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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

記憶の中の紫陽花

作者: 色彩

お時間よろしければご一読していただければと思います。

読んでくださる方の心の片隅に落ちてくれたらなと思います。

中学二年の夏、僕は人を殺した。

同じクラスの女の子で、明るい性格の人気者で、僕の恋人だった。 

あのときのことを思い出そうとすると、なんだかな。雨に濡れた土の匂いと、それをスコップでザクザク掘る音と、気持ち悪いくなるくらいに咲いていた紫陽花の色。

それくらいしか思い出せないんだよな、不思議なことに。


もっと沢山いろんなことがあったはずなんだよ。どうやって殺したとか、殺した理由とか、殺したときの彼女の顔とかさ。 


うーん、思い出しながら喋るから、曖昧になるけど許してね。


たしか、確かね、僕の家に彼女が遊びに来たときに、丁度家族が全員いなくてさ、麦茶を出そうと思って部屋をでて、それから戻ってきたときだったかな。うん、たぶんそうだ。僕が部屋に戻ったとき、彼女がさ、上のセーラー服を脱いでたんだよ。僕スッゴク慌てちゃって。多分あの時の僕の真っ赤だったんじゃないかなぁ。あ、それでね、彼女が下着をずらしながら「私、あなたになら何されてもいいよ?」だった、かな?いや、違ったか?まぁいいや。そんな感じのことを言ったんだよ。

ほら、自分で言うのも何だけど僕ってこんなに綺麗な顔してるだろ?ふふ、自慢になっちゃうんだけどちっちゃいときから色んな人にモテてたよ。そのおかげでヤな事もあったけどね。

まぁ、だからさ、服を脱いだのはビックリしたけど言われたことにはどうとも思わなくてさ。

正直、今思えば僕って彼女の事好きだったのかな。可愛いな、とは思ってたけど、多分これって皆の言う恋愛的な好きには繋がってなかったよな。彼女に悪いことしたな。


あ、話がだいぶ逸れちゃったね、ごめんごめん。えーと、どこまで話した?あ、そうだ、彼女が服を脱いでも別に何でもなくて、からだね。といってもなぁ、ここからほとんど記憶がぼやぁっとしてるんだよね。

さっき僕、この顔のせいで嫌なことあったって言ったよね?

僕ね、今の母さんと父さんって血がつながってないんだ。僕が小学校6年生のときに一緒に住み始めたんだ。

本当の母さんは、元々心が弱くてね、それで薬に頼ってたら頭がおかしくなっちゃったみたいで、裸で僕に跨がってクスクス笑いながら僕の首を絞めて殺そうとして捕まったの。


まぁ、この話はいいんだよ。今は、中学二年の話。まぁ、そんなことがあって、少しだけ女の人の裸にちょっとした、なんだろ、トラウマじゃあないんだけど、思うところがあってさ。

彼女の裸を見たときに、気持ち悪いなって思ったんだっけな。


それで、気づいたら彼女を押し倒して、首絞めてた。

暴れたりしてたと思うんだけど、その時の顔とか、そのあとどうしたとかはあんまり覚えてない。


ただいつのまにかどっかの木がいっぱい生えたとこで、穴掘って彼女を埋めた。多分学校の裏手のどっか。


紫陽花がすっごく綺麗だった。


次の日に、学校にいったら、先生からクラス全体に彼女が昨日帰ってないっていうのを言われた。まぁ、当然そうだよね。だって僕が殺したんだもん。

結局彼女見つからなかったみたいで、今もそこにいるんじゃないかな。


まぁ、こんなところだよ。僕が覚えてるのは。




あ、そういえば。

そっくり、だったんだよ。彼女の、手がさ。僕の首を絞めた母さんの手に。


爪が綺麗で、指が細くて白かった。 


うん。君の手にそっくりだったな。



お読みいただき有り難う御座いました。


紫陽花が綺麗だったんです。

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