メフィスト戦 1
先ほどトイレで会ったおっさんだった。
さっき会ったときと違う点は、ローブのような服を着ている事だった。
「え? このおっさんが一番強い悪魔なのか?」
まさかさっきのおっさんが来ると思わず、動揺してロリババアに聞く。
「おっさんちゃうわ! 舐めてたら痛い目あうでぇ~」
自信たっぷりに、ロリババアは言った。
「じゃあメフィスト、さっきも言ったけど、このにいちゃんと戦ってくれへんか?」
「ええ、いいですよ。 どこでやり合えばよろしいですか?」
「じゃあ異空間を作るから、そこでやって」
「承知しました」
ロリババアが、ペンダントを取り出して何やら力を込める。
...すると、大きな音をたてて、目の前の空間が裂けた。
「な、なんじゃこりゃ!」
いきなりの出来事に驚く。
「これは一体何が起こったんだ?」
「ウチのペンダントの力で、空間を裂いて、その向こうに異空間を作ったんや」
「え? えぇ?」
説明を聞いてもうまく飲み込めない。
「いったら分かるわ、じゃあ二人とも行ってらっしゃい! ウチのはここで見てるからな」
ロリババアがそう言いながら、俺とおっさんの背中を押して、異空間の中へと押し込んだ。
「では、改めて自己紹介を。 私の名はメフィスト、メフィスト・エイル・ストライフです」
「ああ、俺は新谷健人だ」
お互いに自己紹介し合う。
「では、エルからあなたの力を試すようにと言われていますが...ルールはどうしましょうか?」
エル...恐らくロリババアの事だろう。
そんなことよりもルールだ、ルールは大事だな。 まぁ俺が死ななかったらなんでも良いのだが...。
「じゃあ、殺すのは無しでギブアップって言わせたら勝ちってことで良いよ」
「そうですか、ちなみに本気でいきますね」
メフィストの言う本気がどの程度かは分からないが、今の俺の敵では無いと思う。 いや、無い!
「では、いつでもどうぞ?」
そう言われた瞬間、俺は剣をメフィストに向け、抜き放つ。
...が、
「どうしました? かかってきてください」
「へ? あれ?」
メフィストは無傷だった。
「もう一度だ!」
もう一度、剣を抜き放つが、やはり無傷だった。
「どうなってるんだ...?」
剣を確認するが、特に何ともない。
「はぁ、じゃあこちらから行きますね」
俺は即座にメフィストの方を向く。
メフィストは、いつの間に取り出したのか、手に銃を持っていた。
しかも二丁だった。
「ええ!? いつの間に!?」
「たった今ですが、何か?」
メフィストはそう言いながら、両手に持った銃を俺に向けて撃ってきた。
「うおぉ! あぶねぇ!」
すかさず『殺陣』を発動させ、次々に飛んでくる銃弾を切り刻んだ。
「ほう...面白い事をしますね」
銃撃が止み、メフィストが興味深そうに言う。
「死ぬかと思った...」
「ハハハ! まだまだこれからですよ」
笑いながら俺の方へと距離を詰めてくる。
てか距離を詰めんの速ええ!
メフィストがまた、いつの間にか銃と持ち換えていた剣を、俺に振り下ろす。
俺も、剣で受け止めようと剣を交えたそのとき、
ドガァァン! ガギギキギギィィィン!!
凄まじい衝撃が、俺の手から剣を弾き飛ばす。
即座にバックステップで距離をとる。
「な、何をしたんだ!!」
俺はそう叫ぶと、メフィストは、
「何をしたと言われましても...これを使っただけですが」
メフィストが、手に持っている剣を見せる。
それは剣では無かった。
「ガンブレードじゃねぇか!!」
「良くご存じですね」
ご存じもなにも、俺も結構好きなやつだからな。
「てか、なんでそんなん持ってんの!?」
「知り合いに貰ったんですよ」
どんな知り合いなんだよ!
そんなん持ってんのス〇ールくらいだよ!
「さて、剣が無くなりましたが、どうしますか?」
大ピンチだ。 ぶっちゃけ抜刀で倒せないんだったら倒しようがない。
だが、
「大丈夫だ! 体術がある」
あの1ヶ月で俺は体術のスキルも得ている。
何とか...ならないかなぁ?
なんとかなるのを願うばかりだ。
スキル『納刀格闘術』
・・・無手無刀、または納刀状態の剣を用いて戦うためのスキル。
スキル『異常成長』の影響で、格闘術と、片手剣のスキルが融合した結果、生まれたスキル。
術技
〇速突・・・高速で間合いを詰めて、柄頭で突く。 この攻撃で相手がノックバックすると、追撃。
〇足払い・・・敵の足を払い、転ばせる。
〇羽交い締め・・・相手を拘束する。
スキルの対象の種族が人間の場合、成功率100%。
それ以外は50%。
......等々
読んで頂き、ありがとうございました。