ハンバーグ
大部屋に着くと、メフィストが部屋の向かいにあるドアから出てくる。
「おいメフィスト、いったい何が起きてるんだ?」
「『追跡者』が来ました、逃げますよ!」
「はぁ? 追跡者?」
「とにかく早く逃げましょう!」
俺よりかなり強いメフィストが焦ってるってことは相当ヤバイのか?
そう考えていると、さっき通ってきた廊下の奥からズーーンという鈍い音がした。
そして、なにやらウニョウニョしていて、人間に近い姿をしている赤黒いグチャグチャの肉片がズルズルと這いずってこちらへ向かっていた。
「オエェェェ! 気持ち悪い!!」
「まずいですね...ついてきてください!」
「あ、ああ!」
メフィストの後を追い、ダンジョンの出口まで走った。
ダンジョンを出てすぐの場所に、エルが待っていた。
「何をしているのですかエル! 早く逃げろと言いましたが!」
「だって心配やったから...」
「まぁ無事で何よりです、ここから離れますよ!」
俺達3人は、暗い夜の中、ダンジョンから大急ぎで離れて逃げた。
かなり遠くまでくると、辺りの風景は草原地帯へと変わっていた。
「取り敢えず、ここまで来れば大丈夫でしょう、ここらで少し休みましょうか」
俺達は、エルのペンダントを使い、異空間の中で休憩する。
「なぁメフィスト、さっき言っていた『追跡者』ってのは何なんだ?」
先程から気になっていた事を質問する。
「『追跡者』...どこに逃げても私達を見つけて殺そうとしてくる忌々しい奴ですよ」
「倒せないのか?」
「何度か、遭遇したときに殺しましたが、何故か生き返ってまた私達を探しにくるんですよ」
「止めをさし忘れたとかは?」
「一度グチャグチャにして一日観察したのですが、二日目の朝、いきなり肉片がウニョウニョ動き出して再生したんですよ」
「マジかよ! キモ!」
グチャグチャになっても生き返るとか...、俺の知る限りではプラナリアかセ〇くらいだぞ。
「さて、話題を変えて、そろそろ夜ご飯でも食べますか」
「話題変えすぎだろ! グロい話の後に食えるか!」
「なーなー、お腹減ったわー、はよつくってーなーメフィストー」
「ほら、エルもこう言ってますしね」
「マジかよ...」
「今日の夜ご飯なんやメフィスト!」
「そうですね、今日はハンバーグにしましょうか」
「食えるかボケェ!!」
俺はメフィストに盛大なツッコミを入れた。
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