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宇宙人の提案

作者: 東堂柳
掲載日:2014/09/23

「星が見えてきたぞ」


 その声を聞いて、宇宙船の窓から外を覗くと、暗闇の中から青い星が近づいてきているのが見えた。


「文明のある星なのか?」


 俺が誰にともなく尋ねると、


「待ってくれ。今、データベースにアクセスしてる。……あった。太陽系の第三惑星、地球。文明はあるようだが、まだあまり発達はしてないみたいだ。人口は約七十億。かなり多いですね」


 液晶パネルに表示された文字を船員が読み上げる。


「この星ならいいだろう」


 船長が頷いた。続いて通信士に指示する。


「この星の言語を解析して、コンタクトをとれ」


 通信士は相槌を打つと、通信機に向き直った。

 先程まで静寂に包まれていた船内が、徐々に慌ただしくなり始めた。


「アメリカ政府が、通信に応じました」


 別の通信士が報告する。

 他の船員の話を聞くと、アメリカというのは地球で1、2を争う大国らしい。

 船長は再び冷静に指示を下す。


「着陸許可を要請しろ。他の船員は、着陸に備えるんだ」


 船員たちが、慌てて動き始める。


「着陸許可取れました」


「よし、着陸しろ」


 操縦士に速やかに指示をする船長。流石はベテランだ。


「パニックを防ぐため、人目のつかないところに着陸してほしいようです」


「望遠カメラで人気の無さそうなところを探せ」


「ありました。着陸体制に入ります」



 そんなこんなでようやく着陸することができた。地面を踏むのはかなり久しぶりのことで、遥か彼方の自分の星を思い出し、懐かしんだ。

 宇宙船の周りには既に、数人の地球人たちが並んで出迎えていた。身体は俺たちよりも少し小さい。頭は更に小さいので、あまり知的には見えなかった。おまけに手足が4本しかない。生活が不便ではないのだろうか。


「地球へようこそ。私はアメリカ空軍のリック=オルソン大佐です」


「初めまして、オルソン大佐」


 先程解析したこの国の言語――地球では英語と言うらしい――を船長が流暢に喋りながら、手を伸ばすと、大佐は驚きながらも笑顔で握手に応じた。


「私たちは、あなた方に技術を教えに来たのです」


 大佐は船長が言った言葉を訝しんでいる様子で尋ねた。


「それだけのためにわざわざ?」


「無論、タダでとはいきません。幸い、この星には、私たちの欲する資源が多くあるようです。そこで、ここを私たちの宇宙船の燃料補給地とさせていただきたいのです」


「なるほど、そういうことですか」


「ええ、悪い話だとは思いませんが」


「……私一人では答えかねます。少々相談させてください」


「どうぞ」


 大佐はその場を離れた。他の地球人たちは、相変わらず奇異の目でこちらを見ている。


「お待たせしました」


 大佐はすぐに戻ってきた。


「それで?」


「アメリカ合衆国はあなた方の提案を快諾します」


「おお、どうもありがとう」


 こうして俺たちは、地球人に様々な科学技術を教えていった。

 そして、燃料補給も終えて、5日後に地球を離れた。


「どうにかうまく行きそうですね」


 俺は窓から地球を眺めている船長に話しかけた。


「ああ、計画も一歩前進だ」


「文明が発達すれば、さらに人口も増えていきます。私たちの食糧問題もようやく解決しそうですね」


「こんな提案、呑んでくれるか心配だったが、どうやら我々の真意には気付かなかったみたいだな」


「彼らがそれを見抜けるほど、キレる存在には見えませんでしたし」


「確かに」


 船長は笑った。再び外を見ると、地球の姿は既に見えなくなっていた。



 それから、50年の月日が流れた。食糧問題は限界まで悪化し、世界中が飢餓で苦しんでいた。だが、それももうすぐ終わる。

 俺たちは再び地球へと向かった。豊富に育った食糧を収穫するために。

 意気揚々と地球に降り立った俺たちだったが、そのあまりの変貌に愕然となった。

 地球人は俺たちが教えた知識を戦争のために使い、絶滅していたのだった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 宇宙人も地球人の本質を見抜けなかったのですね。この宇宙人には同じ星の者同士が戦うという概念がないのでしょうか。 文章がすっきりしていて読みやすい反面、若干説明不足でオチのインパクトが弱まって…
[一言] 面白かった。 もうちょっと説明、どんな技術を教えたのか、宇宙人はそれで繁栄すると思ったが・・・となったほうが面白いと思いましたが、満点をつけさせていただきました。
2014/09/24 00:55 退会済み
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