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試作型バトルスーツ③

「さぁてと、ではそろそろ始めますか」


 セシルが満面の笑みを浮かべ、皆に問い掛けた。


 一番最後に来たくせにしれっと仕切りだしやがった。

 

 ジョシュアが思わずそう口に出そうとしたが、寸前で飲み込んだ。

 もしそんな事を言えば、再び自分が悪者にされ、更に訓練も遅れると悟ったからだ。


「じゃあとりあえずクリスタルに魔力の供給頼むわ」


 ジョシュアが気を取り直し、いつも通りバトルスーツをセシルに差し出したが、セシルは眉を八の字にさせて少し困った様な笑顔を見せる。


「まぁ私があんたの面倒みてもいいんだけどさ、ジョシュア、あんたアナベルって奴とやりたいんでしょ? だったら私じゃなくて水属性のシャーン少尉にお願いすべきよ。今まで風属性で訓練させてて申し訳ないんだけどさ」


 確かに火属性には水属性が有効とされている。

 しかしそれは同レベルでの話であって、レベルが違えば火は簡単に水を凌駕してしまう。


 しかしそれでもセシルは水属性を推した。

 確かにクリスタルの力を借りた魔力とアナベルの魔力が同レベルとは思えない。

 だがそれは風の魔法でも同じ事だった。

 借り物の風の力でアナベルの炎を振り払えるかは謎だった。

 ならば相性を考えても、水の魔法で少しでもガード出来る方が良いのではないか? というのがセシルの考えだった。


 セシルなりにジョシュアの身を案じてはいたのだ。


「なるほど。じゃあ今日からはシャーン少尉に頼むか。ありがとうな」


「ただ、水や氷の魔法って風の魔法以上に繊細さが求められるからね」


 素直に納得したジョシュアにセシルが風属性と水属性の違いを軽くだが説明する。


「いやちょっと待ってくれ」


 そんな二人のやりとりを後から見ていたシャーンが声を掛けた。


「俺はさっきあっちのバトルスーツにも魔力込めたんだぞ。こっちのバトルスーツにも魔力を込めろって言うのか?」


 確かにシャーンの言う通りではあった。

 初めにバトルスーツに魔力の注入を頼まれ、今度はジョシュアのバトルスーツにも魔力の注入を頼まれれば一人貧乏くじを引いた様な気分にはなる。


「まぁ仕方ないじゃないですか。あっちのクリスタルの魔力が切れたら次は私が注入しときますから……って事で先輩は私とペアですね」


「うぉぉ、マジかセシルちゃん!?」


 そう言ってセシルが歩いて行くと、先程ジョシュアに詰め寄っていたマーカスが歓喜の雄叫びを上げていた。


 結局バスケスとボーラ、ジョシュアとシャーン、そしてセシルとマーカスが組む事になった。


――そして訓練開始から五日後


 それぞれの組でも結果が出始めていた。


 中でもバスケスの成長は著しいものだった。

 片手で火球を操り、的となる木に放てば、たちまち木は炎に包まれ炭となった。


「流石ね。次は魔力のコントロールね。今は魔力満タンで放てる火球は五発って所でしょ?ちゃんと魔力をコントロール出来るようになれば八発は使えるはずよ」


 ボーラが手を叩きながら笑顔でバスケスに歩み寄って行く。

 なんだかんだと言いながらも、教え子が成長するのは満更でもなさそうだ。


「こっちの二人はバスケス伍長程は成長しないのよねぇ。私の教え方が悪いのマーカス?」


 セシルが少し目を潤ませ、首を僅かに傾げてマーカスを見つめる。


「いや、そんな訳ない! 俺が至らないんだ。でももう少しで何か掴めそうなんだ。だからもう少し見守ってくれセシルちゃん」


「そっか。じゃあ期待してるね」


 そう言ってセシルが満面の笑みを浮かべるとマーカスは静かに呼吸を整え、集中力を増していく。


 ダメだあの人。完全にセシルの掌の上で踊らされている。

 ジョシュアはそんな二人のやり取りを見ながらため息をついていた。


「そう言えばジョシュア少尉。実は明日、俺は別の任務が入っていてな。明日はセシルかボーラにお願いしてくれないか?」


 同じく一歩引いた所から見ていたシャーンがジョシュアに語り掛けた。


「そうなんですか。まぁ別の任務があるなら仕方ないですね。わかりました。明日はどちらか二人にお願いしてみます」


 結局シャーンとジョシュア組だけが、お互いの距離感や関係性が変わる事はなかったようだ。

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