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チートゴースト  作者: 未知風
1章「始まりの町」
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2話「町に到着したのにこんなにそわそわするなんて」

私と花咲さんは町に着く。

彼女のナビによると『おいちょっとお町』という町らしい。私はもう何もツッコミしないぞ。


「どこを見たいですか?」


花咲さんはこちらを見てにこやかに微笑む。


「じゃあ、あそこの防具を」

「いや、それはダメですぅ!!」


急に彼女の顔が真っ赤になる。


「えっ?あそこにある防具屋さんを見たいんだけど」

「あっ、そういう意味でしたのね。私のパンツやブラが見たいのかと思いました」

「ごめん、興味ないから」

「えっ……えぐっえぐっ……」


何なんだよ、この幽霊。見て欲しいのか、見て欲しくかいのかどっちだよ。泣くなんてなおさら分からんよ、と思っても何も始まらない気がするので彼女に謝る。


「ごめん、俺が悪かった」

「けっ」


急に嬉しがる彼女。


(何なんだ、この子は)


そう思いつつも防具屋に入る。


「へい、らっしゃい。どうぞ、ご覧下さい。ぼうぐやを」


おぉ、なんか西洋の鎧とかあるぞ?と嬉しがっていると若い女性の店員さんが近寄ってきた。


「あぁ、そちらの鎧はですね?かつて殺された鎧を身につけていた人が殺されて回収された者となっております。胸に小さな穴がありますのがその証拠です」


ふむふむ、なるほど……じゃねーわ。呪われるわ!!って言っても後ろにいるけどな、リアルゴーストが。おや、これは盾か?と思いつつ視線を盾に向ける。


「そちらは下水道から落ちた盾となります。嗅いでみると臭いのが証拠です」


こんなもん置いておくな!!あっ、これは指輪か?とまた思いつつそれを手のひらに軽く乗せる。


「それはとある姫様が魔女と恐れられた際に殺されて形見となった指輪ですね」

「置いておくなよ!!」

「だってここはぼうぐやなのですから」

「あの漢字は?」

「亡くなったのぼうかたき、そして店で使用される屋さんです」


おい、なんちゅうところ勧めてんだ。この幽霊。いや、幽霊だからか。ひとまず……逃げると決意して幽霊に声をかける。


「出るぞ、幽霊」

「ここ、居心地よいです。死んだ人の喚き声が癒されます」

「ごめんね?ホントはこんなことしたくないけど」


私は幽霊の髪の毛を引っ張りながら外に出た。店の人に変な人と思われながら。

そして外に出てから髪の毛を引っ張っていた手を離してあげる。


「あのね?幽霊だからって髪の毛は痛いのよ?」

「お前が変な店を勧めたのが悪いんだろうが!!」

「変とは何よ?ぼうぐやじゃない」

「亡くなった人付きのなぁ?」

「そんなら落ちてる防具でも拾いなさいよ?どうせ、あまり役に立たないのだから」

「あぁ、そうだな。じゃあ、今度は武器屋教えろ」


彼女は「かしこまりました。今度は亡くなった人が使ったのではなく、新品の武器が売られている武器屋に行きましょう」と言いながら、防具屋の隣の隣の店に案内する。

私は二度見して看板を見る。


『誰にもあげたくないと思える武器屋』


そこにはそう書かれていた。悪い予感しかない。


「思ったよりも立派な武器がたくさんあるな」


私は目の前にある剣を持ってみる。


「その剣ね、重いから腰に気を付けてね」


ありがとう、おじいちゃんの店員さん。でもね、なんか上がらないよ?私が死ぬ前の世界でやってたゲームのキャラたちってこんな剣を振り回してたのか、と目の前の剣を手に持てないことに自分への呆れとゲームキャラたちへの敬意を示して思うのだった。


「あっ、そうそう。それ、強力な磁石で出来てるから鞘と机から取れないんだわ。すまんのぅ」


なんで置くんだよ。まさか処理出来なくて置きっぱなしかよ、とツッコミを心の中で入れてると先ほどのおじいちゃん店員は私の方にある物を指差して言う。


「こちらの銃はどうですかな?」


いかにもカッコイイ小さな銀色の片手銃を出して来た。


「その銃は敵をも驚かせるよ」


なるほど、軽い割にすごい迫力というわけか。


「試し撃ちしたいのですけど、撃てる場所教えて頂けませんか?」

「なら、ここで撃ちなさい」


私はこのおじさんが何を考えているのか分からないが、言われるままに押してみる。

ふむ、なるほど。これなら敵も驚くな。だって銃弾の代わりに糸に繋がった旗が伸びて行くだけじゃないか。しかも下に。これは使えるなぁ……。


「って使えるかぁ!!使った直後に敵キレるわ。こんなの買ってる奴、いるわけないだろ」

「そこまで言わなくても……」


店員さんはその場で落ちこんだ。


「行くぞ?」と私は彼女に耳打ちをする。彼女は気付かないふりをして武器を眺めている。小さな声で私は声を荒らげる。


「行くぞ?二度目はない」


私は店を出た。彼女も渋々付いてきた。

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