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別れ

 次の瞬間、シエラの胸から血飛沫が舞い、シエラはそのまま崩れ落ちた。


「シ、シエラ!!」


 一瞬遅れて必死の形相でジョシュアが駆け寄る。


「シエラ!! 大丈夫か? なんで……なんでこんな事に……」


 倒れたシエラを抱き起こし、次々と溢れてくる涙を拭おうともせずにジョシュアは必死に呼び掛けていた。


 その時ジョシュアの耳に着けていたインカムに通信が入った。


『こちら警備隊のアコード軍曹です。少尉、大丈夫ですか?』


「警備隊? なんでこんな所に警備隊が? 撃ったのは貴様か!?」


 ジョシュアはインカムを押さえつつ、焦りながらも怒りを露にし叫んでいた。


『いや、しかし偶然我々が発見した時には少尉に対して銃口が向いてましたので一刻を争うと思い……』


「救護班だ!! とりあえず至急救護班を寄こしてくれ!!」


 助けたはずのジョシュアから叱責に近い問い掛けを受け、アコード軍曹が慌てて弁明しようとしたが、ジョシュアはそれを遮り救護班を要請した。

 ジョシュアの様子から急を要すると判断したアコード軍曹は最短のヘリでの救護を要請する。


「……ジョシュア……駄目よ、貴方の仲間は悪くない……私は、こうなる事は覚悟してたんだから」


 そう言いながら虚ろな目をしてシエラは微笑む。しかし息は絶え絶え、誰の目からも一刻の猶予も無いのは明らかだった。


「シエラ!! 駄目だ! 俺が必ず助けるから! だから死ぬな!!」


「ありがとうジョシュア……貴方のおかげで最後に人間らしく過ごせた……ありがとう、本当に貴方と過ごせた間は楽しかった……ごめんね、最後に辛い思いさせちゃって……」


 そう言って涙を流しながら微笑むシエラが虚脱していくのを感じる。


「シエラ!! しっかりしろ!! 嫌だ! シエラ!……救護班!! 救護班はまだなのか!! 早くしろ!!」


 ジョシュアの呼び掛けに最早シエラが応えることは無く、ジョシュアはシエラを抱きかかえながら必死に叫んでいた。

 シエラはジョシュアの腕の中で静かに眠り続け、そしてその体温は徐々に失われていく。




 ――

 数時間後、セントラルボーデン本国にシエラ・モスの死は伝わっていた。


「そうか、死んだか……共にいたはずの恋仲だったジョシュア・ゼフ少尉は?」


「死亡したのはシエラ・モスだけのようです。ジョシュア・ゼフ少尉はスパイ行為及び犯人隠避の容疑で一応拘束していますが、どうしますか? 証拠等は乏しいですが処分しようと思えば処分出来ますが?」


「ふっ、まぁいいだろう。何処まで知っているかだけ調べて、たいして知らなさそうなら釈放してやれ。彼は先の戦いでも活躍していたようだしこの先、貴重な戦力になるかもしれんからな」


 軍基地内にある一室で何やら不穏な会話のやり取りがされていた。

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