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第1章 最初の事件 1

 リアム達は隣町「ルラフ」の朝市に来ていた。


 昨晩、カイルは情報屋のところへ行ったが、アリスに関する有力な情報は得られず、今日のところは食料や必要な物の調達をする事になった。


 「アリスちゃんのこと、残念だったね。」


 リアムは浮かない顔をしたカイルに声をかけた。


 「ああ、だが情報がないということは、この辺りには来ていないということだろう。手掛かりは掴めなかったが、一歩前進したとも言える。一概に“残念”な結果だったとも言えないさ。とはいえ、さすがに少し堪えるよ。気を使わせてしまってすまないリアム。」


 「いや、いいんだ。ひとりで抱え込まなくても、いつでも力になるよ。僕達は旅の仲間なんだからさ。」


 カイルは少し微笑んで、

「先に宿に戻って支度を始めるよ。」と言って

 市場を後にした。


 そこにエミリーが、腕いっぱいに食材を抱えてやってきた。


 「リアム、カイルの様子はどう?」


 「うん、やっぱり少し落ち込んでたよ。先に宿に戻ってるって。」


 「そう…。まぁ仕方ないわね。私もこれを持って先に戻ってるわ。リアムも遅くならないでね。」


 そう言ってエミリーも市場を後にした。



 ――――――――――――――――――――



しばらくして…


 「だいたい揃ったかな。そろそろ戻ろうか。」


 と、リアムが宿に向かっていると、屋台の商人に呼び止められた。


 「そこのお兄さん、ちょっと見ていきなよ。珍しい物を置いているから。」


 「僕、急いでますから…。」


 「まぁそう言わずに、ちょっとだけだからさ。」


 リアムは仕方なく、見るだけ見て帰ろうと思い商人の男の話に付き合うことにした。リアムが屋台のそばによるとすぐに、その怪しげな男は屋台に並んだ商品の説明を始めた。


 「これは“笑う猫”。話しかけるとひたすら笑う。それを見るだけでたちまち心が癒されるぜ。」


 男は猫のぬいぐるみを手にとって見せた。その後も男は何の役に立つのかわからないような物をいくつも見せてきた。リアムは時間の無駄だと思い、立ち去ろうとしたが、次が最後の品だと言われ、しぶしぶとどまった。


 「コイツは他では手に入らない、とても貴重で粋な品だ。この“燃えないライター”は、火がついているように見えるだけで、実際にはついていない。熱くもないし、火事の心配もない。じゃあ何の為のライターかって言うと、それが面白いところで、熱くもない燃えない火をどこにでもつけることが出来る、つまり蝋燭いらずというわけさ。大きさだって調節できる。どうだい?面白い品だろう?」


 男は得意気にそのライターを見せた。


 「そ、そうですね…。」


 リアムは確かに面白いし便利な品だと思ったが、今は必要ないと思い、買わずに宿に戻った。

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