000 プロローグ
近未来、地球はますます繁栄し様々なテクノロジーが生み出され人類は快適な生活を送るはずだった。
誰もがそう信じていた。
しかしある日を境に地球は限界を迎え、環境が一変した。
今までさんざん地下にため込んできた一般ごみや産業廃棄物が誰にも気づかれることなく新たな物質となり地表に噴出したのである。
まるで地球という惑星の人類に対する怒りを表しているかのようなそのまがまがしい物質は次々と地表に溢れ植物を変異させ、それを食べる動物をも変異させた。
変異した植物や動物たちは凶暴になり巨大化し人々を襲い、少しづつ人類の生活範囲を浸食していった。
人類がそれに抵抗しないわけはなかったが、それは逆効果であったと言わざるを得ない。
その理由は新たに生成されたその物質は動植物たちに異変をもたらすだけでなく、金属、プラスチック、コンクリート、ガラスなどといった従来の物質を飲み込み吸収し、変換させてしまう性質があったからだ。
そのことを悟った人類がとった行動は早いものだった。
宇宙に出るのがこの際は最適解かもしれないが、それぞれの国家にそうする技術はまだなかった。
故に新物質がその重さにより空気中において地表付近にとどまり続けることしかできないことを知った科学者たちが、宇宙へ出る技術はないが空に逃げるだけなら可能だと判断し大きな大地を切り離し、飛行するのに必要なすべての機能と様々な無事であった動植物を載せた飛行島を制作。
逃げのびた人類を乗せ、12個の大きな島が空に飛び立った。
かくして、人類は絶滅の危機を逃れることができたのであるが島が飛び立ち60年たったある日、まだまだ不安定がちだった食料や水不足の問題とともに、新たな問題が発生した。
新たに生まれた子供たちの原因不明の超能力の発現である。
今現在の科学では証明のできない生身の人類が行使できるようになった様々な科学現象。
何もないところから火や水を出したり、電気や風を操ったりその種類は実に多様であった。
そして人類に超能力が発現し始めてから200年後、超能力のある生活にすっかりなじみ始めてしまった人類に新たな一員が誕生、加わろうとしていた。
人類史上初の空間を操る能力を持った子どもの誕生である。