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チートゴースト  作者: 未知風
1章「始まりの町」
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1話「俺の存在意義はないのでは?」

私は今、ある時空に落とされている。

死んだはずの体が復活できたのは嬉しいことだ。

だが、元いた世界に帰れないとなると虚しいものである。


”我は神様”と名乗る怪しい仮面をかぶった者が私に死んだことについて話していた。しかし私の口は開けなかった。


(そうだよ、俺は自殺をしようとホームから落ちたんだよ。なにか文句あるか?神様?)


心の中でそう呟くと、神様は私に「道に迷うとアレじゃろ?だからそんな君に手助けをする物を与えよう」と言っていた。


(あぁ、なるほど。ナビケーター的なものをくれるのか。マップみたいなのか。ほう)


そんな感じのやり取りをしていた。

そして今、私はこの世界に辿り着いた。神様が言うにはこの世界のことを『タレサマダ』と言うらしい。

誰もいないただの草原の中で私は一人立たされていた。


「さて、何をするか?」

「あの……職を選んでください。死者?屍?ドクロ?幽霊?さぁ、どれがよいですか?」


前に白字で『死者』『屍』『ドクロ』『幽霊』と選択肢が現れる。

私は声がする後ろを振り向こうとした……が、私の目に赤字で「そのような行為は行われてません」と表示があった。


(なるほど、その四つから選べ、と。

いや、待て。この四つを見てみるとそれら全て死んでるだろ?)


私は文字を見て考え直した。


(待てよ、原型かつ出来るだけ華麗な姿だとやはり幽霊か?)


『幽霊』と書かれたボタンを指で触れる。押せたようだ。

変わって二行の白字が浮き出る。


『幽霊でよろしいんですね?』

『はい』『いいえ』


浮き出た白字の『はい』を押す。

またまた変わって次の二行。


『本当に四六四一よろしいんですね?』

『はい』『OK』


(ふむ、舐められたようだ。質問が数字だし答えどちらも同じじゃねーか)


そう思いつつも、『はい』を押す。

また浮き出てくる。


『本当によろいんですよね?』

『呪』『呪』


(いやいやいやいや。死ってなんだよ。回答に呪いの字、出てるぞ。というかそろそろくどいわ)


そして『呪』を押す。


消人しょうにんしました。どうぞ、後ろを見て下さい』


漢字ちげー、と思いつつも後ろを振り向く。

そこには女の子がいた。見覚えのある女の子が。だが、どこであったか覚えていない。彼女の格好に驚かされた。

白い服を来て白い三角の布を頭に巻き付けるその姿はまるでテレビ画面に映る幽霊役そのものだった。


「お世話になります」

「いえ、こちらこそ」


挨拶を交わす。

目に映る赤字で『おめでとう!いい職が決まってよかったですね』と。


『こうして私と彼女の旅はいいスタートをしたのである』


(……じゃねーよ。納得いかんわ!!)


まぁ、ともかく私は幽霊というジョブ(職)を手ににしたのである。


(ん?これがステータスか)


近くにあったその文字を見て彼女に声を掛ける。


「あの幽霊さん、ちょっと聞いていいかな?」

「幽霊さんなんてそんな高度なヒステリアスの名前はやめてください。私には『花咲楓はなさきかえで』という可憐でビューティフルな名前があるのですから」

「うん、よかったね……。じゃねーよ。自分で名前を褒め与えるなよ。そんなことはどうでもいい、楓、このステータスなんだけど」

「あの質問が聞こえませんでした」

「いや、楓、それ聞こえてるよな?」

「すみません、私の姿があなたより薄いので質問の意味を理解できませんでした」


むっとしかめっ面した彼女の顔を見て、ひとまず謝る。


「ごめんなさい、花咲さん」

「最初からそう言えばいいんです。そのステータスはですね。プラスの後ろが私です。つまり体力は二十三プラス無限。そして攻撃力が一と未知数。防御は……そうですね、五十とゼロですね。まあ、装備付けてませんから防御に関してはそんなステータスになりますね。あっ、ちなみにこの世界では『物理攻撃』も『魔法攻撃』もどちらも『攻撃』となります。防御も同じですね。装備を付ければ付けるほど強くなりますね。まっ、あなたにとっては意味ないんですけどね」


私よりも花咲さんの方が体力と攻撃が強いってことに納得がいかないまま、それ以外の質問を彼女にする。


「その意味ないってのはどういう意味なの?」

「すぐに分かりますよ、敵が来れば」


『草むらから【三つ目ウサギ】が現れた』と大きな黒い字の活字が白いテロップの上に現れる。本当に近くから目玉が三つのウサギが現れた。


「ほら、噂をすればなんとやらです。あなたは謎属性で私は秘密属性ですね。おやおや、あのウサギさんは草属性ですね」

「よし、戦うか。それで俺は何をすればいい?」

「邪魔なのでそこで木のように突っ立っていて下さい。あ、そうそう攻撃はかわした方が無難ですよ」


ウサギが今にも飛びかかろうとしている。「ゴーストストーン」という後ろから大きな声と共にウサギの真上から私の背の半分ぐらいの大きさの岩が落ちてきた。そこにはさっきまでいたウサギはいない。その代わりに……。


『幽霊はゴーストーンを繰り出した。絶大なダメージが当たる。【三つ目ウサギ】は白いその体とは裏腹に赤い血を染めて倒されてしまった。そこにいる奴は何も役に立たなかった……プフッ』


(また出たなと思ったら今回は長いな。というか最後笑っただろ。プフッじゃねーよ。というか……)


私は彼女の顔に向き合う。


「え?私の顔に何か付いてます?」


どうやら、私はとんでもない者に憑りつかれてしまったようだ。


「あの……『今、俺の存在意味なくね?』みたいなこと思ってませんでした?」


どうやら、私の思いを読まれてしまったようだ。


「あぁ、思ったよ」

「しょうがないじゃないですか?それが事実なのですから。さぁ、町に向かいましょう」


なんかムカつくなこの子は。そう思いつつも「あぁ」と生返事をした。これからどうなることやら。

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