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チートゴースト  作者: 未知風
1章「始まりの町」
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4話「宿屋ハプニング」

そして私たちは花咲さんの案内により、『華麗なる宿屋』という宿屋に着いた。


「いらっしゃいませ、お客様」


メイド姿の猫耳付きの女性が現れる。


「花咲さん、ここ、いやらしい宿屋じゃないよね?」

「えっ?そういうのがお望みでしたか?ここは宿屋の名前通り代々長く開店されている宿屋でございます。そんないやらしいことを考えてるあなたとは異なりますが、私たち女子はこういうところが安全なので……」

「あぁ、分かった。俺が悪かった。だからこれ以上触れるな、そのことに」

「炊飯ジャーです」

「はい?」

「了解という意味でしゅ……」


花咲さんはそう言って顔が真っ赤になっている。


「お泊まりになりますか?やだ、この人、なんで一人で話してるのかしら。どうぞ、入ってください。きもっ。歓迎します」


どうやら、彼女には花咲さんの姿が見えてないのだろう。だから私が一人で話していると。そして心の声がダダ漏れだ、このあま!!と思いながらも私たちは宿の入り口から入る。大きな木で出来た扇風機が上で回転しており、広い床一面に赤色の絨毯じゅうたんが広がっている。

私たちは宿屋の手続きをするために受付と書かれたところに行く。そこにはメイド姿の女二人と一人の筋肉質な大型の男がいた。なるほど、もしここで何かあったらこの男が何とかするのか。

私は白黒のメイド服を着たセミロングな髪型の女性に手続きをしてもらう。


「いらっしゃいませ、お客様。お客様は日帰りコースですか?それとも宿泊コースですか?」

「どうする?」と私は花咲さんに声をかける。

「私、堪能したいから一年コースがいい」と有川さん。

「そんなの足りないよ。一生コースがいい」と花咲さん。


セミロングの女性はこちらを見て返答を待っている。


「いや、あるわけないだろ?そんなに」


私がそう彼女たちに言うと、その女性がしかめっ面でこう答える。


「は?お客様、勝手に決めないでくださいませ。最大ですが、一年コースはあります。その間、私たちの宿屋の手伝いを血が流れるまで……ぐふふ……やってもらいますがねぇ」


今、この人、不気味に笑ったよな。なんか怖い。ここはこいつらの堪能したいという要求も飲んでこうするか、と思いつつお願いする。


「一泊二日でお願いします」

「かしこまりました。人数は三人ですので金額は十四万クソッタレです」

「あのもう一度お願いします」

「十四万クソッタレです」

「ちょっとお待ちを」


花咲さんの方に向く。彼女はイラついた顔でこちらを見返してる。そんな彼女に質問する。


「クソッタレってなんだ?」

「この世界のお金の単位です。こちらではお手洗いで用を足してたその名付け親が金が減るのって今の自分だよなと思い、『クソッタレ……そうだ、それにしよう』と口にしたのが始まりだと言われてます。ちなみにこの世界では私たちの金額の方が高価となり、その千分の一の金額で足りることになります。つまり百四十円となります。まったくこの方は私が見えないのでしょうか、そうだ触ったら見えますよね?」

「やめろ、金が増える」


私の考えに察したのか、素早くうちの天使が彼女を止めた。そして小声で彼女の耳元に何か言っている。


「じゃ、これで」


茶色い四角い皿に百円玉一枚と十円玉四枚を置く。すると目の前の彼女の目はにこやかになっている。


「ありがとうございます。では、ご案内します。ユキ」


いつの間にかそばに居た桃色の浴衣の女の子がそこにいた。彼女の後ろを私たちは歩く。「ねぇ、これ見て。別世界のお金よ。きゃふふ」という嬉しそうな声を後ろからするのを聞きながら。

長い廊下を歩く。この世界にもエレベーターがあるようだ。外の景色をガラス越しで見渡せる。しかし宿屋の中だけではあるが。


「あっ、そういえば部屋は一つでよろしいのですか?別々じゃなくて?」

「えぇ、大丈夫ですよ?」と有川さんは答える。

「女一人に男二人ね……あのぅ、もしかして無理矢理ならちゃんと今のうちに部屋を用意しても平気ですよ、天使さん?料金は一クッソタレも変わりませんよ」


ユキという子はそう聞いてくる。よくよく考えるとそのことを考えていなかった。そんなユキさんの脇腹をくすぐって聞き覚えのある声が響く。


「私もいますわよ?」と花咲さんは言う。

「ひゃあ……あなたは?まさかあなたたちのお仲間さん?それなら金額が増えるわね?あら、なんであなたガラス越しに顔が映らないのかしら」

「だって私、幽霊ですもん」


その時に七という数字を表示したエレベーターがチャイムの音を鳴らして扉が開く。彼女は私たちを廊下に通して話を戻した。


「まさか本当に幽霊がいたなんて。もしかして触れなければ見えないのです?」

「えぇ……そこの天使を除いては今のところ」と花咲さんは答える。

「そーなんだぁ。これは秘密ですね。金額は内緒にしておきますね」


ユキという女の子の目はキラキラしていた。これはどうやら都合がいいようだ。

廊下を進むと一つの部屋に彼女は足を止めてこちらを振り返る。


「こちらがお客様たちのお部屋になります」


私たちを部屋の中に通す。部屋の札に『NaGoMi』と書かれていた。


「何かあればそこの受話器でご連絡ください。またそこの本に詳しいことが書かれております。では、ごゆっくり。ばいばい、幽霊ちゃん」


彼女はにこやかに笑って手を振っている。


「どうやら私、あの子に気に居られましたわね。でもいいのかしら?ホントに金を払わなくて?」

「俺は別に払ってもいいんだけどな」と私は有川さんの返答に対して言う。


私は彼を床に置く。すると彼は目を覚ました。


「はっ!!ここはどこだ?俺は確か……幽霊が現れて……ん?お前らか」

「目が覚めたか?悪いな、あのままあそこに置いとくわけにいかねぇから連れてきてしまった。いやなら、出ていってもよいが」と私は聞いてみる。

「うむ。俺は決めた。お前達の仲間になる」

「は?俺は断る」


私が言うとシステムメッセージが出る。


『おめでとう、テンマを仲間にした。もし断るならあなたはあと十秒以内に前言撤回しなければ即死するだろう(笑)』


おい、システムメッセージ。それ、強制的じゃねーか。ってか(笑)ってなんだよ。即死も断るわ。


「しょうがねぇ、前言撤回だ。よろしくな。テンマ。俺たちは今日から仲間だ」

「ありがとうございます、兄貴」

「あのぅ、お話中悪いのですが、ご飯食べたいですぅ」と有川さんは言う。

「ふむ。食堂へ行くか?」


他の二人も頷く。私たちは二階にある食堂へとエレベーターで向かった。

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