初めての魔法
「魔法は基本的に五属性あり、火、水、風、光、闇が基本属性です」
「ほうほう」
「火は水に弱いですが、風には強い、風は水に強く、光と闇はお互いに強いです」
「ふんふん」
「火は風と相性が良く、水は光と闇のどちらとも相性が良いですね」
「ほーほー」
「主に、火は攻撃重視、水は回復重視、風は攻撃と補助重視、光は補助と回復重視、闇は弱体化と妨害重視です」
「なるほど」
「あなたは光と闇に関するスキルを差し上げましたので、主にそれのスキルレベルを伸ばしていきましょう」
「分かった」
「まずは光と闇の基礎魔法からやりましょうか」
「・・・」
「ん? 新屋君、聞いてますか?」
「・・・」
「新屋君? 新屋君!」
「んあ!? な、何?」
「寝てましたね」
「前置きが長いんだよ! この文から上の説明に入るまで体感で3時間くらい経ってるよ!?」
「残念! 6時間です」
「長げぇことに変わりはねぇーよ!!」
「気をとりなおして、まずは光の基礎魔法からやりましょう」
「どんな魔法なんだ?」
「そうですね、『フラッシュ』辺りなら魔力的に余裕があるので、それからやりましょう」
「よっしゃ、分かった」
「はい、じゃあ詠唱文を教えますので、リピートしてください」
「オッケー」
「【光よ集え、聖なる光よ、フラッシュ】」
「【光よ集え、聖なる光よ、フラッシュ】」
すると、俺とメフィストの前に光の玉が現れた。
「おお! これが魔法か!」
現れた光の玉をつつこうとする。
「現れた光の玉に触ったらいけませんよ...あ」
「へ?」
俺の指が光の玉にささる。
ジュ!!
「アチィィィ!!」
「私の忠告を無視するからですよ」
「早く言えよ!」
指を見ると、焼けただれていた。
痛い。 スゲー痛い。
「さて、次の魔法へ進みましょうか」
「俺の指を見て何とも思わないのか!?」
「いや、何とも。 強いて言うなら、回復する魔力もったいなーくらいですね」
「酷でぇ! めちゃ酷いよ!」
「うるさいですね、自業自得でしょうが」
「せめて回復魔法を教えてくれ!」
「次は闇の魔法を教える予定だったんですが、まぁ良いでしょう」
「早く教えてくれ」
「はいはい、じゃあリピートしてください、【光よ集え、癒せ、ヒール】」
「【光よ集え、癒せ、ヒール】!」
すると、みるみるうちに治っていく!
なんてことはなかった。
「あれ?」
ボシュン! という間抜けな音がしただけだった。
「どうなってるんだ?」
「魔力切れです」
「マジかよ早すぎんだろ!」
お、俺の魔力は基礎魔法で枯渇すんのかよ!
「俺の魔力少なすぎないか!?」
「ええ、魔力値10です。 赤ちゃん並みです」
「はぁぁ!? マジでか!」
「はい、マジうんこです」
「うんこ言うな!」
さっきから指がジクジクしてめっちゃ痛い。
「まったく...ヒール」
メフィストが唱えると、今度こそはみるみるうちに指が治っていった。
「おおー! ありがとう!」
「礼を言う暇があったら魔力値増やして下さい」
「ううー、じゃあどうやったら増えるんだよ」
「枯渇するまで魔法を使うしか無いですね」
「魔力ねーよ」
「瞑想すれば魔力の回復スピードが上がります。 そこで座禅を組んで瞑想して下さい」
「ああ、分かったよ」
床に座り、座禅を組む。
「なぁ、メフィスト」
「座禅は黙ってやるものです、アホなんですか」
「すいません...」
それから3分後、魔力が全回復したとメフィストに教えてもらい、立ち上がる。
「なぁメフィスト」
「なんですか」
「楽に魔法を使う方法って無いの?」
「おーっと、クズの典型的なパターンですね」
「く、クズちゃうわ!」
「まったく...楽をして物事を達成出来るほど世の中甘くないですよ」
「うぅ、やっぱりか」
「じゃあ闇の基礎魔法に進みますね」
「おう」
「闇はさっきも言った通り、弱体化と妨害です。 今回は妨害系の魔法を教えます」
「分かった」
「では、リピートアフターミー、【闇よ蝕め、忍び寄る死者の手、バインド】」
「【闇よ蝕め、忍び寄る死者の手、バインド】」
唱えると、足元から凄い多くの手が出てきた。
ほとんど骨の手で、たまに肉がついてる手もあった。
「凄い出てきたんだけど」
「そうですね、闇の魔法に適性があるようです。 闇メインで教えるとしましょう」
闇に適性があるのか、なんか格好いいな。
厨二心がくすぐられた。
「じゃあ瞑想するわ」
「する必要はありません。 さっきのバインドの魔力消費は1ですから」
「コストパフォーマンスいいね!」
「適性があるので、消費魔力が2分の1になったからですね」
「なるほど」
「基礎から中級に上がっても闇は大丈夫そうですね」
「基礎から中級ってどれくらい違うんだ?」
「魚類が鳥類になるくらいです」
「そいつはヤベーな!!」
生物の壁を越えてやがるぜ!!
「その代わり、消費魔力はかなり上がります」
「10で足りるのか」
「...多分大丈夫!」
「その間は何なんだ!」
「はいはい、うるさいですよ」
「あしらい方が雑すぎる!」
メフィストは俺を無視して説明を始めた。
「リピートしてください、【闇よ蝕め、降りそそげ、ポイズンレイン】」
「【闇よ蝕め、降りそそげ、ポイズンレイン】」
すると、俺を中心にして、上空に黒い雲が現れる。
どんどん黒い雲が広がっていく。
そして、俺の手の甲に水滴が落ちてきた。
「ん?」
そして、シュー! と音を立てて俺の手が溶け始める。
「ギヤァァァァァァ!!」
溶けてる! めっちゃ溶けてる!
痛い痛い痛い! 本日二度目だよ!
「おいおいメフィスト! 自爆魔法じゃねーか!」
「え?」
メフィストは平然としている。
...よく見ると、体が薄くて白い膜で覆われていた。
「その白い膜は何だよ?」
痛いのをこらえ...ってうわぁぁ! めっちゃ降ってきた!
「ああ、ホワイトウォールですよ、毒を5分間無効にするやつです」
「先に俺にも教えておけよぉぉぉ!!」
痛い痛い痛い痛い痛い!!
シューシュージュージューいってるよ!
痛みに苦しみ、悶えていると、遠くからギャァァという叫び声がする。
見ると、エルが迫り来る雲からダッシュで逃げ惑っていた。
しかし、雲の広がるスピードがどんどん増して、エルに追いつく。
そして、エルはポイズンレインをくらった。
「あぁぁぁぁぁ!!!」
「エルぅぅぅぅぅ!! あぁぁぁ痛い痛い痛い!!」
痛みに苦しむ俺とエルの叫び声が、異空間の中で響き渡った。
読んで頂き、ありがとうございました。