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障害者一家  作者: 船五郎
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作業所での出来事

 香りは作業所に来た早々、人間関係が心配だった。結構アットホームな作業所とは聞いていたが、最初のうちは、誰とも話さなかった。徐々に雰囲気に馴れるにつれてまず女性陣が話しかけてくるようになった。

 男性陣は遠慮しているのか、なかなか話しかけてこなかった。

 香りは、最初のうちは午前中までだったので、午前中の作業がひと段落し、帰る準備を始めていた。すると「もう帰るのか?」と若い男性利用者が話しかけて来た。

 歳は自分と同じくらい、頭は坊主頭で、中肉中背。顔は丸く、全体的に見て丸みを帯びているような感じだった。よく作業所にいる問題児のような存在だった。

 「そうよ、最初の一週間くらいは昼まで。まだ体力が追い付かないから」

 「そりゃまた寂しいな、仕事慣れてきたら、いいな」それだけ言い残して、彼は去っていった。

 香りは、「お疲れ様です」とみんなに言い、帰宅の途についた。

 

 家に戻ると、香は今日話しかけて来た男の子の事を反芻した。あの人は私に気があるんだろうか?全体的な雰囲気は知的障碍者のようだが、ムードメーカーのような気質があり、明るくてよく喋り、周りの雰囲気を和やかにしているような感じだった。竹原君といったっけ?あの人と仲良くなれば作業所での人間関係もうまくいくかもしれない。あまりカッコいい感じではなかったが、自分に気あるのなら、デートくらいはしてもいいと思った。


 夕食時、隆一が「香、作業所はどんな感じだ?」と聞いた。

 「うまくいっているわよ、まだまだ昼までだけど、作業も簡単だし、またあたし、結構モテるんだよ!」

 「ウソをつけ、おまえみたいなブタ女がモテるわけないだろ!」

 「パパにはわからないのよ、あたしの魅力」

 そんな親子の会話を交わしながら、香は明日に備えて、作業所への意欲を燃やすのだった。

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