだよ。
「そんな条件の、だよ。――ああ悪いって、そういう人、な。 それで、お前の結論ってさ、逃げ、だろ?」
――は? どこが逃げなんだよ。や、確かに連絡する口実が浮かばなくてグルグルはしてたけど。
「それもだな。逃げてなければ口実なんていくらでもあるだろ」
あーもー!もうズバッと言ってくれ。
「じゃあ言うけど、"役職"のある同僚君。 昔と違って既婚者じゃないと絶対に出世できないって事もないし、離婚したからってそんなに仕事には響かなくなったけどな? 不倫はバレると仕事に響くだろ。変な事言って振られるのも嫌で、まあ、元々振られる可能性の方が高いけどな?――かといって話せるようになって、気持ちが止められなくて万が一上手くいっても仕事がピンチになる可能性が高くて。実はこの仕事に真面目に努力するほど懸けてる同僚君はそれは物凄く嫌だろうな?」
…………。振られないよ。あの人はオレの事好きだよ。
「――ああ? お前正気か? どこからそんな自信がっていうか…お前ヤバイ奴だったりする、のか? ストーカーになれる気質とか」
誰がストーカーだ! 正気だし、恥ずかしながらカッコよくて誠実な自分だと思いたかったってのは理解したぞ。
「あ、そう。じゃあ…何かお前の事好きだっていうような言葉とかサインみたいなものでもあったのか?」
……ナイケド。好きってのはないけど、ナイケド、ある。
「なんだそりゃ。お前が何か勘違いしてるんじゃないのか?」
勘違いじゃない。好きって言葉じゃなかっただけで、オレにとってはそれ以上の言葉もらった。大事だから口に出して軽くしたくないから言わないけど。あ、あと、ありがとうって感謝ももらったし。
「いや、お前…そういうのが勘違いっていうんだぞ。それに感謝って、人によっては普通だし、社交辞令でもいうだろ」
社交辞令じゃなかったし! 勘違いでもない! それに…アイコンタクトってか、見つめ合った感覚がそうだった!
「……まあ、じゃあそういう体で?話進めるとさ、お前は電話なりメールなりが繋がりさえすれば受け入れてもらえると思ってるわけか?」
え、う、う、受け入れてもらっ――
「そういう意味じゃねえから! おっさんが赤くなってきょどるな、きしょいから。 そうじゃなくて、最初の理由さえあればその後も連絡取りあえると思ってるのかって事と、お前が好きだとか告白したら受け入れてもらえる自信があるのかって、おい、気持ちを受け入れてもらえるのか、だからな。――プラトニックどこ行ったよ。盛りの付いたガキでもあるまいし…あん? ある意味ピュアになってるのか?」
――ああうん悪い。盛りっつーか、つい気持ちが盛り上がるってか情緒不安定なのか? ウキウキ、ドキドキ、ソワソワの三点セットに安心感みたいな相反する気持ちがついてくる。あ、フリーホールみたいに落ちる時もあるな。んで、それがコントロールできねーの。
――って、そう、1回! 最初さえクリアできたら…プライベートな話とかしても聞いてくれるし話してくれると思ってる。
あ、もちろん基本はあの人の力になりたいっつーのがあるけどな。――告白は、あ?告白?オレが、コクる……。
「おーい、戻って恋って感じになってるな。いや、恋どころかハマってる、どころか沼ってるな。いつもの理論的というか合理的なのどこに旅立ったよ。面白い通り越してきたんだが。それと、妄想乙」
肩ポンすんな。妄想じゃねーし!
「もう酔ってるんだな、ハハハ。ちなみにそのフリーホール旦那と一緒に居るの見た時なったろ」
なったよ! 乾いた笑いの後に追い打ちかけるみたいにエグんな! 舞い上がってた自分を消したくなったってか、旦那を消したくなったってか、あー! もやる。
「旦那は消すなよ。消すの意味かわっちまうから。 それで、お前のその根拠のない確信ヤバくないか?」
……? あ、あの人がオレのだって事かー?
「……グレードアップするな。お前のものじゃねーだろ。強烈すぎて何話そうと思ってたか忘れたぞ。もうグダグダだな」
や、物じゃないのは当たり前だろ! まぁ、オレのモノだったらいいなーって。や、オレのなんだけど。
あ、そうそう、オレが告白したらって話だけどな? 気持ちなら絶対受け入れてくれるよ。物理的にはわかんねーけど。あの人の立ち位置とかオレの事考えてさー、どっちに転ぶかなって。
「……ま、まーなんだかんだ言っててもその最初の連絡が出来ねえへたれだからな。そのまま飽きるまで妄想してるのが幸せでいいんじゃないか? ハハハー」
くそっ、この野郎! 一番の難題を持ち出しやがって――って、ん?アレ? そこのアドバイスをオマエにもらえばよくね?
「そう来るか。いやでもな、お前のヤバイ妄想聞いた今それはちょっと」
ヤバくないっつーの! 旦那見たりとかオレ自身の保身とか考えると気分下がって揺らぐけど、本当に最近不思議とわかるんだって! オレと同じ気持ちなんだろーって。や、むしろあの人の方が無償の愛満載ってゆーか。…もっと早く違う形で会いたかったなー。
「…………なにかそんな話をAちゃんだかIちゃんが言ってたような。確か、女の子が好きそうなやつで――ソウルメイトとかツインレイとか言ってたかな。って、ググるの早っ」
――――これ!これこれこれ! ツインレイ! こっちの条件ピッタリじゃん!
「ああ、年くってから出会う方ねー、障害もばっちりあるしなー。 それでお前の理性は本当にどこまで旅してるんだろうな? 別人過ぎて笑いを通り越すっていうかなんか気が抜けた」
はあん? ドコ旅してんのかなんてそんなのオレ自身が知りてーわ。つか、会いたいなー。会えれば言葉にしなくても…や、会話もしたいし、ハグくらいはしたいなっつーか撫でてもらいたくもあるし……
「やっぱお前自覚ないだけで基本は年上好きだろ。 あーもう分かったから願望たれながすなよ。
じゃあアドバイスその1、ツインレイとか本気で思ってるなら理由なんか考えないでその後どうですか的にダイレクトに電話する。
その2、仕事のアフターフォロー的な理由で電話する。それなら一方的に電話しても変だけど変じゃないからな。
その3、偶然会えるのを待ってその時番号交換する。
ちなみに1、2は知らない番号だと出ない可能性が大な。番号のメールのやつに題名に名前書いて送るのもありかもな。3は言わずもがな会えたらいいな?」
言い方が事務的だなオイ。そんくらいならオレだって考えたよ。知らない番号に出ない可能性は抜けてたけど。んで、メールは迷惑メール類っぽく思われないかなとか…つか、他にないか?
「この、はぁ。まあいい、そうだな他には…今の彼女の状況とか状態を知ってる人がお前の知り合いに居たらリサーチしてそれを理由にって、それでも知らない番号だな。あ、知り合い居るのか?だったらもうお前の番号とか連絡してもいいかとかその人経由で聞くっていうか教えれば?」
そんな事頼める知り合いじゃねーよー。勘ぐられたらアレだし。あーでも会えてる人に繋ぎとってもらう案はい-けど。
そーするとやっぱその人か…や、でもなぁ、仕事関連でなんかあればワンチャン変じゃないか? や、でも…力になってくれんのか止められるのか微妙だし、オレの気持ち言っちゃったら彼女が悪く思われるかもだし…。
「あ、へたれてるだけじゃなくて相手の事も考えてたのか。――俺にはお前が動くことが良いのか悪いのか分からないし、もちろん当たって砕けるのが一番だとは思うが。ははっ、わるいわるい。
――それで、そもそも俺的には無い事だから想像つかないけどな、あの人何故かモテてるぞ。そいつらが動くかどうかは知らないけど一応教えとく」
は? 誰だよ? つかそいつ等?複数なん? え? 誰か知ってんなら教えろー!
「教えてもいいけどな、俺が言いたいのはそこじゃない」
何が言いたいんだ?
「だし抜かれたくないなら動けよ。妄想で満足してるのもいいと思うが。結局気持ちのコントロールできないんだろ? もし上手く行くなら、相手は熟女で賞味期限はギリギリだぞ?俺的には無いけど。女の方も自分の衰えって嫌なんじゃねーか? お前が相手の事も考えてるみたいだから参考に言ってみた」
オマエの好みはどーでもいーけど……そっか、そうゆー事もあんのか。
「あくまでも上手くいくならの話しだけどな。 俺たちもそうだけど、これからがあった若い時とは違うんだ。人生は一回きりってよく聞くよな?前からあった言葉かもしれないが最近特に身に染みて来てるんだよ。まだもう一回がギリきく年だからかな? まあ、後悔しない方を選んでけば?」
…オマエにそんな事言われるとか思ってなかったわー。てか、若い女の子以外の事も色々考えてんだな。や、もう一回ってこの仕事辞める気じゃないだろーな? 今人手不足なんだからオマエ程度でも居ないと困るぞ?
「この野郎、俺程度とか、わざわざ相談に乗ってアドバイスまでしてやったのにチョップ。――色々考えてるに決まってるだろ」
あれ? よくある相談飲みだったのか。てっきり面白がってオレをいじるネタ掴むだけだと!
「ははっ、最初はそうだったけどな!」
…そっか。――――――――で、あの人に気があるヤツらってドイツらだ?
「そこに戻るのかよ! 人の事なんか気にしないで行動するか妄想するか決めろや! ていうかもう勝手にやれ」
そうバシッと決められんなら停滞してねーよ。妄想は行動してもするけど、もっとオレの背中を押せよー。具体的には連絡の取り方な。あと、奴らの名前な。消さないと。
「消すな! ていうかヤル気の方向が違うだろ! キャラ変わりすぎだコラ」
……ちゃんと後悔しない様にするよ。
「――ああ」
永遠と会話が続きそうなので途中でぶった切るような感じになりましたが、主人公がどう行動したのかはお好みでどうぞ。
メジャーな話は書く人が沢山いるので、マイナーなカプの話が書きたくなりました。書き方もマイナー?でしたが。
ごく少数の人の楽しみに少しでもなれば幸いです。