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揺れる眸  作者: 佐倉硯
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甘いデザートの行方

二度と驚くものか。

そう心に誓っても案の定、それは見事に敗れ去る。

エレベーターを降りた最上階は、ホテルのような長い絨毯の廊下が奥へと延び、その中央に位置する場所に、ポツリとひとりぼっちのドアがある。

表札のないそのドアを十五は開けると、蝶子に先に入るように促した。

相変わらず、平気でレディファーストの対応を取る十五の行動にはいささか慣れてきたが、蝶子は部屋におずおずと足を踏み入れて、まず玄関の広さに驚いた。

灰色という表現では汚くなってしまうが、それに似つかわしい色をした大理石張りの玄関がそこにある。

白い大きな扉の玄関収納がその口を閉ざしたまま蝶子を迎えた。


「蝶子さん?」


立ち止まってしまった蝶子に十五は心配そうに問いかける。

ここまで来て帰ると言われるのではないかと心配したからだ。


けれど蝶子は十五にゆっくり振り返り、笑顔を向けた。


「広い玄関なので驚きました」


素直に自分の心内を話せば、十五の表情に安堵の色が浮かび上がる。

蝶子は「お邪魔します」と萎縮した小さな声でつぶやき、靴をそろえて部屋にあがった。


対面キッチンが蝶子の視界に入った。

綺麗なシステムキッチンはほとんど使われている形跡はない。

それから広々としたリビングは木目調の美しいフローリングの床が明るく、もう少し先に視線を向ければ、壁一面がベランダへ出るはきだしの窓ガラスが並んでいた。


中央には黒塗りになったシックな低めのテーブルがあり、それを囲むように淡いベージュのソファが並んでいる。

テーブルの上には開きっぱなしのノートパソコンと無造作に散らかっている紙、少しだけ中身の残っているグラス、横に空ビール瓶が乗っていた。


ソファには人が起きた形のままで柔らかいブラケットが置いてある。

あまり物のない、広々とした空間の中、そこだけが生活感のある雰囲気を醸し出していた。


「あ、す……すいません。今片付けます」


蝶子の背後から、十五は恥ずかしかったのか手に持っていた荷物をその場に置いて慌てて片し始める。

十五の日常を垣間見た蝶子は、クスッと微笑んで、紙をまとめる十五に言った。


「食品、冷蔵庫に片付けさせてもらってもいいですか?」


「ええ、お願いします」


十五が少しだけ振り返りそう言ったのを確認すると、蝶子は小さくうなづいて、まずは自分の手に持っていた食品を片付けることにした。


家事全般をそつなくこなす蝶子にとって、システムキッチンは憧れだった。

当たりをきょろきょろ見渡しながら奥に潜む大きめの冷蔵庫を見つけ、荷物を床に置いてその扉を開いて愕然とした。

そこは全くと言っていいほど何も入っていなかったのだ。


ドアポケットには英語のラベルが貼られたお酒類ばかりで、中を覗いてもおつまみのチーズやスモークサーモン程度しか入っていない。

それを興味本位で一つ手に取れば、重く丸びたチーズの固まりだった。


「モッツァレラチーズだ……」


しかもラベルは外国語で蝶子には読めない。

以前、母が仕事のお土産として買ってきてくれたことがあった。

手のひらサイズの小さなものではあったが、それを使ってピザを作った時には、作り主の蝶子でさえ舌鼓を打ったほどだ。

たいした大きさでもなかったのに、かなり高額だったと母は嘆いていたのを思い出す。

そうすればこれほどの大きなものになれば……。


そこまで考えて蝶子は首をゆるゆると振った。

そんなことを考えても意味はないと自分に言い聞かせながら、蝶子はそれをまた冷蔵庫の奥へとしまい込むと、買ってきた食品を片し始めた。


買ってきた食品はあっという間に空っぽだった冷蔵庫を満腹にさせた。

新しく買ってきた調理器具は流し台の下にある収納スペースに入れ、お菓子類は頭の上にある棚にしまい込む。

なんとか片づけを終えて、一仕事をした満足感から大きく息を吐いた。


「……先生?」


困ったように、意を決して十五を呼べば、十五は足を止めて料理中の蝶子の顔を覗き込んだ。


「なんでしょう?」


「その、後ろでうろちょろするのやめていただきたいです」


遠慮がちに蝶子がそう呟けば、十五は叱られてしまった自分の行為に反省し、しゅんとした表情を見せた。


食品をすべて片し、蝶子は意気揚々と料理に取りかかった。

頭の中で味付けと完成した料理の姿を思い浮かべながらの作業だが、いつもやっていることなので、蝶子は着々と手を動かしていた。

そこへ、十五がさっきテーブルの上に置かれていたグラスとビール瓶を持ってやってきた。


瓶はキッチンの端にある、それと同じように空になった瓶の群に仲間入りする。

グラスをさっと軽く濯ぎ、食洗機の中へと片付ければ十五はそこから動かずに、テキパキと作業する蝶子の手元をじっと見ていた。

蝶子は座って待っているよう促し、十五も一度はソファに腰をかけるも、すぐにまた戻ってきて蝶子の作業を後ろから覗き込んできた。

蝶子がキッチンを動く度に、十五もそれにつられるように後ろで動く。

さすがの蝶子も十五の行動に戸惑いを隠せず、痺れを切らせてそう言ったのだった。


暇を持て余しているらしい十五を振り返れば、十五は相変わらず困った顔を向ける。

そんな顔をされても蝶子だってどうすればいいかわからず、少しだけ考え込むと、「あっ」と思いついたように十五に言った。


「では手伝っていただけますか?」


蝶子の言葉に十五はぱっと表情を明るくさせ、こくこくとうなづいてみせる。

腕まくりし、流し台で手を洗っている十五に、蝶子は言った。


「先生、そこのボールに卵を入れておいたので割ってかき混ぜておいていただけますか?」


蝶子の言葉に、十五はコクリと素直にうなづき指定されたボールを手に取る。

蝶子はそれを横目で確認しながら自分の作業を進めた。


十五の手つきは意外にも良いものだった。

キッチンがまるで使われていないから料理ができないのかと蝶子は危惧していたが、言われたことをそつなくこなす十五の動きに舌を巻いた。


「先生、お料理できるんですね」


「ええ。昔、別の場所で暮らしていたときはよく作っていました。ここに移ってからは作るのが億劫で外食ばかりでしたから」


「ご実家ですか?」


「いえ違います」


「では以前はどこに?」


「それは……」


蝶子の言葉に、十五は初めて言葉を詰まらせた。

あさっての方向を向き、何か思い出したかのように眉をひそめる。

それから一人で首を横に振ると、酷く悲しそうな笑みを浮かべて蝶子に向き直った。


「まぁ、いいじゃありませんか。あ、蝶子さん、こちら炒めるんですか?僕がやっても?」


「はい、お願いします。あ、先にこちらのお肉を炒めてください」


「わかりました」


あからさまに話を逸らされ、蝶子は少し疑問に思ったが、先に先にと作業を進める十五に追いつこうと、考えることをやめた。



 ―*―



蝶子の変わりにキッチンに立つ十五を見つめながら、蝶子は十五が入れてくれた紅茶を一口飲んだ。

食事が終わり、片付けをしようと蝶子が立ち上がれば、十五はご飯を作ってくれたのだから片付けは自分がすると言ってくれたので、その厚意に甘えることにしたのだ。

蝶子が暇を持て余さぬよう、食後の紅茶を用意してくれた十五の気遣いに、蝶子は感謝しながら食事の時のことを思い出していた。


料理は一人分、十五の分だけを作った。

自分にはあのお店の女将がわざわざ詰めてくれた弁当があるということを計算に入れての料理だった。

残念ながら十五の家には炊飯器がなく、ご飯はなかったけれど、その分、おかずを多く作った。

自分では多く作ったつもりではあったが、十五はそれをペロリと平らげ、まだ物足りなそうな顔をしていたのには驚いたが。

十五が男性だということを考慮せず、自分の食べられる量だけを作ったのが唯一の誤算だ。


女将が詰めてくれた弁当は時間が経っても味落ちすることなくおいしかった。

あれをお店で食べられなかったことがどれだけ女将を傷つけただろうと、本当に申し訳なく思う。

空になったお弁当箱をいつ返しに行こうかと考えふけっていると、十五はタオルで手を拭きながら戻ってきた。


「初めてですよ。あの食洗機をフル稼働させるのは」


自分でも驚きを隠せないといった表情で十五が語り、立ったまま壁にかけてある時計を見た。


「九時か……そろそろ送って行かなければいけませんね」


残念そうに十五が言えば、蝶子も時計に視線を移して眉を潜める。

いつの間にそんな時間になってしまったのだろうかと思うと同時に、それほどまでに時間を忘れて十五と過ごしていた自分に驚いた。


最初こそ戸惑いばかりだったけれど、十五と過ごした時間は楽しいものだった。

放課後から今の時間まで、本当に沢山の出来事があったけれど、それが今でも夢なのではないかと思ってしまうくらい早く時は進んでいる。


蝶子は手に持っていたカップに視線を落とし、次に発せられる十五の言葉を待った。


「蝶子さん」


ふと、声をかけられ顔を上げると、十五はいつの間にか蝶子の目の前に胡坐をかいて座り、蝶子の顔を覗き込んでいた。

思っていたよりも至近距離にいた十五の姿に、蝶子は一瞬驚くも、すぐに頬を染めて首をかしげる。

そんな蝶子の行動を見ていた十五は、小さく微笑んで蝶子に言った。


「昨日から思っていたんですけど、蝶子さん、赤くなるのは僕としては大変喜ばしいことなんですが、どうして困った顔をされるんですか?」


それはもちろん困ってるからだ、とは口が裂けてもいえなかった。

返答に戸惑う蝶子の手から、まだ半分くらい紅茶の残るカップを取り上げ、テーブルの上に置く。

蝶子はそれを視線で追い、もう一度十五を見れば、十五はフワリと柔らかな笑みを浮かべて蝶子の頬に触れた。


「そういえば、デザートを食べませんでしたね。大きなパフェをご馳走すると言ったのにお約束が守れず申し訳ありません」


そう言って段々と近づいてくる十五の顔に、蝶子は表情を一気に赤らめていった。


十五の指先が触れる頬が酷く熱い。

まるで病にかかったのかと思わせるほど、蝶子の意識はクラクラとし始める。

バクバクと暴れだす心臓をとめたくなるほど恥ずかしく感じ、何かを予感させる十五の綺麗な笑みに、蝶子は直視することができなくなって、ギュッと目を閉じた。


すっ、と眼鏡を外されたかと思えば、唇に柔らかな感覚が生まれた。


それはほんの一瞬ではあったけれど、そこに体全体の神経が集中したように感じられる。


自分から離れていく暖かな空気を視界に入れようと、蝶子がうっすらと目を開いた。


ところがだ。


視界に入ってきた十五の表情は酷く切なげに悲しそうな表情を浮かべていたのだ。

まるで、犯してはならない境界線を越えた苦悩を見せ付けるかのように。


いや、まるで別のことを考えているかのように揺らいだ十五の眸を、蝶子はぼやける視界でしっかりと捕らえたのだった。


「すいません……ちょっと眼鏡を取った蝶子さんを見ていたら……別の人を思い出してしまって……」


素直に謝罪する十五の言葉に、蝶子の胸はズキンッと痛んだ。


蝶子にとってこれがファーストキスだった。


相手が十五であったことに嫌気はなく、むしろ嬉しいものがあったのに、十五は自分を見て別の人のことを考えていたというのだ。

正直に言ってくれるのは嬉しいことだが、何も今このタイミングで言わなくてもよかったのではないかと思った。

それと同時に、自分の眼鏡をかけていない姿を見て、どうしてそこまで切なげな表情を見せるのかが分からない。


もしかして、自分は自分に似ている、別の女性の変わりをさせられているのではないかと思った。


そう考えた瞬間、幸せだと思っていた気持ちがズンッと重くなる。


どうしてこの人はそんなことを言ってしまうのだろうと。


なぜ自分が今ここに居なければならないのだろうと。


今まで十五と過ごしてきた楽しい時間が、やはり夢だったのかと疑い始めた。


「すみません……ごめんなさい……」


十五も十五で自分の愚かな発言にただただ謝り続けた。

蝶子を抱きしめ、ガラス細工を扱うかのような優しい温もりに、蝶子は戸惑いを隠せない。

謝られれば謝られるほど自分が惨めに思えてくる。


夢でもいいと思った。


夢でも構わないからこの人の傍に居たいと思いはじめていた。


たとえ身代わりでも、たとえ叶わぬ恋でも、この温もりから離れることなどできない……と。


「私は……そんなに……その人に似ていますか?」


戸惑い交じりの蝶子の発言に、十五は抱きしめていた力を少しだけ強めて正直に答えた。


「ええ、とても似ています……」


「先生の……その人は……先生の恋人ですか?」


「何を言っているんです……僕の恋人はアナタしかいません……」


「でも……好いていらしたんでしょう?」


そうでなければ……。


そうでなければ自分を身代わりなどにはしないだろうと。


そう言葉が続くはずだった。

けれど蝶子はその言葉を飲み込まずには居られなくなった。

ゆっくりと顔をあげ、蝶子を見た十五の瞳は今まで見たこともないほど冷たく、怒りを含んだ瞳だったのだ。


「僕が……その人に恋情を抱いたことはありません……。むしろ……今でも殺したいほど憎い」


はっきりと、その憎しみを言葉に表した十五の姿はあまりにも恐ろしかった。

ブルッと体を震わせ怯える蝶子に気付くことなく、十五は視線を蝶子からフローリングの床に落として言った。


「ああ……本当に殺してやりたい……出来ることなら今すぐにでも……」


蝶子に触れる十五の体がブルブルと震えた。


それが怒りからくるものなのか、それとも別の感情から湧き上がる身震いなのかは蝶子には理解できない。

十五の低く静かに響く声に、蝶子はどうすることも出来なかった。


ではなぜ?


なぜ十五は自分を選んだのだろう。


次々に沸き起こる疑問に、蝶子は困惑した視線を十五に投げかけた。


十五が顔をあげれば、先ほどまで見せていた冷たい表情ではなく、いつも見せている穏やかな表情に戻っている。

それから静かに手に持っていた眼鏡を蝶子にかけなおし、それから静かに蝶子に告げた。


「僕は、アナタをその人の代わりにしようだとか、アナタに酷いことをしようとしているわけではありません。これだけは信じて欲しい」


そう言って十五は、静かに蝶子に語りだした。



 ―*―



一ヶ月前に開かれた高校の文化祭のことだった。

毎年文科系の部活動では作品展示の他、チャリティーオークションが開かれている。

生徒が作成した文化物をオークションにかけ、落札金は全て児童基金へと寄付される。

文化部で活動する生徒は、一人一作品、チャリティーオークション用の出品をしなければならず、それには写真部である蝶子も参加していた。


「蝶子さんの写真作品である[月光]を落札したのは僕です」


十五がそう告げれば、蝶子は驚きの表情を隠せないでいた。

蝶子自身、その出品した覚えはある。


暗闇の中、満月の月からスポットライトのように伸びる光が美しい虹色に輝いていた作品だ。


オークションがあった当日、蝶子は高熱を出して休んでしまい、後日、自分の作品が出品作の中で一番の高値で落札されたのを聞かされていたが、人は一番高値で落札されたことばかりを褒めたため、落札した人物の名前をしっかりと把握できなかったのだ。


十五はオークションが行われる前に、出品物の確認をする作業を担当していた。

そこで蝶子の作品を見て、今まで感じたことのない感覚に引きずり込まれていったと、十五は照れたように語った。


「僕は、君が見せてくれた世界に惹かれ、名前しか知らなかったアナタに恋をしました。教室でアナタに出会ったとき、それでこそ……その人に似ていることに驚いたけれど……名前を聞いて、ようやく運命の人に出会えたと……そう思ったのです」


そう言って、蝶子の手をぎゅっと握り締め、それに静かに唇を寄せる十五の行為に、蝶子はビクッと体を震わせた。


「僕はアナタを不幸にはしない。何があろうと、僕はアナタを絶対に守ります。だから……どうか僕の傍にいてください」


祈るように、願い乞うように、弱々しい十五の声が耳に残る。


微かに震える十五の唇が、その揺れる眸が、蝶子の心を大きく揺さぶった。


あれほどまでにたくましく見えた十五の姿が、どうしてここまで脆く見えてしまうのかが分からない。

この人は、きっと自分には計り知れない闇を抱えて生きている。

十五の垣間見せたその闇に、自分は何をしてあげればよいのかと考えた時、そう考えるということが、自分の気持ちをはっきりと理解させてくれる答えとなった。


「とう……ご……さん」


遠慮がちではあるが蝶子が初めて十五の名前を呼べば、十五は驚いた表情を見せて蝶子を食い入るように見つめる。

その視線があまりにもまっすぐで、蝶子はそれを見つめ続けることも、避けることもできずに、溢れそうになる涙を堪えて静かに言った。


「私は……最初、十五さんから告白された時……とても驚きました……。十五さんは先生でしたし……告白されたのも初めてだったので……その……すごく驚いて……」


どんな言葉を使えば自分の気持ちは伝わるだろうか。

戸惑うことしか出来ない蝶子だったが、十五はただひたすら蝶子の言葉を待つ。


「さ、最初は……断ろうと思ってて……でも……なかなかタイミングがつかめなくて……。わ、私……今の自分が凄く嫌でたまりません……。あれほど断ろうと心に決めてたのに……。今は……十五さんと離れたくないって思ってしまっている自分が居て……」


蝶子はそういうと、居たたまれない気持ちで胸がいっぱいになって。

言葉を続けることがどうしてもできなくなった。

胸からこみ上げてくる溢れ出すほどの想いが、耐えていた涙となってこぼれだしていく。

自分はこれほどまでに泣き虫だったかろうかと、また自分に嫌悪して、とうとう十五の顔を見ることができなくなり、俯けば、蝶子の体は引き寄せられて、十五の腕の中へと戻っていった。


「ああ……どうしよう蝶子さん……。僕も幸せすぎて泣けてきました」


決して泣く事はないだろうけれど、十五のその言葉に、蝶子は自分が救われた気がした。

好きだと伝えるには日は浅すぎて、愛していると伝えるには重過ぎる。

けれどそれと同じ想いが蝶子の胸の中に風船のように膨らんでいる。


自分を誰よりも大切に想ってくれている。


たとえ自分が誰に似ていようと、彼は自分を愛してくれている。


言葉にはならなくても、その気持ちは触れ合う全てから蝶子へと流れ込んでくる。


信じてみよう。


たとえ傷つくことになってしまっても。


たとえそれが嘘だったとしても。


彼を好きだと思った自分の気持ちを信じてみようと。


絡み合う視線の中、二人はもう一度自然と唇を重ねた。


それは甘い、甘い、デザートのように。


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