表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
56/152

7-1

 斎藤高政は父道三から美濃国を奪い、富国強兵政策を推し進めた。高政の国内支持率は日ごとに高まった。

 道三は焦った。このままでは国を盗まれてしまう。


 弘治元年十一月の夜、道三は稲葉山城の麓の館に支持者数名を集めた。

 道三の弟、長井道利。

 道三の息子、孫四郎、喜平次。

 道三派筆頭の林通政。彼は信勝派筆頭の林通勝のいとこでもあった。

 高政体制で冷遇された明智光安。彼は明智光秀の叔父だった。

 道三は彼らと反乱計画を練った。


 数日以内に道三自ら兵を率いて稲葉山城に乗り込み、高政を殺して孫四郎を新国主に就ける。道三本人は「大殿」として孫四郎の政務を後見する……


 翌朝、長井道利は稲葉山城本丸館に向かった。彼は既に高政に寝返っていた。


 高政は館の私室で道利の報告を受けた。

 高政は二メートル近い大男で、相撲取りのように太っていた。子馬に乗ると両足が地面に付くほどの体格だったが、争いを好まない穏やかな性格をしていた。

 高政は悩んだ。長井は決断を迫った。


「数日中に道三はここに乗り込んできてあなたを殺します。後継に孫四郎を就けるつもりです。

 先手を打って道三と孫四郎を殺す他ありません。喜平次も生かしてはおけない」


 高政は大きなため息を付いた。長井は更に迫った。


「国主様、ご決断ください。やれと仰ってくだされば、後はこちらで全てやります。

 国主様の下で美濃は強い国に生まれ変わりました。道三が再び返り咲けば、罪人を釜で煮殺す地獄のような国に逆戻りです。俺はもう嫌だ。皆嫌ですよ!」


 高政は床の畳をじっと眺めた。長井は決断が下るまで待った。

 新国主は判断は遅いが、正しい判断を下してくれる。長井は高政を信頼していた。

 高政は口を開いた。


「分かった。やろう。計画を進めてくれ」


 長井は頭を下げて退室した。


 その日の午後、長井は「高政が急病で倒れた」という情報を稲葉山城下に流した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ