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シエラ②

 男達が部屋の中でせわしなく歩き回りクローゼットや小物入れをひっくり返しては中身をチェックしていく。


 そんな慌ただしい光景をソファに腰掛け頭を抱えながらジョシュアは見つめ、考え込んでいた。


『一体今何が起こっている? シエラがスパイ? 何処の? だいたい誰に何の情報を流す? それに……シエラは何処にいるんだ?』


 自分の世界に入るように一人思い悩むジョシュアだったが答えは見つからず、おもむろに自らの携帯タブレット端末を手にする。


 ジョシュアが手にした携帯タブレット端末とは片手に収まるサイズながらも電話やメールは勿論、簡単な調べ物なんかも出来る優れ物でこの世界では一人一台は必需品といえる代物だった。


 そのタブレットに目をやると未読のメールが来ている事に気付く。

 周りに目配りをし、周囲に人がいない事を確認すると少し緊張しながらメールを開くと送り主はシエラだった。


『貴方がこのメールを見ている頃、周りは騒がしくなってるかもしれないし、私は何処に行ったんだ? と貴方は思ってるでしょう。二人で話したいからジョシュアと初めて会った場所で待ってます』


 メールを確認したジョシュアは静かにタブレットをしまうと徐に立ち上がり忙しそうに歩き回る男に話し掛ける。


「俺の身柄は自由だよな? ちょっと予定があるから基地に戻りたいんだが」


「……えぇ、問題ありません。ただ今後お話を伺う事もあるかもしれませんが」


「ああ、その時は捜索令状でも持って訪ねて来てくれ。茶ぐらいは出すよ。じゃあな」


 皮肉めいた口調で部屋を後にするジョシュアの後ろ姿を男はいぶかしんだ目で見送っていた。


 部屋を後にしたジョシュアは全速力で軍基地に向かっていた。さすがに自分の足で向かうよりは車両を使った方が早いだろうが、しかしジョシュアは自分の車やバイクは持っていない。基地で車両を借りるのが一番手っ取り早かったのだ。


 基地に着くと整備兵に身分証を提示し「セシル少尉の捜索に行く」と伝え素早く二輪タイプに跨る。

 耳にインカムを装着し一応シエラの電話を鳴らしてみるが案の定電話は繋がらず、仕方なくジョシュアはアクセルを回しバイクを更に加速させた。

 まるで周りの風景が向かってくるかのように凄い速さで街中を走り抜けて行く。街中を抜け荒野を走り出した頃、ジョシュアのインカムに着信音が鳴り響く。慌てて連携しているタブレットに目をやると画面には『着信 アデル』と表示されていた。


「アデルか、どうした?」


 インカムを操作し少し残念そうにジョシュアが応答する。


「どうした、じゃない! 今何処にいる? お前今、ちょっとまずいかもしれないぞ」


「シエラの事言ってるのか? お前まで知ってるって事は相当話は回ってるって事か?」


「いや、お前と同期で仲が良いからって事で色々聞かれたから知ってるだけだ。その言い草だともう何か聞かれたのか?」


「いや、まだ何も。何よりシエラも行方不明で今捜してる所だ」


「そうか……軍はお前の彼女の事、かなり疑っているぞ。気を付けろ、お前もマークされてるはずだ」


「ああ、わかってる。俺と連絡取ってるお前も面倒くさい事になるだろ? とりあえず切るからな」


 そう言ってジョシュアは一方的に通話を切り、先を急いだ。

 何があった? 真実は何なんだ? シエラに聞きたい事が頭の中を駆け巡る。考えはまとまらない。この後どうすればいいのかもわからない。だがそれでも今はシエラに会いたい。その一心だった。


 バイクをフルスロットルで走り続け、ようやくシエラと初めて出会った場所付近へと辿り着く。この付近で出会ったが正確に何処に行けばいいのか周りを見渡していると少し先の岩陰でキラッ、キラッと光る合図が目に入った。

 慌てて駆け寄るジョシュア。すると岩陰からジーンズにシャツといったラフなスタイルのシエラが姿を現した。


「シエラ!!」

「駄目よジョシュア! それ以上近寄らないで!!」


 シエラの元へ駆け寄ろうとしたジョシュアだったがシエラが銃を片手にそれを制した。

 シエラの予想外の行動に困惑を隠せないジョシュア。


「どうしたんだよシエラ? 何があったんだ?」


「思ったより早く目覚めたのね。それとも誰かに起こされた? だったら驚いたでしょ? 変な奴らが押し掛けて来るし、私はいないし」


「なぁシエラ。あいつらシエラにスパイ容疑がかかってるとか言うんだ。一緒に帰って早く誤解を解こう」


「……この状況で貴方、それが誤解だと本気で思ってるの? 現実を見なさいジョシュア……ここに貴方を呼んだのは貴方には話しておきたいって思ったからなの。だから聞いてジョシュア」


 えも言われぬ表情を浮かべるジョシュアにシエラがもの哀しげな瞳で語り出した。

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