魔族
5分くらい歩くと、教えてもらった冒険者ギルドに着いた。
「ここが冒険者ギルドか...」
ドアを開け、中に入る。
中は多くの人で賑わっていた。
「えーっと、受付は...あそこか」
受付らしきカウンターへ向かう。
「あのー、冒険者になりたいんですが」
「はい、冒険者ギルドへようこそ! まずはこちらの紙にあなたのステータス等を書いて下さい」
「その前に、俺は一応魔族なんですが大丈夫ですか?」
「全く問題ありませんよ、他にも魔族の方で冒険者登録している人は多くいますので」
「え? あ、そうなんすか」
「よければこのギルド内にもいますので話を聞いてみてはいかがですか?」
「そうですね、わかりました」
「では、紙を書いて下さい」
紙を受けとり、空欄を埋める。
えーっと...名前が新屋 健人で...。
そんな感じで埋め終わると、
「はい、ありがとうございます。 今書いてもらった事が本当かどうか確かめるので、ギルド内にてお待ち下さい。 終わったら呼びますので」
「確かめるとか出来るんですか?」
「ええ、この紙を真偽の魔法にかけて確かめるんです」
真偽の魔法...そんなものがあるのか。
取り敢えず、確かめ終わるまでギルド内にいる他の魔族を探す事にする。
ざっと他の人を見渡すと、
「あの人は魔族かな?」
魔族らしき人は多くいたので、その内の一人に話かけてみる。
「あのー、すみませんが少しお話を聞かせてもらってもいいですか?」
優しそうな人に話しかけてみる。
「ああいいよ、何について聞きたいんだい?」
「ここの冒険者ギルドって色んな人が登録してますけど、魔族が登録するのはおかしくないんですか?」
「そうだね、魔族も受け入れてくれるのは珍しいよ。 他じゃあ門前払いで、どこ行っても嫌われものだからねぇ...」
「そうですか...あなたはどこから来たんですか?」
「んー? 北のヴェレス地方だけど、君も同じじゃないの?」
「え?」
「魔族はヴェレス地方にしかいないよ?」
「あ、ああそうです俺もヴェレス地方です」
そうなのか、魔族はヴェレス地方というところにしかいないのか。
「お話を聞かせてもらい、ありがとうございました」
「いえいえ、どういたしまして」
得られたのは、魔族というのはどこの世界でも嫌われてる事ぐらいだった。
「新屋さーん! 新屋さんいませんか?」
受付の人に呼ばれて、俺はカウンターへ戻る。
「終わりましたか?」
「ええ、一応確かめ終わりました」
「そうですか、それじゃあ...」
「はい、ウソだらけでした」
「...へ?」
いきなりそう言われ、固まる俺。
「ステータスの項目が全てウソという判定が出ました。 したがって、こちらであなたの本当のステータスを確かめさせてもらいます。...よろしいですね?」
「は、はい...」
ウソ? 俺は森で見た時のステータスをそのまま書いたんだけど...。
受付の人に連れられ、ギルドの横の建物に入る。
「あのー、ここは?」
「ここはステータスを可視化させるための施設で、主に冒険者が今の自分の強さ等を計るためのところです」
多くの機械が並び、その機械の周辺で人が集まっている。
便利なところだなぁ、と思いながら機械の内の一つへ進む。
機械の前には水晶が置いてあった。
「この水晶に手をかざしてください」
言われた通りにかざす。
すると、ピーーっという音が鳴った。
「測定終了ですね、手を戻してもいいですよ」
手を戻すと、水晶の後ろにある機械から紙が出てくる。
受付の人が紙を取った。
「どんな感じですか?」
俺はそう問いかける、しかし返事が返ってこない。
受付の人の顔色を伺うと、何故か真っ青だった。
「俺にも見せてくださいよ」
俺は紙を取り、書いている事を読む。
新屋 健人
種族:魔族/人間
レベル.........
...15億3千万
「......はい?」
そこに書いてあったのは、想像を絶するほどのレベルだった...。
読んで頂き、ありがとうございます。