リフレイトで!
・・・誰かの声がする。
でも、誰かは分からない。
懐かしいような...忘れてはいけないような気がする。
...誰だっけ.......?
「・・・ん」
俺は目を覚ました。
「んー? あれ? 何でこんなとこで寝てたんだ?」
何故かうつ伏せで寝ていた。
「いや違う...俺は確か首を切り落とされて...ってあれ? 生きてる?」
首元を確かめる。...付いてる。
「え? あれぇ!?」
思わず驚きが口に出る。
「助かったのか? ...いや、まだ近くにいるかもしれないな...逃げるか」
そう思い、身体を起こして逃げようとする...が、
「おい、やっと目ぇ覚ましたかよ」
「!? 誰だ!」
後ろから話し掛けられる。
すぐさま振り返ると、そこには奴がいた。
「うわぁぁぁぁ!!」
走って逃げようとするが、
「あ、あれ? 動かない...!」
足が動かなかった。
見ると、足のアキレス腱辺りが切られているようで、血が溢れていた。
「うぉぉぉ!? あ、足が! 足が!」
「うるさいんだよ、黙れよ」
「お、お前がやったのか!?」
「俺以外に誰がやるんだよ」
「お前は誰なんだ!? 何でこんなことをするんだ!?」
「ん? 俺? 俺は神だよ。 そんでもってお前を殺したのは暇だったからだな」
「・・・」
こいつは何を言ってるのだろうか?
「いやいや、何言ってるのか分からないんだが」
「だから、神なんだって」
「はぁ? 神なんているわけないだろ?」
「じゃあ面倒だから証拠を見せてやるよ」
そう言って手に持っていた刀で、俺を斬りつけた。
「う...あ?」
血が吹き出る。
俺は袈裟斬りされ、真っ二つになった。
「...は?」
目の前の景色が歪み、意識を失った...。
「...うわぁぁぁぁぁぁああ!!...あれ?」
意識を取り戻し、身体を見る...が、
「なんともなってない...だと?」
「信用したか?...はぁ、面倒くさかったな」
奴は溜息を吐く。
「お前...俺をどうする気なんだ!?」
「君には俺の暇つぶしの相手になってもらう」
「嫌だよ、俺は忙しいんだよ」
「何に忙しいんだ?」
「そりぁ勉強とか色々だよ」
「寝てたじゃないか」
うっ! 痛いところを突かれる。
「そもそもここは何処なんだよ! 早く元の場所に返せよ!」
「却下だ。...言っただろう、君には俺の暇つぶしの相手をさせると。そして君に拒否権はない」
「ふざけんな! 人権を尊重しろ!」
「俺は神だぞ? そんなものはないに等しい」
クソッ! 何を言っても無駄のようだ。
「...いいか、君には今から異世界に行ってもらう。 そして強くなってもらうからな」
「...異世界だと?」
馬鹿馬鹿しいな、異世界なんてあるわけないだろう。
「はん! 行って強くなってどうすんだよ」
「強くなって俺と戦ってもらう」
「はぁ? 何でお前と戦わないといけないんだよ」
「だから暇なんだよ、ただの暇つぶしだ」
「俺は元の場所に帰りたいんだが」
「俺を殺せたらな」
「クソッ! 埒が明かねぇ。 いいぜ分かった...殺してやるよ。」
「そうか、じゃあどの異世界がいいか選ばせてやるよ...3つの中から選べ」
そう言って、俺に紙を手渡してくる。
受け取って、内容を確認する。
候補1:アディルラ
・・・魔法が盛んで、魔力が全ての世界。
魔力無き者は生きていけない。
候補2:リフレイト
・・・比較的穏やかな土地が多い世界。
魔王がいるが、倒せばなお平和になるだろう。
候補3:レストリア
・・・かなりヤバイ世界。
始まりの草原のモンスターのレベルでも5000越えの死にたい人が行くところ。
「リフレイトで」
即決だった。
だって、アディルラは魔力に自信ないから無理だし、レストリアに至っては絶対即死だろ。
「なるほど...レストリアか」
「ハァ!? 俺の発言聞いてたかコラァ!」
レストリアは絶対無理だ!
「その勇気に敬意を称して、1つだけスキルを上げよう」
「いやいやいやいやいや! リフレイト! リフレイトでいいから!」
「そろそろ出発だな...」
「ちょ、おい! しみじみしてんじゃねぇ! リフレイトだって!」
「言い忘れていたが、3年後に迎えに行くからな...それまではお前の手の内を知れぬように放置しとくから」
「もしかしてお前初めからレストリアに行かすつもりだったろ、おい」
「・・・」
「テメェ!」
俺は近づいて胸ぐらを掴もうとするが、何故か触ることが出来なかった。
「あぁ!? 何でだ!?」
「君に転生の魔法をかけたからな、もう何にも触れることは出来ないぞ」
クソッ...腹を括るしかないか。
「そういやテメェ、名前は?」
「テメェ...まぁいいか、俺の名はブラッドだ」
「ブラッド、絶対にこの手でぶっ殺す!」
「ふっ、生きていればの話だがな」
絶対に生き延びてやるぜ...。
俺はそう決意した。
「じゃあ行ってこい」
「絶対に生き延びてやんよぉー!!」
そう叫ぶと、俺の視界は暗転して、意識を失った。
読んで頂き、ありがとうございます。
2017年、7月8日土曜日、文章を一部変更しました。