9話「いつか訪れるだろう」
目が覚めた私は身支度を済ましてから外を出た。
「おはよう、アポロニアさん。朝早いね」
「あら、おはようですの。天馬殿」
二人の男女の小学生がそう言いながら私の隣の表札に『天馬』と書かれた家から出てくる。女の子の方はハーフだろうか。そして元気に私に向かって「グッドモーニング」と挨拶してくる。私はそれをそのまま言葉で返して彼女たちとすれ違いにしばし歩いて駅を出る。
私は列車に乗るために列に並ぶ。横の列から声がする。
「ユキ姉も花咲さんもおはよう」
「おはよう」
女子高生二人と女子大学生か。
そして電車が来た。私はすんなりそれに乗り、目的地に着いた。
今日もまた平和な風が吹いてくる生活を送るのだった……となると思ったのに何でこうなるんだよ!!」
私は宴に使われている目の前の机に両手を叩いて言う。
「何でって言われてもねぇ?」と花咲さん。
「というか何よ、そのキモいストーリー。キモストよ、キモスト。何でみんな、あなたのそばにいるのよ?まさか拉致犯って魔王じゃなくてあんたじゃないの?うぷー」
ユキさんは椅子から降りて笑い転げている。そんなに笑われると顔が熱くなる。というかスカートの中見えてはしたないですよ、ダメイドさん。
「たくっ。神もなんだよ。眠りに落ちたかと思えば、またあの部屋に戻るなり、今度はみんなそばにいたし。まったく。何が死んで生き返るにはまだまだ私の首を縦に頷かせる力が足りないだよ。さぁ、あの扉から仲間たちとともに出直して来いだよ」
「まっ、何はともあれ。みんな再集結ね。これからどうするの?」と花咲さん。
「そんなもん、クエストで集まった金を利用して毎日のんびりと……」
ポトッ、と上からなにか落ちて来る。
『次の旅は隣の島"テルモア島"だ。少ししたらよろしく。
神より』
ふざけんなよ、あの神が!!
私はそう言って五人の仲間に言う。
「そういうわけで新たな旅が始まる。ダークホースとして共に救ってもらえるかな?」
「炊飯ジャー!!」と三人は声を揃えて言う。
「あっ、そうか。テンマとアポロニアはこの島のために君たち二人はここでお別れか」
「心はいつも繋がってます」とアポロニア。
「そうですぜ、兄貴」とテンマ。
こうして私たちは神様の首を縦に頷かせるために今まで通りの五人の仲間……実質三人の仲間である幽霊の花咲さんとダメイドのユキさんと天使の有川さんと冒険を再開するのだった。
いつか訪れるだろう、その日まで。
だが、今はせっかく用意してもらった町の人たちの宴を楽しむのだった。
静かな風が今日もまた私たちの体をやさしく靡いている。
向こうの作品ではここまでですが、続編のために少しだけ新話を続けますので引き続きお付き合い頂ければと思います。ちなみに明日の更新は昼の12時からです。




