First-class flag registered architect
蒼は窓辺を見ていた。
雲がまばらに広がるいつもの空だ。そして喧しい街。都会とはいえ、世界的にもこんな街はないだろう。
明日から夏休み、とっとと遊びたいからもう課題の7割は終わらせた。後はこの忌まわしき読書感想文だ。
どうしても文が続かない。理系に文章を書く能力を求める方が悪い。
「なぁ、知ってるか?」
陽が話しかけてきた。
「また、勉強してんのか、優等生は違うな!」
「うるさい、一体何の用だ」
「都市伝説だよ!都市伝説」
「何の」
「何か出場者同士で対決する闇のゲームがあるらしい」
「ふーん」
「何だよー、折角教えてやったのにー」
「いや、現実味に欠けるなーって。というかさっさと支度して帰るぞ」
「ちょ………」
いつもの帰り道、変わったところなんて一つも無い。強いて言えば…と思っても何も無い。
それくらい、何者かによって"いつもの"が誇張されたかのような日。
「なぁ、陽。なんか…………」
「?」
「いや、なんでもない……」
その後は、たわいない話で盛り上がりながら、帰り道を歩いた。しかし、蒼は何か見えざる者が微かに忍び寄る気配を確かに感じとった。
その予感は案の定、やって来た。しかも悪い形で。蒼たちの後をつく人の影を発見した。
「なんか後をつけて来てるしやばそう」
「最近、不審者情報があるって誰か言ってた」
「わき道で迂回しつつ捲くか」
「オッケー」
本当はこんな道なんぞ未知の領域だ。しかし、他に方法は無い。
蒼はそれなりに走った。日頃の運動不足が祟って足にかかった。振り返らず、いや、振り返ることさえ忘れ、ただただ走った。陽は「お先に」と言って遥か遠くへ行ってしまった。流石脳筋。
何分くらい走っただろうか。
肺が酸素を求めてやまない。
乳酸が溜まりまくっている。
後をつけていた者はいない。
あの影は何者なのだろうか。




