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障害者一家  作者: 船五郎
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竹原君の勇姿

 香が作業所に行きだして一週間が経った。

 既に作業にも馴れ、香は周りの利用者ともよく喋るようになりだした。ただ男性利用者とは、まだまだ溝は深かった。

 その男性利用者のなかでも、一人だけ自分を遠くから眺めているような子がいた。竹原君だ。

 なにか話しかける機会を狙っているような、そんな雰囲気だった。


 ある日、香が給食を食べ終わったあと、食器を下げようとして、トレイを持って調理場に向かおうとした。ところが香は誤ってトレイを床に落としてしまった。茶碗がパリーンと音を出して割れてしまった。職員が着て「大丈夫?」と聞いた。香は「すみません」と何度も謝った。そうすると竹原君が颯爽として現れ「俺が破片を拾ってやる」と言った。女性職員は「あなたはもういいからここは私たちに任せといて」と言った。しかし竹原君は「いや、俺が片付ける」と言って譲らなかった。

 香は「ごめんね」と呟いた。

 竹原君はどこからか新聞紙を持ってきて丁寧に茶碗の破片を拾い集めて新聞紙の上に置いた。やがて新聞紙を折り畳み、綺麗に処理をした。

 香は「ありがとう」と心を込めて言った。

 「いや、なにこれくらいは朝飯前だ」とニコッと笑ってその場を去った。

 香りは竹原君はかっこいいと思った。


 帰り際に竹原君がボソッと話しかけて来た。

 「家、ここから遠いのか?」

 「ううん、バスで10分くらいよ」

 「そうか、気を付けて帰るんだぞ」

 「ありがとう」

 

 家に帰ったあと、香はベッドで横になり、竹原君の事を考えた。

 今日の竹原君はカッコよかった。なにかと頼れる存在だ。あの人は自分に気があるのだろうか?でも、彼氏にするのはどうかな?あの子はいろいろお喋りで、私の秘密とかを誰かに話してしまいそう…

 こんな事を考えながら、香はいつしか眠ってしまった。

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